feebee「re Narrativeのためのプルラリティ」をアートかビーフンか白厨(六本木)にて2025年7月4日(金)から開催

株式会社The Chain Museum(本社:東京都渋谷区、代表取締役:遠山正道、以下「The Chain Museum」)は、当社が運営する六本木にある飲食併設のギャラリー「アートかビーフンか白厨(パイチュウ)」にて、2025年7月4日(金)〜8月9日(土)の会期で、アーティスト・feebeeによる個展「re Narrativeのためのプルラリティ」を開催いたします。
本展では、パンデミック以降に影響力を増したナラティブの力と、それがもたらす共感や誤解、連帯や分断といった社会的影響に着目し、現代におけるナラティブのあり方をアーティスト自身のこれまでの作品や社会的関心を背景に考察します。新作に加え、2020年に制作された作品《The Great Transformation(大転換)》も展示いたします。
※本展の出展作品はArtSticker限定で販売いたします。また全て「先着制」で2025年7月4日(金) 17:00から販売受付をいたします。
※7月5日(土)19:00〜21:00にはどなたでも無料でご参加いただけるレセプションも開催いたします。
展覧会ステートメント
ナラティブ【narrative】
物語。朗読による物語文学。叙述すること。話術。語り口。
現在私たちは、XやTikTokなどに代表されるSNSや、検索エンジンなど非報道系のプラットフォームを通じて、日々の多くの情報を得ています。個人的なナラティブがSNS上で共有され、共感を呼び、社会的な行動や認識に影響を与える場面も増え、ハッシュタグ運動や災害時の支援など、社会的な変化につながった例も見られました。しかし、感情に訴えるナラティブは、共感とともに広まりやすい特徴を持つため、人々の連帯を生む一方で、エビデンスや文脈を欠いたまま拡散され、誤解や混乱を引き起こし、誤情報や陰謀論が拡散される要因にもなっています。
ナラティブの持つ影響力は非常に大きなものです。その力が人の心を動かすものであることは、私自身もこれまで幾度となく感じてきました。なかでも、私に強く印象を残しているのが、2016年に制作した作品《三猿》で引用したことのある 「筒井筒」の逸話です。豊臣秀吉に献上された高価な茶碗を、小姓が誤って割ってしまった際、秀吉は激怒し、小姓を手打ちにしようとしました。しかしその場に居合わせた細川幽斎は、とっさに「筒井筒 五つにわれし 井戸茶碗 咎をば我に 負ひしけらしな」と詠み、割れた器に別の意味を見立てることで、秀吉の怒りを鎮め、小姓の命を救ったと伝えられています。起こってしまった事象を肯定的に捉え直し、それを伝えて人の心を穏やかな方向に導いた幽斎のナラティブに感銘を受け、当時私は「筒井筒」をシンボルとして作品に取り入れましたが、感情が即時に可視化され、拡散し、分断が加速する現在のデジタル社会において、こうしたナラティブは届くべき時に届かず「美談」や「楽観」として片づけられてしまうのではないか?という疑念が、次第に強まりつつありました。
2020年、私は《The Great Transformation(大転換)》という作品を通じて、コロナ禍が社会にもたらす見えない不安と、構造の変化の兆しを描きました。インターネットの普及とともに大きく形を変えてきた社会が、パンデミックを機に新たな局面へと向かうかもしれない。 そうした予感がこの作品の背景にありました。
その後、パンデミックによって外出や対面での活動は制限され、自宅で過ごす時間が長くなったことは誰もが記憶に新しいと思います。このような状況において世界中でインターネットの利用時間が増加し、冒頭で述べた通り、誤解や混乱を引き起こすナラティブの影響力がとても大きくなってしまいました。
この増大したナラティブの影響力が今後の社会にどのような変化をもたらすのか?私自身アーティストとしてナラティブをどう扱うべきなのか?そう考えていたときに、台湾のプログラマー オードリー・タン氏の実践を目にしました。コロナ禍において、タン氏は「Humor over rumor(噂よりユーモアを)」という理念のもと、フェイクニュースが広がる前に、ユーモアを交えた正確な情報を素早く届けることで、対立や不安の連鎖を断ち切ろうという試みを行い実績をあげていました。秀吉の怒りを詩によって鎮めた「筒井筒」の逸話がそうであったように、情報の伝え方ひとつで、感情の行き先を穏やかな方向へと導いたのです。幽斎の逸話が一人の怒りに即興で寄り添うナラティブだったのに対し、タン氏の実践は、社会全体に急速に広がる不安や対立に応答するため、共感と拡散性を備えたナラティブとして情報を再構成し、感情の流れを先回りして整えるという、戦略的な手法でした。ナラティブが分断や誤解の温床にもなりうるなかで、タン氏はその拡散性と感情への訴求力を、社会に信頼をもたらす方向へと意図的に転化しました。その根底にあるのが、タン氏が一貫して掲げている「プルラリティ(多元性)」という考え方です。これは、ただ多様性を受け入れるだけではなく、AIやテクノロジーの力を借りながら、対立する意見をもつ人々が協調的に共存できる場を築くことを目指す思想です。ナラティブが争いを煽る可能性をはらむこの時代において、タン氏の試みは、ナラティブの力を「つなぐ力」として活かすひとつの在り方を示しており、私は幽斎とタン氏のナラティブに共通する”ポジティブな創造性”に希望を感じました。
現在、コロナ収束後もなおインターネットの使用時間は増え続けており、今後ナラティブの影響力がさらに増していくことは想像に容易いですが、私たちはナラティブが断絶や連帯のいずれをも生み出す力を持つことを理解して、幽斎やタン氏のように、その力を創造的な方向へと活かし続けることが重要なのだと、私は思っています。
feebee
Information
re Narrativeのためのプルラリティ
会期
2025年7月4日(金)〜8月9日(土)
会場
アートかビーフンか白厨
住所
〒106-0032 東京都港区六本木5丁目2−4 朝日生命六本木ビル 2階
(エレベーターの左手奥にある階段を2階までお進みください)
電話番号
03-6434-9367
開催時間
17:00〜23:00
休館日
日・月
観覧料
無料
アクセス
日比谷線「六本木駅」徒歩4分、大江戸線「六本木」徒歩7分
千代田線「乃木坂駅」徒歩13分、南北線「六本木一丁目駅」徒歩13分
参加アーティスト
feebee / フィービー
主催
ArtSticker(運営:The Chain Museum)
展覧会ページURL
https://artsticker.app/events/77123
アーティスト

feebee / フィービー
イラストレーターとしてのキャリアを経て、2015年よりアーティストとして活動を開始。タブローの制作に加え、伝統木版画の制作(絵師として参加)や、アートトイのデザイン、アパレルブランドとのコラボレーションなど、多方面にわたる創作を意欲的に展開している。
主な展示歴:
2024年 展覧会「浮世絵現代」(東京国立博物館 表慶館)出展
2023年 個展「私は、私と私の環境である」(roid works gallery)
2020年 個展「変化しつつ循環するもの」(六本木ヒルズA/Dギャラリー)ほか
会場:アートかビーフンか白厨(パイチュウ)


ArtStickerを運営するThe Chain Museum がプロデュースする台湾料理が楽しめるアートギャラリーです。再開発で取り壊しの決まっている雑居ビルにて毎月アートプロジェクトを企画運営しています。「アートかビーフンか」という名前の通り、お客さまにはギャラリー空間での作品鑑賞を楽しんでいただくことも、飲食スペースにて食事をしていただくことも可能です。(ドリンク片手に作品鑑賞も可能です)店名の「白厨」はホワイトキューブへのリスペクトや憧れと、キッチンから漂う安心感や温かみを組み合わせた造語です。
▼Instagram
https://www.instagram.com/paichu_artsticker/
ArtSticker(アートスティッカー)について

株式会社The Chain Museumが運営する、アートに出会う機会と、対話を楽しむ場所を提供し、アート鑑賞の「一連の体験をつなぐ」プラットフォーム。著名アーティストから注目の若手アーティストの作品まで、幅広く収録。作品のジャンルも、インスタレーション、絵画、パフォーミングアーツなど、多岐にわたっています。
また、ArtStickerはデジタル上だけでなく、リアルでユニークな場所と出会うことで、アートやアーティストが世界と直接つながることを希求しています。
▽ArtSticker Webサイト
▽ArtSticker ダウンロードURL
App Store:https://apps.apple.com/app/artsticker/id1446438049
株式会社The Chain Museum概要
The Chain Museumは「気付きのトリガーを、芸術にも生活にも。」というミッションを掲げ、これまで、気付きのトリガーを世界中に伝播させるために、アーティストと鑑賞者の新しい関係性が生まれる場をつくる「ArtSticker事業」、生活の中にアートを散りばめるために、ホテルや商業施設、オフィスなどの空間プロデュースを行う「Coordination事業」、そして、アートとのより多様な関わり方を提案するために、自らが運営する「Gallery事業」を展開。デジタルとリアルを相互に駆使し、気付きのトリガーを伝播させてまいります。
社名 :株式会社 The Chain Museum(読み:ザ・チェーンミュージアム)
所在地 :東京都渋谷区猿楽町17-10 代官山アートビレッジ3階 代官山TOKO
代表者 :代表取締役 遠山 正道
▽The Chain Museum 公式Webサイト
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