マルチセンサー技術による高精度・低ノイズのIMU『M-G570PR』を量産開始
静止時出力の高安定性と、防水・防塵規格IP67対応で耐環境性を両立
2011年にエプソン初となる水晶ジャイロセンサー*2をコアとしたIMUを発売以来、当社IMUは、精密農業(GNSS*3)や民生・産業部品を活用する小型人工衛星*4、EO/IRカメラジンバル*5、アンテナの制振制御など、さまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により、市場から好評を得ています。近年では、空中や人工衛星での映像撮影や測量など利活用分野が広がり、より精確な位置・姿勢制御のニーズが増大しています。それに伴いIMUには姿勢制御において重要とされる高精度性能への要求が高まっています。
新製品『M-G570PR』は従来品の「M-G370PDG」をベースに、エプソン独自のマルチセンサー技術により、複数のIMUを合成することで高性能化を図りました。これにより、ジャイロバイアス安定性(*6) 0.5°/h、角度ランダムウォーク(*7) 0.04°/√hを実現し、より高精度計測を可能にします。
さらに、金属筐体パッケージ化により防水・防塵規格IP67に対応することで耐環境特性を高めるとともに、産業分野で幅広く採用されているシリアル通信RS-422(*8)インターフェースを標準装備しました。そのため、高安定性、高信頼性が要求される多様な産業アプリケーションへ適用可能で、用途に合わせた最適な製品をお客様に選択いただけます。
エプソンは、社会・技術の変革などを踏まえ、今後も小型・軽量・低消費電力に加え、高精度・低ノイズ高安定といった「省・小・精」から生み出す価値で、お客様の商品・サービスに大きく貢献するセンシングシステムを提供していきます。
■新製品の特長
・ジャイロバイアス安定性 0.5°/hを実現
・角度ランダムウォーク 0.04°/√hを実現
・ジャイロセンサーのノンリニアリティ特性(*9) 0.05%を実現
・防水・防塵対応 IP67、RS-422インターフェース、故障診断機能採用
■本製品のアプリケーション
・民生・産業部品を活用する小型人工衛星・EO/IRカメラジンバル・アンテナなどの制振制御
・ナビゲーションシステム(GNSS、INS*10、高精度ロケータ)など
・無人機(産業ドローン・地上車・海底探査) など
・産業機器などの振動・角度・軌道計測
【関連リンク】
製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。
https://www.epson.jp/prod/sensing_system/
【お客様のお問い合わせ窓口】
セイコーエプソン株式会社 MD営業部 MDプロダクトマーケティンググループ
https://www.epson.jp/prod/sensing_system/contact/
*1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置
*2:ジャイロ(角速度)センサー
基準軸に対する、物体の単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー
*3:GNSS(Global Navigation Satellite System)
全地球測位衛星システム
*4:本製品およびエプソンのIMUは、宇宙空間での使用における規格に準拠したものではありません
*5:EO/IR(Electro-Optical/Infra-Red)カメラジンバル
電気光学式、赤外線式カメラシステム
*6:ジャイロバイアス安定性(Bias Instability)
アラン分散で水平(0乗)の特性を表す部分をバイアス安定性と呼ぶ。1/fノイズと相関があり、センサーのポテンシャルを表す重要な指標の一つである
(アラン分散とは、センサーの性能を表す指標の一つで、静止時出力の安定性を表している。横軸にデータの平均時間、縦軸に平均時間で区切ったときの平均値の分散を示している。アラン分散に現れる特性の傾きは-1、-1/2、0、1/2、1乗の傾きになることが知られており、アラン分散はノイズ密度と相関性があり、ノイズ密度は周波数、アラン分散は時間で表現される指標である。値が小さいほど、安定度が高く、性能がよいことを示す。)
*7:角度ランダムウォーク
アラン分散の-1/2乗の傾きがある部分を角度ランダムウォークと呼ぶ。ホワイトノイズと相関があるため、平均時間を長くすると平均時間の-1/2乗で値は小さくなる
*8:RS-422
産業・工業製品などで使用されるシリアル転送のインターフェース仕様
*9:INS(Inertial Navigation System)
慣性航法装置
*10:ノンリニアリティ
ジャイロセンサーあるいは加速度センサーの入出力特性において、線形近似したときの近似直線と出力値のずれ幅(誤差)の最大値をフルスケールとの比で表したもの
以上
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