“冬場に起こりやすい事故”の 「予防・手当」を啓発
~窒息・ヒートショック・やけどなど、インタビュー・実技撮影・監修にお応えします~
これから迎える本格的な冬。忘年会や新年会などの行事も多く体調管理が難しい時期を迎えます。
日本赤十字社(本社:東京都港区、社長:清家篤、以下「日赤」)は、けがや病気を防ぎ、万一の際に正しい手当ができるよう、全国で一般市民向けの講習会を実施しています。
講習会の指導を行う職員(専門職を含む有資格者)やボランティアが多数在籍しておりますので、コメント提供やインタビュー(オンライン可)・実技の実演、監修などのご協力が可能です。
記事の執筆や番組の制作にあたり、ご協力できることがございましたらご用命ください。
※以下には、例として3つの症状についてご紹介しています。
窒息(気道閉塞)/喉に餅を詰まらせたら
症状
完全にのどに物が詰まると声が出なくなります。
顔が真っ青になったり、けいれんを起こしたり、意識がなくなることもあります。
背景
餅による高齢者の死亡事故件数は1月、特に三が日に集中しています。※【図1】参照

原因
加齢とともに唾液の分泌が少なくなることに加え、のどの反射が鈍くなり、食物などを誤って気道に飲み込んで窒息する事故が多くなります。
また、子どもはのどの働きが未熟なことに加え、呼吸数が多く気道が開いている時間が長くなること、注意力が鈍いことなどから事故が起こりやすいとされています。
窒息のサイン
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激しい咳が出て、もがき苦しむ
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ゴロゴロ、ヒューヒューなどの音が聞こえる
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声がでない
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顔、唇、指先の色が青黒くなる
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反応が次第に鈍る
予防
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飲み込みやすい姿勢(少し前かがみの姿勢)を保つ
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詰まりやすい食品や大きさ、硬さに気を付けて調理する
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ゆっくりよく噛んで食べる
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食べ物を口にいれたまましゃべらない
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食べ始めや、固形物を食べた後は水分を摂取する
手当
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強い咳をさせる(咳ができない場合119番通報をする)
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背中(肩甲骨の間)を叩く(背部叩打法)※【図2】参照
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腹部を突き上げる(腹部突き上げ法) ※【図3】参照
(腹部突き上げ法を行った場合は、異物が除去できたときも速やかに医師の診察を受ける必要があります)
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反応がなくなった場合は、心肺蘇生を開始する


▶ 素材提供可能です!
YouTubeの公式チャンネルで手当の解説動画を公開しております。素材としてご提供可能です。
ヒートショック
症状
温度の急激な変化により、身体にダメージが加わることで起こる症状のこと。
例えば、めまいや立ちくらみ、吐き気があげられます。
重篤になると、心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクも高まるとされており、失神などの意識障害が起こることで、結果的に浴槽での溺水などにつながる恐れがあります。
背景
高齢者の浴槽内での不慮の溺死及び溺水の死亡者数は6,541人で、交通事故死亡者数2,116人のおよそ3倍(※)。
図4のとおり、中でも急に寒くなる毎年11月から4月にかけては65歳以上の高齢者の死亡事故が多発しています。
※厚生労働省人口動態統計(令和5年)による。

原因
冬場の入浴は、その方法によって温度変化による急激な血圧の変動が原因で身体にダメージを受けやすく、慢性疾患やアルコール摂取、脱水なども影響することで発症しやすくなります。

予防
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入浴前に脱衣所や浴室を暖める
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湯温は41度以下、入浴は10分までを目安に
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浴槽から急に立ち上がらない
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食後すぐ、また、アルコールが抜けない状態での入浴は控える
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精神安定剤、睡眠薬などの服用後の入浴をさける
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すべったり、浮力による転倒、溺れを防止する
※同居者がいる場合は、入浴時に声をかけましょう
手当
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浴槽の中で反応がなくなった場合、顔を水面上に出した状態で助けを呼ぶ
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浴槽から出すことがむずかしい場合は、すぐに湯を抜く
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バスタオルなどで包み、体温の低下を防ぐ
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安静が保てる場所に移し、観察を行う
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反応(意識)がない場合は、一次救命処置の手順により手当を行う
やけど
症状
火や熱湯など熱いものに触れて生じる皮膚などの損傷のこと。
痛みと、ひりひりする感じ。腫れぼったく赤くなり、水ぶくれになるところもあります。
背景
寒くなると火やカイロ、加湿器などを使う機会が増えます。
ストーブ上に置いたやかんなどの熱湯を浴びる事故も例年起きています。
原因
ストーブ上に置いたやかんなどの熱湯を浴びる事故のほか、温かく感じる程度の温度でも長時間皮膚が接することでやけどを起こし、見た目よりも重症な場合があります(低温やけど)。
湯たんぽ、ストーブ類、電気毛布、あんか、使い捨てカイロなどの不適切な使用により起こることがあります。
予防
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ストーブの上にやかんや鍋を置かない
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長時間同じ場所を温めない
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火気の取り扱いに注意し、火を扱う時は近づき過ぎない
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火の付きやすい素材やデザインの衣服を避ける
手当
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やけどの範囲が狭いときは、冷たい水や水道水で痛みが取れるまで冷やす
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患部が衣類で覆われている場合は、無理に脱がさない
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水疱はつぶさない(蛇口から勢いよく出ている水道水などを直接熱傷部にあてることを避け、熱傷部を消毒した布か洗濯した布で覆い、その上から冷やしながら医療機関に搬送します )
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低温やけどは、見た目は小さくても皮膚の深くまでやけどが進行しています。洗濯した清潔な布で覆って医療機関に搬送する
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軟膏、油、消毒液などは塗らず病院を受診する
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広い範囲のやけどは、冷やし過ぎによる低体温に注意する
熱傷に対する迅速かつ適切な冷却は、痛みを和らげ、患部の腫れを抑えます。
また、熱傷が深くなることを防ぎ、感染を予防して、手術の必要性を減らす効果があります。
日赤 専門家のコメント/インタビュー可能

事業局 救護・福祉部 前田ゆかり
看護師/幼児安全法・健康生活支援講習 講師
(略歴)
京都第二赤十字病院、日赤京都府支部(講習普及担当)を経て、現職。
今回ご紹介したヒートショック、窒息、やけどは比較的高齢者に多い事故ですが、窒息ややけどは乳幼児にも起こりやすい事故です。
寒さが厳しくなる中、ヒートショック予防としては、入浴前に脱衣所や浴室を暖めるなど生活環境を整える工夫が重要です。
窒息は、詰まりやすい食品や大きさ、硬さに気をつけて調理すること、乳幼児は成長発達に合わせることも大切です。
この季節には欠かせない暖房器具やカイロなども使用方法によっては事故やケガにつながることがあります。特に、高齢者は温度感覚が鈍くなるため、カイロの使用時には、直接肌に貼らないなどの注意が必要です。
どんな事故も日常生活の中で工夫をすれば、自分や大切な人の“いのちと健康”を守ることができます。楽しいイベントが控える今、メディアの皆さまには、事故予防について私たちとともに啓発いただけますと幸いです。
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