飲食店の休業、取引先も苦戦鮮明に 食材など納入業者の8割超が前期比で売上減、赤字は4割に上る

年商の2割が消失、年度末にかけて影響はさらに深刻化する見込み

  1. 休業を知らせる張り紙(写真=都内)休業を知らせる張り紙(写真=都内)

    飲食店などと取引を行う食材卸事業者の業績をみると、2020年度10月期までの決算が判明した5000社のうち、8割超に当たる約4300社が前期比で減収となった
  2. 業界別にみると、酒類卸では9割超の企業が前期比で減収。生鮮魚介や食肉などの業態でも8割超が減収だった。4~5月にかけ、受注が大幅に減少したことなどが響いた
  3. 取引企業への支援が検討されてはいるものの、2度目の緊急事態宣言発出による時短・休業要請もあり、年度末にかけて飲食店と取引する企業の業績は悪化がより鮮明となる見込み
 

10月までの業績では、8割超が前年度から減収となった(食材納入業者の2020年度業績)10月までの業績では、8割超が前年度から減収となった(食材納入業者の2020年度業績)

新型コロナの感染拡大で飲食店の苦戦が続くなか、飲食店などに生鮮食品を卸す卸売業者や生産者なども厳しい状況に置かれている。帝国データバンクが飲食店向けなど食材卸事業者の業績を調査した結果、2020年度10月までの決算が判明した約5000社のうち8割超にあたる約4300社で前年度から売り上げが減少していたことが分かった。また、売り上げの減少幅は平均で前期比約2割に達しているほか、半減した企業も多くみられる。  

また、減収4300社のうち利益動向が判明した企業約1400社をみると、3割が最終損益で赤字に転落、6割が前年度から減益となり、利益面でも悪影響を受けた企業が9割に達する。「外食向けの業務用販売が落ち込んだままで、回復の見通しが立たない」(食肉卸)といった声が上がるなど、コロナ禍で対飲食店ビジネスが置かれた厳しい経営環境が鮮明となっている。  

飲食店の休業や営業時間の短縮、新規出店中止などの影響を色濃く受けたほか、緊急事態宣言が発出された4~5月にかけては前年同月比で売上が半減するなど業績への影響が極めて大きかった。他方、現状では飲食店や観光業などに給付される協力金などの支援策に乏しく、また飲食店の客足回復に向けたメドも立っていない。11月以降の決算企業はさらに長期間コロナ禍の逆風下に晒されており、年度末にかけて影響がさらに深刻化するとみられる。

居酒屋向けが多い酒類卸は9割超が減収、 生鮮魚介や食肉等の卸も8割超で業績が落ち込む

酒類卸は居酒屋向けなどが振るわず、9割超が減収(業種別の減収企業割合(取引社数上位順))酒類卸は居酒屋向けなどが振るわず、9割超が減収(業種別の減収企業割合(取引社数上位順))

分析対象は帝国データバンクが保有する企業データベースのうち、食肉や青果など生鮮食品、酒類の食材納入業者5000社を対象とした。  最も影響が大きかったのは酒類の卸業者で、2020年度の業績が判明した681社中634社に達し、業態全体の9割超が前期比で売り上げを落とした。緊急事態宣言の発出以外にも、飲食店の中でも営業が特に厳しく制限された居酒屋やバーなどが取引の中心だったことで受注が急減するなどの影響を色濃く受けた。

生鮮魚介卸でも全体の9割に迫る企業で売り上げが減少した。商材となる鮮魚が折からの不漁に見舞われ供給体制が不安定だったことに加え、新型コロナの拡大で飲食店向けの需要急減が追い打ちとなった。食肉卸や野菜など青果類の卸業者でも新型コロナの影響で飲食店向けなどが振るわず、緊急事態宣言の発出された4~5月にかけては前年同月比で半減以上の売上減少に見舞われた企業もある。結果的に7割以上の企業が前期比で減収を余儀なくされるなど、10月時点で既に経営環境の厳しさが業績に反映された。  

飲食業態をめぐっては近年、インバウンド需要や共働き・単身世帯の増加も背景に、需要は概ね堅調に推移していた。しかし、昨年3月からは新型コロナの感染が拡大し、卒入学式や歓送会など主要なイベントが軒並み自粛・中止となった。さらに、4月から5月にかけては緊急事態宣言の発出などで取引先の飲食店が営業自粛したことに伴い、業務用の食材などを中心に飲食店向けの需要が大きく落ち込んだ。  

そのため、一部の卸事業者では販売が好調なスーパーなど小売店へのシフトやネット通販などによる直売事業、飲食店のテイクアウト業態に対応した商品の品揃え強化など対策を進め、売り上げの確保に尽力する動きも見られた。しかし、全体の売上減少を補うには至らず、結果的に通年で減収を余儀なくされたケースが多くみられている。

取引企業に対する支援の輪広がるも、関連産業の業績悪化は今後より深刻化する見込み
こうしたなか、飲食店の苦戦が連鎖する取引企業を支援しようとする動きが広まっている。大手外食チェーンなどは、生産者や納入業者から仕入れた食材を店頭で販売するほか、一般消費者向けに業務用食材の販売支援を行うなどの取り組みを既に始めている。また、中食や家庭内食事など巣ごもり需要の拡大を背景に、販売が好調なスーパーやドラッグストアなど小売店向け商材の取り扱い強化を進める動きも進んでいる。  

ただ、安定した取引が見込まれた飲食店に代わる新規取引先や事業の開拓は各社にとって容易ではない。今後も業務用で既に仕入れた日持ちしない生鮮食品などの滞貨や廃棄などの損失が発生するほか、量販店向けの商材は利幅が薄いケースも多く、業績回復の起爆剤となるかは不透明さが残る。「通年を通して最繁忙期となる年末年始需要も無くなったほか、Go To事業の停止で居酒屋関係からの受注量が当初予定から大幅に減少した」といった声も上がるなど、依然として厳しい状態に置かれている点は変わらない。  

このため、2020年度3月期にかけて飲食店と取引する卸事業者の業績は、悪化がより深刻化するとみられる。政府はこうした事業者を対象に給付金による支援などを検討するとしているが、飲食店同様に幅広く迅速な支援が早急に求められる。
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