ベトナム全土の郵便事業を中心としたデジタル化に向けて、国営企業のベトナム郵便と、デジタルインフラ構築と物流DXの実証を開始

総務省の「日本のDX事例導入可能性に関するベトナムでの実証実験」において、日立が請負先に選定

株式会社 日立製作所

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)全土の郵便事業を中心としたデジタル化に向けて、ベトナムの国営企業であるVietnam Post (以下、ベトナム郵便)のデジタルインフラ構築と物流DXの実証を開始します。

 具体的には、ベトナム郵便がDXを進めていく上での、デジタルインフラの中核となるデータベース構築をめざし、日立のデータ管理・分析ソフトウェア群Pentaho, an intelligent Data Ops platform(以下、Pentaho)を活用することで、業務ごとに分散している配送・車両・顧客などに関するデータの中から、格納するデータの選定や、統合・分析方法、利活用のユースケースを検討します。また、現在の中核事業である郵便・物流において、疑似量子コンピュータとも呼ばれる日立独自のCMOSアニーリング*1を活用することで、大規模かつ複雑なデータの中から、最適な配送計画を作成し、物流業務の効率化を検証します。

 また、今回検討・検証した内容をもとに、今後、本格的にデータベースを構築し、既存事業の効率化のみならず、注力するEC事業の拡大などもめざします。日立は、ベトナムの国家戦略のもと、国のデジタルインフラを担うベトナム郵便のDXを支援することで、郵便・物流を中核としたベトナム社会全体のデジタル化に貢献していきます。

 なお本取り組みは、「インフラシステム海外展開戦略2025」の一環として総務省が実施する調査研究*2において、日本のDX事例の導入可能性に関する実証実験の請負先として、日立が総務省より請負い、実施するものです。


■背景

 ベトナムでは、2022年に公布された「ベトナム国家郵便発展戦略」のもと、郵便を「国とデジタル経済、特にEコマースの不可欠なインフラ」と位置づけて、郵便を中核としたデジタル社会の発展を進めています。ベトナムで郵便事業を担うベトナム郵便は、都市部から農村部をはじめとする地方までベトナム全土に1万3千の拠点を持ち、国民生活に密接に関わっていることから、大規模・高度なDX化を推進し、国民生活の利便性向上に寄与することが期待されています。

 日立は、日本政府が掲げる「インフラシステム海外展開戦略2025」の一環で、2022年度に総務省が行った調査研究の請負先に選定され、ベトナム郵便のDXの現状や課題について聴取・分析し、具体的な取り組み方策とそのロードマップを策定しました。その中で、今後EC市場のさらなる拡大が見込まれるベトナムにおいて、ベトナム郵便の注力事業の1つを「農業分野のEC取引拡大」*3と定め、既存事業におけるデータベースの整備、配送効率化など物流DXなどで支えていくことを決定しました。このたび、具体的な取り組みを進めていくにあたって、2023年度の請負先として、日立が選定されました。

 日立はこれまでも、ベトナム郵便、ベトナムの消費者金融機関であるVietCredit Finance Companyと協業し、ビデオ通話を用いて個人ローンの申込・契約などを可能にする金融サービスの提供などに取り組んでおり*4、これらベトナムにおける実績やノウハウを生かしながら、ベトナムのDX化に取り組みます。


■実証実験の概要

(1) ベトナム郵便のDXを支えるデータベース構築に向けて、業務ごとに散在するデータの統合・可視化

 DXを支えるデジタルインフラの中核となるデータベースの本格構築に向けて、ベトナム郵便が保有するさまざまなデータから、必要なデータを取捨選択、統合・可視化し、最適な収集・管理・活用を検証します。

 ベトナム郵便は、従来、地理情報、配送ルートや車両情報、ベトナム郵便の保有するECサイトの顧客購買情報など多岐にわたるデータを、それぞれ紙や業務ごとの個別システムで管理しており、データの一元管理や多様なデータを組み合わせた分析・利活用に課題を抱えていました。今回、日立のデータ管理・分析ソフトウェア群であるPentahoを活用し、格納対象とするデータを選択・統合・可視化することで、散在するデータの収集・管理方法や、配達員・物流マネージャー・経営層などステークホルダーに合わせたレポート作成といった活用方法などを検討します。

 これにより、顧客データに基づくECサイト運営や、配送の最適化といったデータの利活用を進め、ベトナム郵便のデータドリブン経営を支えるプラットフォームとしての拡大につなげていきます。


(2) ベトナム郵便のDX実現に向けて、物流業務を最適化

 ベトナム郵便の中核事業である物流において、膨大な組合せの中から最適な組合せを高速で探索するCMOSアニーリングを活用することで、最適な配送計画を作成し、人員や輸送車両の適正化など効率的な配送を実現します。

 従来、配送計画の作成は、配達員のノウハウと経験に頼っており、その属人性や配達効率の改善が課題でした。今回、日立独自のCMOSアニーリングを活用することで、配達員の人数、車両のサイズ、台数、配送ルート、配送のタイミングなどを考慮した最適な配送ルートを作成します。

 これにより、配達時間の短縮や配送料の最適化による顧客満足度向上が可能になるほか、今後拡大するEC需要への対応にもつなげていく予定です。まずはスモールスタートで実証を行い、今後ベトナム郵便の全拠点に拡大することをめざします。また、将来的には、CMOSアニーリングで算出した効率的な配送ルートを自動で配達員に通知し個人宅に配送するなど、さらなる業務効率化にも取り組んでいきます。


■今後の取り組み

 今後、本格的にデータベースを構築し、ベトナム郵便の既存の郵便事業の効率化だけでなく、注力事業であるEC事業拡大による地域活性化や、公共サービスや金融をはじめとする他業種サービスとの連携など新規事業の創出に寄与することで、ベトナムの国民生活を広く支えるプラットフォームとしての発展をめざします。

 日立は今後、デジタルソリューションを加速するLumada*5を核に、総務省や国内関連企業と連携し、ベトナムにおける日本のDX事例の導入を推進することで、ベトナムのデジタル化に貢献していきます。


*1:CMOSアニーリング:磁性体の性質を説明するために考案されたイジングモデルを用いて、組合せ最適化問題を解くために日立が開発している

新型コンピュータ。量子コンピュータで必要な冷却装置などは不要で、室温で動作する上、大規模化も容易に対応できる。

*2:ベトナム社会主義共和国の郵便事業体による国家郵便発展戦略実行に資する日本のDX事例の導入可能性に関する実証実験の請負。

*3:ベトナム郵便が運営するECサイトを活用し、地方で取れた農作物を都市部の住人が購入するといった取り組み。

*4: 日立ニュースリリース(2022年5月16日)

「ベトナム全土に行き届く新たな金融サービスの確立に向け、ベトナム郵便・ベトクレジットと協業を開始」

https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2022/05/0516.html

*5: Lumada:お客さまのデータから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための、日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション・サービス・テクノロジーの総称。


 ■CMOSアニーリングに関するWebサイト

https://www.hitachi.co.jp/CMOS-Annealing/


 ■Pentahoに関するWebサイト

https://www.hitachi.co.jp/products/it/bigdata/platform/pentaho/lp/index.html


 ■総務省の日本型郵便インフラシステムの海外展開に関するWebサイト

https://www.youtube.com/watch?v=kyuejI62Q5g


 ■日立の金融ソリューションに関するWebサイト

https://www.hitachi.co.jp/finance/


 ■日立製作所について

 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。

 詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/ )をご覧ください。


以上

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会社概要

株式会社 日立製作所

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URL
http://www.hitachi.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区丸の内一丁目6番6号
電話番号
-
代表者名
小島 啓二
上場
東証1部
資本金
-
設立
1920年02月