銘酒の産地高槻市富田地区で新酒仕込みが本格化
江戸時代から受け継がれる160年の伝統
江戸時代から銘酒の産地として知られる高槻市西部の富田地区で、冬の風物詩の新酒造りが本格化。同地区にある安政3(1856)年創醸の清鶴酒造株式会社(同市富田町6、石井清祐代表取締役)の酒蔵では、杜氏(とうじ)が伝統の酒造りに精を出しています。
同地区は、池田、伊丹とならぶ「北摂三銘酒」のひとつに数えられた酒の名産地。酒造りに適した良質の米と阿武山山系の地下水に恵まれるなど酒造りに必要な条件を備えていることから17世紀中ごろには20軒を超える造酒家があり、銘酒「富田酒」として、その名は江戸の町まで知られていました。現在は、清鶴酒造株式会社と壽酒造株式会社(同市富田町3、橋本憲治代表取締役社長)の2軒が、江戸時代から受け継がれる酒造りの伝統を守り続けています。
清鶴酒造では、杜氏の喜多正諭さんらが、11月中頃から酒造りを開始。新米を蒸した蒸米に、井戸水、麹、酵母菌を加えた酒母を造り、タンクに移して約3週間発酵。この日は、発酵させている間に温度調節や発酵具合の調整のために行うタンク内のもろみをかき混ぜる作業(櫂入れ)を行っていて、今後発酵の終わったもろみを清酒と粕に分離する上槽、ろ過などの作業を経て市場へ出荷される予定です。
今年の新酒の出来について喜多杜氏は、「今年は猛暑の影響で米が不作でしたが、これまでに培った技術で補って良いお酒にできました」と話していました。
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