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【国立科学博物館】「山中湖のまりも(山中湖村フジマリモ生息調査報告書)」の出版 ~ふたたび退潮傾向が明らかになった山中湖のマリモ 地球温暖化が影響か?~

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 独立行政法人国立科学博物館(館長:林良博)と山中湖村教育委員会および「山中湖フジマリモ生息調査検討委員会」は、共同で令和2年度フジマリモ生息調査を実施し、この度報告書を出版しました。
  • 研究のポイント
 山中湖のマリモは一時絶滅状態にあると考えられていましたが、前回の平成25年〜26年の調査ではマリモの生育状態が改善状態にあるとされていました。しかし、今回の調査では5年前の調査に比べて明らかに生育状態が悪化していました。その原因として、水温や気温を解析した結果、山中湖の平均水温はこの40年間で約2度上昇し、夏期の気温は約4度も上昇していたことが分かりました。水質項目はそれほど悪化していなかったことから、地球温暖化が影響したと考えられます。
 
  • 研究の背景
 山中湖のマリモ類は「フジマリモ及びその生息地」として、昭和33年度の山梨県天然記念物に指定されています(平成5年に新しく見つかった河口湖や西湖も含め再指定)。また、山中湖は富士五湖の一つとして国指定の「史跡名勝天然記念物」に指定されています。このマリモ類の大規模な調査は、昭和59年度に山中湖村教育委員会が実施した「マリモ分布調査報告書」のあと、しばらくは行われていませんでした。何回かの小規模調査ではマリモ類が見つからなかったこともあり、絶滅も心配されていました。

 そのため、平成25年〜26年にかけ、第二次の山中湖村フジマリモ生息調査を実施し、報告書を出版しました。この調査では、山中湖の複数地点でマリモが見つかりましたが、中でも「ままの森」下の地域が圧倒的に出現頻度が高く、保護の必要性が高い地域であることが分かり、また、継続して観察をするために5年ごとの調査が提言されていました。
 
  • 研究内容と成果
 第二次の山中湖村フジマリモ生息調査で重要性が明らかになった「ままの森」下等において、ライントランセクト法によって2019年の9月と2020年の3月に調査を行いました。9月の調査では、マリモの生息水深の湖底の多くがシアノバクテリア(藍藻)に覆われ、3月の調査では珪藻に覆われ、マリモの生息状況は第二次調査に比べて明らかに悪化していました。

 

図1 左:シアノバクテリアに覆われた湖底、右:珪藻に覆われた湖底図1 左:シアノバクテリアに覆われた湖底、右:珪藻に覆われた湖底

図2 第三次調査でままの森から採集されたマリモ図2 第三次調査でままの森から採集されたマリモ


 9月の調査で山中湖の水温が25℃を超えていたのに驚き、山中湖村教育委員会が所有する艇庫で測定している山中湖の表層水温をグラフ化してみました。近年、夏期に水温が25℃を超える日が続いていることが分かります。

 

図3 艇庫での2年間の表層水温(℃)観測結果図3 艇庫での2年間の表層水温(℃)観測結果


 また、山梨県が公共用水域水質測定のため山中湖湖心で測定している水深30cmでの水温を元に、年間平均水温を解析した結果、山中湖の平均水温はこの40年間で約2度上昇したことが分かります。2019年には平均水温が始めて15℃を超えました。

図4 山中湖の年平均水温(℃)の経年変動図4 山中湖の年平均水温(℃)の経年変動


 この温度の上昇は、アメダスの山中観測所(山中湖村梨ケ原)の気温データからも明らかです。夏期の最高気温の月平均気温は40年で約4度も上昇していることが分かります。

図5 「山中」での夏期最高気温(℃)の平均の経年変動図5 「山中」での夏期最高気温(℃)の平均の経年変動


 マリモは日本では阿寒湖を初めとする北海道や東北地方、海外ではヨーロッパ北部など寒冷地を分布域とする種です。山中湖は標高が1000mあるため年中水温が低く生育できていたと考えられますが、近年の温暖化によって生育が難しくなっている可能性があります。

 今後もこの山中湖のマリモ類の学術調査を継続して行っていきます。また、今回の出版物を村内の小中学校の環境学習などに活用していきます。
 
  • 謝辞
 この調査は、山梨県及び文化庁の調査許可を得て実施しました。
 
  • 出版物
【題 名】 山中湖のまりも 山中湖フジマリモ生息調査(令和2年度)報告書 2021年3月31日
【発 行】 山中湖村教育委員会・国立科学博物館
【著者名】 辻彰洋・亀田良成・新山優子 (辻彰洋 編)
【ISBN】978-4-87803-047-5
山中湖村教育委員会等で配布予定

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電話番号
075-451-4111
代表者名
都倉俊一
上場
未上場
資本金
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設立
1968年06月
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