国内景気は7カ月ぶりに悪化 ― 2020年12月の景気動向調査
新型コロナウイルスの感染再拡大で個人消費を下押し
株式会社帝国データバンクは、全国象2万3,688社を対象に2020年12月の国内景気動向を調査・集計し、景気DIとして発表いたしました。
<調査結果のポイント>
2020年12月の動向 : 持ち直し傾向がストップ
12月の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともない、観光支援の各種施策が全国的に一時停止されたことなどが悪材料となり、持ち直し傾向がストップした。さらに冬季賞与の減額や新型コロナウイルスに関連した失業者の増加など所得環境が悪化したほか、一部地域での休業・営業時間短縮などで、小売や個人向けサービスなど個人消費の落ち込みがみられた。他方、自動車関連の生産が堅調に推移したほか、工作機械や産業機械を含む機械製造、半導体製造装置などは上向いた。
国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。
今後の見通し : 一時的に後退
今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
業界別:『サービス』、『運輸・倉庫』、『小売』など8業界でマイナスに
・『サービス』など8業界がマイナス、『製造』など2業界がプラスとなった。全国的な観光施策の停止などで人の移動が抑制され、『サービス』や『小売』を中心に景況感が悪化した。
・『サービス』(35.7)…前月比1.1ポイント減。8カ月ぶりのマイナス。全国的な観光施策の停止を受け、「旅館・ホテル」(同16.9ポイント減)が過去最大の下落幅を記録。「飲食店」(同5.7ポイント減)も一部地域において営業時間の短縮要請があり、大幅に悪化した。また、パッケージソフトなどが悪化した「情報サービス」(同0.4ポイント減)や、レンタカー業が含まれる「リース・賃貸」(同1.3ポイント減)もマイナスとなった。一方、「放送」(同3.6ポイント増)は、3カ月連続のプラスで、「新型コロナウイルスの影響により激減した広告出稿が、少しずつ戻ってきた」という声も聞かれた。『サービス』の景気DIは3業種で40台、2業種で10台となり、業種によって温度差がみられる。
・『運輸・倉庫』(31.5)…同1.0ポイント減。6カ月ぶりのマイナス。『その他』を除く9業界のなかで景気DIは最も低く、景況感を「悪い」とする企業は70.7%と再び7割を超えた。人の移動が再び抑制されるなか、旅行代理店やバス・タクシーといった旅客自動車運送など、観光業に関連した業種の景況感が悪化した。他方、製造業の持ち直しで荷動きが活発になり、一般貨物自動車運送などは持ち直しの動きとなっているものの、アジアにおける輸送用空コンテナの不足や、軽油など燃料費の高騰を懸念する声もみられる。
・『小売』(34.2)…同0.8ポイント減。4カ月ぶりのマイナス。冬季賞与の減額もあり、「家電・情報機器小売」(同3.8ポイント減)や「自動車・同部品小売」(同3.0ポイント減)など、耐久消費財を扱う業種が大幅に悪化。また、感染の拡大にともない外出自粛の影響もみられるなか、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同1.7ポイント減)や「飲食料品小売」(同2.4ポイント減)も、2カ月連続でのマイナスとなった。他方、自宅内消費などを背景にスーパーストアが堅調に推移している「各種商品小売」(同1.9ポイント増)や、がん具・娯楽用品小売が含まれる「専門商品小売」(同1.4ポイント増)はプラスとなった。
・『製造』(33.9)…同0.6ポイント増。7カ月連続でプラス。自動車および同部分品、半導体製造装置の輸出が回復傾向となるなか、『製造』の生産・出荷量DIや設備稼働率DIも上昇傾向が続いた。「輸送用機械・器具製造」(同3.8ポイント増)、「機械製造」(同1.8ポイント増)、「化学品製造」(同1.6ポイント増)などを中心に、サプライチェーン全体で持ち直しの動きが継続している。他方、卸売・小売の業種でも厳しい水準が続く「飲食料品・飼料製造」(同3.5ポイント減)や、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同0.7ポイント減)は、持ち直しの動きが一服しマイナスとなった。
-
2020年12月の景気DIは前月比0.4ポイント減の35.0となり、7カ月ぶりに悪化した。国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
- 10業界中、『サービス』、『運輸・倉庫』、『小売』など8業界がマイナス、『製造』など2業界がプラスとなった。全国的な観光施策の停止などで人の移動が抑制され、『サービス』や『小売』を中心に景況感が悪化した。
- 『北海道』『南関東』『中国』など10地域中8地域が悪化、『北陸』『四国』の2地域がプラスとなった。新型コロナウイルスの感染が大きく拡大した地域で景況感の悪化が表れた。特に地方における観光や消費関連の落ち込みがみられた。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも7カ月ぶりに悪化した
2020年12月の動向 : 持ち直し傾向がストップ
2020年12月の景気DIは前月比0.4ポイント減の35.0となり、7カ月ぶりに悪化した。
12月の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともない、観光支援の各種施策が全国的に一時停止されたことなどが悪材料となり、持ち直し傾向がストップした。さらに冬季賞与の減額や新型コロナウイルスに関連した失業者の増加など所得環境が悪化したほか、一部地域での休業・営業時間短縮などで、小売や個人向けサービスなど個人消費の落ち込みがみられた。他方、自動車関連の生産が堅調に推移したほか、工作機械や産業機械を含む機械製造、半導体製造装置などは上向いた。
国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大などで持ち直し傾向がストップした。
今後の見通し : 一時的に後退
今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染再拡大にともなう社会経済活動の抑制策の実施などにより、一時的に後退すると見込まれる。また、感染状況の違いにより地域間や業種間で景気の動きが二分される可能性もある。さらに、雇用・所得環境の悪化による可処分所得の減少などは、個人消費を下押しする材料である。他方、ワクチン接種の広がりや5Gの本格的普及、東京五輪などはプラス要因となろう。また、自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の取り込みや海外経済の回復なども期待される。
今後の景気は、一時的に後退すると見込まれるものの、新型コロナウイルスの感染状況次第ながら春頃に底打ちしたのち、緩やかな上向き傾向で推移するとみられる。
業界別:『サービス』、『運輸・倉庫』、『小売』など8業界でマイナスに
・『サービス』など8業界がマイナス、『製造』など2業界がプラスとなった。全国的な観光施策の停止などで人の移動が抑制され、『サービス』や『小売』を中心に景況感が悪化した。
・『サービス』(35.7)…前月比1.1ポイント減。8カ月ぶりのマイナス。全国的な観光施策の停止を受け、「旅館・ホテル」(同16.9ポイント減)が過去最大の下落幅を記録。「飲食店」(同5.7ポイント減)も一部地域において営業時間の短縮要請があり、大幅に悪化した。また、パッケージソフトなどが悪化した「情報サービス」(同0.4ポイント減)や、レンタカー業が含まれる「リース・賃貸」(同1.3ポイント減)もマイナスとなった。一方、「放送」(同3.6ポイント増)は、3カ月連続のプラスで、「新型コロナウイルスの影響により激減した広告出稿が、少しずつ戻ってきた」という声も聞かれた。『サービス』の景気DIは3業種で40台、2業種で10台となり、業種によって温度差がみられる。
・『運輸・倉庫』(31.5)…同1.0ポイント減。6カ月ぶりのマイナス。『その他』を除く9業界のなかで景気DIは最も低く、景況感を「悪い」とする企業は70.7%と再び7割を超えた。人の移動が再び抑制されるなか、旅行代理店やバス・タクシーといった旅客自動車運送など、観光業に関連した業種の景況感が悪化した。他方、製造業の持ち直しで荷動きが活発になり、一般貨物自動車運送などは持ち直しの動きとなっているものの、アジアにおける輸送用空コンテナの不足や、軽油など燃料費の高騰を懸念する声もみられる。
・『小売』(34.2)…同0.8ポイント減。4カ月ぶりのマイナス。冬季賞与の減額もあり、「家電・情報機器小売」(同3.8ポイント減)や「自動車・同部品小売」(同3.0ポイント減)など、耐久消費財を扱う業種が大幅に悪化。また、感染の拡大にともない外出自粛の影響もみられるなか、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同1.7ポイント減)や「飲食料品小売」(同2.4ポイント減)も、2カ月連続でのマイナスとなった。他方、自宅内消費などを背景にスーパーストアが堅調に推移している「各種商品小売」(同1.9ポイント増)や、がん具・娯楽用品小売が含まれる「専門商品小売」(同1.4ポイント増)はプラスとなった。
・『製造』(33.9)…同0.6ポイント増。7カ月連続でプラス。自動車および同部分品、半導体製造装置の輸出が回復傾向となるなか、『製造』の生産・出荷量DIや設備稼働率DIも上昇傾向が続いた。「輸送用機械・器具製造」(同3.8ポイント増)、「機械製造」(同1.8ポイント増)、「化学品製造」(同1.6ポイント増)などを中心に、サプライチェーン全体で持ち直しの動きが継続している。他方、卸売・小売の業種でも厳しい水準が続く「飲食料品・飼料製造」(同3.5ポイント減)や、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同0.7ポイント減)は、持ち直しの動きが一服しマイナスとなった。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像