家庭用エコキュートを活用したデマンドレスポンス制御機能を法人向けに提供開始
当社製家庭用エコキュートの一括制御により、効率的な電力の需給バランス調整を実現
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三菱電機株式会社は、家庭用機器を制御する当社独自の法人向けエネルギー制御システム「Living・EARTH(リビングアース)」に、当社製家庭用エコキュート(※1)(以下、三菱 エコキュート)のデマンドレスポンス(※2)(以下、DR)制御を実現する新機能を搭載し、電力会社を含むDRサービス事業者(※3)へ3月3日より提供を開始します。新機能は、DRサービス事業者が契約している多数の三菱 エコキュートの沸き上げ時間を一括制御できるため、天候などにより発電量が変動する太陽光や風力など再生可能エネルギーを利用した発電(以下、再エネ発電)に合わせて、効率的な電力の需給バランス調整が可能になります。これにより、再エネ発電電力の利用拡大、電力の安定供給に貢献します。
近年、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、再エネ発電の導入が進んでいます。電力を安定供給するためには、電力使用量(需要)と発電量(供給)の需給バランスを合わせる必要がありますが、太陽光や風力などの再エネ発電は気象条件により発電量が大きく変動するため、均衡を保つことが難しいという課題があります。特に太陽光発電の普及により、発電量が大きくなる昼間時間帯に電力供給量が電力使用量を上回る頻度が増加しており、一般送配電事業者(※4)が電力使用量と発電量を合わせるために、発電量を一時的に抑制または停止する出力制御を実施しています。こうした中、再エネ発電の出力制御量を低減するため、電力会社を含むDRサービス事業者が発電量に合わせて需要家の電力使用量を変化させて電力需給バランスを調整するDRの重要性が高まっています。最近では、家庭分野のDR推進が注目されており、普及台数が多い家庭用エコキュートの沸き上げ時間帯を夜間から昼間にシフトさせるDR制御が期待されています。しかし、エコキュートを始めとした家庭用機器は住戸毎に分散して設置されていることから、DRサービス事業者が契約している各家庭のエコキュートの機器情報を1台毎に把握して制御するのは手間が大きいという課題があり、多数の機器を束ねて効率的にDR制御するシステムが求められています。
当社は今回、電力の安定供給における課題を解決するため、家庭用機器を制御する当社独自の法人向けエネルギー制御システム「Living・EARTH」に家庭用エコキュートを活用したDR制御機能を新たに搭載することで、DRサービス事業者が契約している三菱 エコキュートの一括制御によるDRを実現します。DRサービス事業者が、翌日のDR制御に必要な電力使用量を事前に入力することで、「Living・EARTH」が多数の三菱 エコキュートの制御計画を策定し、沸き上げ時間帯を夜間から昼間の最適なタイミングにシフトさせるDRの一括制御が可能となり、再エネ発電の出力制御量の低減に貢献します。また、翌日の時間帯別の卸電力取引所(※5)料金単価を事前に入力することによる制御も可能で、発電量が多く料金単価が安くなる時間帯に沸き上げを行い、電力調達コスト低減に貢献します。さらに、1台毎にDR制御が必要となる従来の制御と比較して、通信頻度が抑制できるため、サーバー負荷低減に貢献し、効率的な運用を実現します。
■新機能の特長
1.電力使用量に基づくDR制御により、再エネ発電で実施される出力制御量の低減に貢献
・家庭用エコキュートを活用したDR制御機能を新開発し、家庭用機器を制御する当社独自の法人向けエネルギー制御システム「Living・EARTH」に搭載することで、DRサービス事業者が契約している三菱 エコキュートの一括制御によるDRを実現。DRサービス事業者が翌日のDR制御に必要な電力使用量を事前に入力することで、「Living・EARTH」が多数の三菱 エコキュートの制御計画を策定し、沸き上げ時間帯を夜間から昼間の最適なタイミングにシフトさせるDRの一括制御を実施。再エネ発電で実施される出力制御量の低減に貢献
【Living・EARTHについて】
当社独自のIoTライフソリューションプラットフォーム「Linova(リノバ)」を使用し、家庭用機器を制御する法人向けエネルギー制御システム。複数の機器を束ねて一括制御を可能とすることで、エコキュートなど家庭に設置されるエネルギーリソースを一括制御するDRサービスや、高圧一括受電マンション向けの三菱 エコキュートの群制御システムなどにより、電力需要の平準化、ピーク時の電力低減を実現。WEB API(※6)を提供することで、DRサービス事業者とのシステム連携が容易となり、早期のサービス導入や、柔軟な機能拡充が可能
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2.卸電力取引所の料金単価に基づくDR制御により、電力調達コスト低減に貢献
・DRサービス事業者が翌日の時間帯別の卸電力取引所料金単価を事前に入力することで、「Living・EARTH」が多数の三菱 エコキュートの制御計画を策定し、発電量が多く料金単価が安くなる時間帯に一括制御による沸き上げを行い、電力調達コスト低減に貢献
3.多数の三菱 エコキュートの一括制御により、効率的な運用を実現
・多数の三菱 エコキュートの一括制御により、1台毎にDR制御する場合と比較して通信頻度が抑制できるため、DRサービス事業者のサーバーにかかる負荷を低減し、効率的な運用を実現
・多数の三菱 エコキュートを複数のグループに分けた一括制御が可能。異なる市町村ごとにDR制御をする場合など、各地域の電力需給状況に応じた柔軟なDR制御を実現
■商標関連
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「Living・EARTH」 「Linova」 |
三菱電機株式会社の登録商標 |
■三菱電機グループについて
私たち三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力により、活力とゆとりある社会の実現に貢献します。社会・環境を豊かにしながら事業を発展させる「トレード・オン」の活動を加速させ、サステナビリティを実現します。また、デジタル基盤「Serendie®」を活用し、お客様から得られたデータをデジタル空間に集約・分析するとともに、グループ内が強くつながり知恵を出し合うことで、新たな価値を生み出し社会課題の解決に貢献する「循環型 デジタル・エンジニアリング」を推進しています。1921年の創業以来、100年を超える歴史を有し、社会システム、電力システム、防衛・宇宙システム、FAシステム、自動車機器、ビルシステム、空調・家電、情報システム・サービス、半導体・デバイスといった事業を展開しています。世界に200以上のグループ会社と約15万人の従業員を擁し、2023年度の連結売上高は5兆2,579億円でした。詳細は、www.MitsubishiElectric.co.jpをご覧ください。
※1 無線LANアダプター付リモコンセットまたは無線LANアダプターが接続された2020年度モデル以降の三菱 エコキュート(おひさまエコキュート除く)が対象。なお、「エコキュート」の名称は電力会社・給湯機メーカーが自然冷媒CO2ヒートポンプ給湯機を総称して使うペットネーム
※2 電力需給バランスを調整するために電力需要を制御すること
※3 需要家とDRサービス契約を締結し、需要家の機器を遠隔でDR制御する小売電気事業者等
※4 発電所で発生した電力を需要家が電力を使用する地点まで送電線、配電線などで送り届ける事業者
※5 JEPX(Japan Electric Power Exchange)と呼ばれ、日本で唯一、電力を売買できる取引所
※6 Web Application Programming Interfaceの略。アプリケーション間での情報や機能のやり取りを可能にする窓口のこと
<お客様からのお問い合わせ先>
三菱電機株式会社 電材・住設家電事業部
〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
demandresponse.dpro@rc.MitsubishiElectric.co.jp
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