琵琶湖博物館学芸員が研究代表を務めるナレズシ研究の成果が公表されました

滋賀県立琵琶湖博物館

 龍谷大学発酵醸造食品機能性研究センターの研究グループにより、市販フナズシに含まれる微生物叢と成分が解析されました

概要

・橋本道範専門学芸員が研究代表を務める【サントリー文化財団2022年度研究助成「学問の未来を拓

 く」, 「ナレズシはいかに「洗練化」したのか―乳酸菌分析にもとづく環境史へのアプローチ」】の

 助成により実施

・滋賀県で作られているフナズシの香りや風味の違いと乳酸菌の関係を調べた

・滋賀県内27か所の市販フナズシに含まれる乳酸菌の叢(集団)を調査

Lactobacillus属の2種の乳酸菌が主要な乳酸菌となっていることが判明

詳細

 滋賀県の伝統的な発酵食品であるフナズシは、ナレズシという乳酸発酵を利用した保存食の一つです。琵琶湖で獲った二ゴロブナを塩漬けし、米飯と共にフナを丸ごと漬け込みます。発酵中に産生する乳酸によって骨が軟らかくなり、骨まで食べることができます。一般に、夏に漬け込んだフナズシは、約4カ月かけて十分に発酵が進み、お正月には食べ頃を迎えます。

長浜市の割烹旅館で提供されているフナズシ

 滋賀県に根付くフナズシの発酵にどのような微生物叢が寄与しているか、どのような有機酸が含まれるかを明らかにすべく、龍谷大学 発酵醸造食品機能性研究センターの島 純教授(龍谷大学農学部 生命科学科)、田邊 公一教授(龍谷大学農学部 食品栄養学科)、吉山 洋子氏(龍谷大学農学部 生命科学科・ラボラトリー専門助手)、塩田 隆氏(広島修道大学 健康科学部 健康栄養学科 助教)ら研究グループは、滋賀県内27箇所の市販鮒寿司を対象に含まれている微生物叢の解析と成分分析を実施しました。

【研究結果概要】

乳酸菌叢の解析の結果、フナズシに含まれる乳酸菌はLactobacillus acetotoleransを主とするグループと、Lentilactobacillus buchneriを主とするグループの2つに大別できることが判明しました。また、どの乳酸菌が優占種となっているかによって酢酸や乳酸といった有機酸の産生量が異なることから、乳酸菌叢の違いが鮒寿司の風味に影響を及ぼす可能性が示されました。

本研究成果は、日本生物高分子学会が発行するオープンアクセスジャーナル『食品・臨床栄養』(2024年 e2024巻)において公表されました。

【発表論文】

タイトル:市販鮒寿司に含まれる微生物叢解析と成分分析

著者:塩田 隆1, 吉山 洋子2, 後藤 美帆2, 加藤 早也花2, 佐藤 咲2, 塩入ヶ谷 郁2, 島 純2, 3, 田邊 公一2, 3, 橋本 道範4

所属(投稿時点):1 龍谷大学大学院 農学研究科, 2 龍谷大学 農学部, 3 龍谷大学 発酵醸造微生物リソース研究センター, 4 滋賀県立琵琶湖博物館

掲載誌:『食品・臨床栄養』(2024年 e2024巻 p.1-10)(日本生物高分子学会)

DOI :https://doi.org/10.11473/fcn.e2024.1

※本研究は、サントリー文化財団2022年度研究助成「学問の未来を拓く」, 「ナレズシはいかに「洗練化」したのか―乳酸菌分析にもとづく環境史へのアプローチ」 (研究代表者:橋本道範、2022年8月~2023年7月)の助成によって実施されました。

*本研究の一部は、3月15日(土)13時30分~開催される研究報告会「江戸時代のフナズシに、挑戦する」(会場:琵琶湖博物館セミナー室)でも報告されます。

 より詳しい研究内容は、龍谷大学News Centerの記事をご参照ください。

 龍谷大学News Center 該当記事(外部リンク)

 https://hakko.ryukoku.ac.jp/blog/news/news-362/

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URL
https://www.biwahaku.jp/
業種
官公庁・地方自治体
本社所在地
滋賀県草津市下物町1091番地
電話番号
077-568-4811
代表者名
亀田佳代子
上場
未上場
資本金
-
設立
1996年10月