都内に本店を置く23の信用金庫、出金・預金ともに大幅増加
新型コロナ感染症関連制度融資が増加に寄与
2020年は、年初から新型コロナウイルスの感染が拡大し、4月7日には緊急事態宣言が発出されるなど未曽有の事態に陥った。外出の自粛が要請されたこともあり、小売業を中心とした様々な業種の企業が大幅に業績を落としたことで、政府は企業に対し制度融資などの新型コロナウイルス感染症に関する緊急経済対策を打ちだした。こうしたなかで、従来から地元の中小企業に寄り添った営業活動を行ってきた信用金庫については、4月以降積極的に融資を実行した結果、貸出金の大幅増加が予想されていた。
帝国データバンクでは、東京都内に本店を置く23の信用金庫の2020年9月中間期、貸出金、預金積金残高について調査した。また、各データについては各信用金庫のリリースに基づく。
帝国データバンクでは、東京都内に本店を置く23の信用金庫の2020年9月中間期、貸出金、預金積金残高について調査した。また、各データについては各信用金庫のリリースに基づく。
<調査結果(要旨)>
貸出金残高:23金庫合計で15兆2541億円
貸出金残高が1兆円を超えているのは、2兆3267億円の「城南」、1兆5639億円の「西武」、1兆3582億円の「朝日」、1兆2849億円の「城北」、1兆1907億円の「多摩」、1兆1122億円の「東京東」の6金庫。
2020年3月末比で2ケタの伸びを記録した信金は、「朝日」(19.26%増)、「興産」(16.43%増)、「小松川」(13.33%増)、「巣鴨」(11.18%増)、「足立成和」(10.81%増)、「亀有」(10.68%増)、「西京」(10.43%増)の7金庫となった。「朝日」は、従前から事業性融資を得意としていたことや、新型コロナ感染拡大前から営業員に対しタブレット端末を支給していたことで、緊急事態宣言下においても自宅で業務が可能であったことなどから、新型コロナに対する制度融資において他信金より多くの事業者に向けて融資を実行することができ、貸出金は2020年3月末から20%近い大幅増となった。
2020年9月末時点で、預金積金残高が1兆円を超えているのは、3兆8903億円の「城南」、3兆921億円の「多摩」、2兆6518億円の「城北」をはじめ、「西武」「朝日」「東京東」「巣鴨」「さわやか」「芝」「東京」の10金庫。
2020年3月末比で最も預金積金残高の増加幅が大きかったのは、「朝日」(14.58%増)。以下、「小松川」(13.08%増)、「東京」(11.40%増)、「西京」(11.07%増)と続いた。増加率が10%を超えたのは上記4金庫のほか3金庫となり、合計7金庫となった。増加率トップである「朝日」は、貸出金でもトップとなっており、新型コロナ制度融資を活用した後も、先行きの不透明感から今後の運転資金として企業預金が増加したことが預金積金の増加に寄与した。
信用金庫は、主な取引先が営業エリア内の中小企業や個人事業者、地域住民であり、地域経済を支える役割を果たしている。新型コロナウイルス感染拡大の状況下においては、緊急事態宣言に伴う外出自粛要請などの影響もあり多くの企業で売り上げが悪化。運転資金の需要に積極的に応じた結果、東京都内に本店を置く23信用金庫全てで2020年3月末から貸出金を伸ばした。また、貸出金残高の合計も2020年3月末から1兆2060億2000万円増加し、増加率は8.58%と大幅に増加する結果となった。預金積金についても、新型コロナの制度融資を活用した多くの事業者が、先行きの不安から今後の運転資金に備える動きをしたことによって、2020年3月末から2兆1648億5500万円増加し、増加率は8.49%となった。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、1月8日から1都3県では再び緊急事態宣言が発出された。すでに在宅勤務の体制が整っている事業者については前回の緊急事態宣言時よりスムーズに対応可能であるが、在宅勤務の体制が未だ整っていないところも多く、飲食店などには時短営業が要請されている。
都内信用金庫の営業エリアにおいても厳しい経営を余儀なくされている事業者は多く、引き続き各信用金庫も未曽有の事態に対応している。新規感染者数の増加に歯止めがかからないなか、今後も新たに運転資金を必要とする中小事業者は出てくるだろう。こうした事業者に対しては、金融機関のなかでも地域に寄り添う信用金庫の役割は大きく、今後も信用金庫の貸出金動向が企業活動の1つの目安として注目される。
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2020年9月末時点での東京都内に本店を置く23金庫の貸出金残高の合計は、15兆2541億7100万円。2020年3月末比で8.58%増となり、23金庫全てで2020年3月末から増加した。増加率トップは朝日信用金庫で19.26%増
- 2020年9月末時点での東京都内に本店を置く23金庫の預金積金残高の合計は、27兆6739億4100万円。2020年3月末比8.49%増となり、23金庫全てで2020年3月末から増加した。増加率トップは朝日信用金庫で14.58%増
貸出金残高:23金庫合計で15兆2541億円
2020年9月末時点の23金庫の貸出金残高の合計は15兆2541億7100万円となり、2020年3月末(14兆481億5100万円)比で1兆2060億2000万円増加(8.58%増)した。新型コロナウイルス対策の制度融資が行われたことで、23金庫全てで貸出金残高を伸ばした。
貸出金残高が1兆円を超えているのは、2兆3267億円の「城南」、1兆5639億円の「西武」、1兆3582億円の「朝日」、1兆2849億円の「城北」、1兆1907億円の「多摩」、1兆1122億円の「東京東」の6金庫。
2020年3月末比で2ケタの伸びを記録した信金は、「朝日」(19.26%増)、「興産」(16.43%増)、「小松川」(13.33%増)、「巣鴨」(11.18%増)、「足立成和」(10.81%増)、「亀有」(10.68%増)、「西京」(10.43%増)の7金庫となった。「朝日」は、従前から事業性融資を得意としていたことや、新型コロナ感染拡大前から営業員に対しタブレット端末を支給していたことで、緊急事態宣言下においても自宅で業務が可能であったことなどから、新型コロナに対する制度融資において他信金より多くの事業者に向けて融資を実行することができ、貸出金は2020年3月末から20%近い大幅増となった。
預金積金残高:23金庫合計で27兆6739億円
2020年9月末時点の23金庫の預金積金残高の合計は27兆6739億4100万円となり、2020年3月末(25兆5090億8600万円)比で2兆1648億5500万円増加(8.49%増)した。総預金積金残高の増加傾向のなか、新型コロナウイルス対策の制度融資を受けた企業の預金が増加した影響などで全23金庫が預金積金を伸ばした。
2020年9月末時点で、預金積金残高が1兆円を超えているのは、3兆8903億円の「城南」、3兆921億円の「多摩」、2兆6518億円の「城北」をはじめ、「西武」「朝日」「東京東」「巣鴨」「さわやか」「芝」「東京」の10金庫。
2020年3月末比で最も預金積金残高の増加幅が大きかったのは、「朝日」(14.58%増)。以下、「小松川」(13.08%増)、「東京」(11.40%増)、「西京」(11.07%増)と続いた。増加率が10%を超えたのは上記4金庫のほか3金庫となり、合計7金庫となった。増加率トップである「朝日」は、貸出金でもトップとなっており、新型コロナ制度融資を活用した後も、先行きの不透明感から今後の運転資金として企業預金が増加したことが預金積金の増加に寄与した。
未曾有の事態に対処する信金、地域金融機関としての役割大きく
信用金庫は、主な取引先が営業エリア内の中小企業や個人事業者、地域住民であり、地域経済を支える役割を果たしている。新型コロナウイルス感染拡大の状況下においては、緊急事態宣言に伴う外出自粛要請などの影響もあり多くの企業で売り上げが悪化。運転資金の需要に積極的に応じた結果、東京都内に本店を置く23信用金庫全てで2020年3月末から貸出金を伸ばした。また、貸出金残高の合計も2020年3月末から1兆2060億2000万円増加し、増加率は8.58%と大幅に増加する結果となった。預金積金についても、新型コロナの制度融資を活用した多くの事業者が、先行きの不安から今後の運転資金に備える動きをしたことによって、2020年3月末から2兆1648億5500万円増加し、増加率は8.49%となった。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、1月8日から1都3県では再び緊急事態宣言が発出された。すでに在宅勤務の体制が整っている事業者については前回の緊急事態宣言時よりスムーズに対応可能であるが、在宅勤務の体制が未だ整っていないところも多く、飲食店などには時短営業が要請されている。
都内信用金庫の営業エリアにおいても厳しい経営を余儀なくされている事業者は多く、引き続き各信用金庫も未曽有の事態に対応している。新規感染者数の増加に歯止めがかからないなか、今後も新たに運転資金を必要とする中小事業者は出てくるだろう。こうした事業者に対しては、金融機関のなかでも地域に寄り添う信用金庫の役割は大きく、今後も信用金庫の貸出金動向が企業活動の1つの目安として注目される。
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