ボッシュ:2018年の売上高と業績が過去最高水準

 事業売上高は779億ユーロ(約10兆円*)に増加

ボッシュ

ボッシュ・グループは、景況が厳しく、市場が弱含みで推移する中においても成長軌道を歩み続けており、2018年の事業売上高と業績は過去最高を記録した前年度の水準に達しました。暫定決算報告によると、2018年の売上高は779億ユーロ(約10兆円*)でした。為替変動のマイナスの影響を受け、売上高は21億ユーロほど押し下げられたものの、為替調整後で前年比4.3%増となりました。
  • „支払金利前税引前利益(EBIT)は53億ユーロに到達
  • 売上高利益率は6.9%
  • 自動運転:約40億ユーロの先行投資を予定
  • eモビリティ:2025年に50億ユーロの売上高達成を目指す
  • AI(人工知能):2021年までに4,000人のAIエキスパートを雇用

決算の結果についてボッシュ取締役会会長のフォルクマル・デナーは、暫定決算報告発表の記者会見で「経済的に厳しい環境において、ボッシュは2018年も安定した実績を残すことができ、売上高と業績は2017年に引き続き過去最高水準に達しました」と述べ、さらにこう続けました。「私たちは技術革新のリーダーとして、テクノロジー、ビジネスの両面で私たちが関わる市場において変革を形作っていきたいと考えています。そして、コネクティビティにフォーカスした私たちの戦略は実を結びつつあります」。

ボッシュは、2018年に計5,200万台のネットワーク接続対応製品を販売し、この数は前年比で37%増加しました。2018年の支払金利前税引前の営業利益(EBIT)も約53億ユーロ(約6,900億円*)に達し、売上高利益率は6.9%でした。ボッシュ取締役会副会長で財務を担当するシュテファン・アーセンケルシュバウマーはこう述べています。「今年も景況が厳しく推移すると予測されていますが、ボッシュはそうした中においても、市場を上回る成長と高い水準の収益を目指します。全事業セクターが競争力を高め、技術革新をリードできるよう支援することで、ボッシュの未来を確実なものにしたいと考えています」


自動化1:約40億ユーロの先行投資を予定
ボッシュの研究開発における中心的なテーマの1つが、自動運転です。Accident-free(交通事故のない)モビリティに向けた事業の一環として、ボッシュは2つの開発路線を展開しています。その1つが、自家用車で部分的な自動運転(自動運転レベル2および3)を可能にするドライバー アシスタンス システムで、ボッシュはこの分野においてテクノロジー、市場シェアの両面でリーダーとしての地位を築いています。ボッシュは今年、ドライバー アシスタンス システムの売上高が20億ユーロを超えると予測しています。2つ目の開発路線となるのが、2020年代初めにスタートするドライバーレス自動運転(自動運転レベル4および5)です。「ドライバーレスの自動運転は個々のモビリティを根本から変え、ロボットタクシーやシャトルベースのモビリティなど、常識を覆すビジネスモデルへとつながっていくでしょう」とデナーは述べています。デナーは、自動運転は技術的に複雑であるため今後は投資が焦点になる、と考え、「私たちは2022年までに、総額40億ユーロの先行投資をする予定です」と述べています。ボッシュでは現在、約4,000人のエンジニアが自動運転の開発に携わっています。

自動化2:モビリティサービスのための包括的なエコシステム
パーソナルモビリティ(個人の移動に関する市場)は2015~2030年の間に50%増加するとされており、自動運転の市場潜在力は非常に大きなものです(出典:ITF)。アナリストはまた、今後10年間で自動運転関連のハードウェアおよびソフトウェアの市場が約600億ドル規模にまで成長すると予測しています(出典:Roland Berger)。そして2025年には、世界中を走る250万台のオンデマンド型シャトルバスの大半がドライバーレスになり(出典:Roland Berger)、2035年までにシェア型モビリティサービス関連の売上高が約1,600億ドルに達する、と専門家は見ています(出典:BCG)。

ボッシュはこうした形態のモビリティを、テクノロジーとサービスの両面でサポートしていきたいと考えています。ボッシュのモビリティサービス向けのエコシステムは、すでに予約、支払い、駐車、充電、管理/保守、インフォテインメントなどのサービスやソリューションを融合させています。これらのサービスの1つが、ネットワークに対応した電気自動車向けのナビゲーション&充電ソリューションである「コンビニエンスチャージング」です。このサービスについて最初の顧客となったのは、ドイツの電気自動車メーカーSono Motors社です。「私たちのIoTソリューションを通じて、eモビリティを日常利用に適したものにしたいと考えています」とデナーは述べています。

電動化1:マスマーケットでリーダーシップを発揮
ボッシュは2018年に30件のeモビリティのプロジェクトに携わり、その総額は数十億ユーロに上りました。さらに、ボッシュは2025年までに、この分野の売上高を総額50億ユーロに伸ばすことを目指しています。「私たちは、eモビリティのマスマーケットで主導的な役割を果たしたいと考えています」とデナーは述べています。eモビリティ分野でボッシュほど多様な活動を展開している企業は他にありません。自転車からトラックまで、あらゆる種類のパワートレインの電動化に取り組んでいます。例えば現在、世界中の100万台以上の車両にボッシュ製の電動コンポーネントやハイブリッドコンポーネントが搭載されています。デナーはさらにこう続けました。「ボッシュ製の部品を搭載していない電気自動車は地球上に存在しない、といずれ言われるようになるでしょう」。これは特に世界最大のeモビリティ市場である中国に当てはまり、ボッシュはすでにこの地域の乗用車セグメントをけん引しています。ボッシュは昨年、電動自動運転について中国の電気自動車メーカーのNIO社と戦略的パートナーシップを結びました。ボッシュはまた、2019年中国において、電気自動車向けの非常にコンパクトなパワートレインソリューション「eAxle」の量産をスタートさせる予定です。さらに数週間前には、新たに開発された48Vバッテリーが中国で量産体制に移行しました。早ければ2030年には、世界の新車の約20%が48Vシステムによって部分的に電動化されることになるでしょう。

電動化2:物資の輸送の電動化
世界の貨物輸送量は、2030年までにほぼ倍増すると見られています(出典:ITF)。「トラックはパワフルであるべきですが、環境や大気環境にマイナスの影響を与えるべきではありません。そこでカギを握るのが、電動化です」とデナーは述べています。早ければ2030年には、新規登録された世界の商用車の約4分の1(中国では約3分の1)以上が部分的に電動化される見込みです。ボッシュの製品ラインナップには、電動貨物二輪車向けの36Vパワーパック、ドイツポストの「StreetScooters」のような小型商用車向けの電動モーター、小型/大型トラック向けの「eAxle」、セミトレーラー向けの電動アクスル、さらに40トントラック向けの燃料電池パワートレインなど、排出ガスのない(Emission-free)貨物輸送を可能にする各種製品が含まれています。「部分的電動化、完全電動化、バッテリー駆動、燃料電池のいずれにおいても、私たちは市場に対応する準備をすでに整えています」とデナーは述べています。

AI(人工知能)1:ボッシュの専門知識の主力分野に
ボッシュの主力分野の1つがいずれ、AI(人工知能)の産業面での活用になっていくとデナーは捉えています。「ボッシュは2020年代半ばまでに、ボッシュの製品すべてにAIを搭載するか、またはAIが製品の開発・製造に関わるようにしたいと考えています。現在は、北米と中国の企業が消費財産業のAIで優位な立場にあります。しかし、交通、製造、建物などの分野の専門知識がなければ、産業用AIの可能性を完全に引き出すことはできないでしょう」(デナー)。ボッシュがこれについて野心的な目標を設定しています。「私たちは技術革新のリーダーとして、AIを自分たちで使いこなし、AIの世界大手の一社になりたいと考えています」。この目標を達成するために、ボッシュは2021年までに自社のAIエキスパートの数を現在の4倍、つまり1,000人から4,000人に増員することを計画しています。

AI(人工知能)2:路上と宇宙にまたがるボッシュのAI
AIセンター(BCAI:Bosch Center for Artificial Intelligence)では、数多くの従業員が150件以上のプロジェクトに携わっています。そのうちの1つが、センサーシステム「SoundSee」です。「このSoundSeeのアルゴリズムは機械学習を応用し、故障の兆候を聞き取ります」とデナーは説明しています。これにより、機械の故障を正確に予測できるようになり、メンテナンスコストの削減や生産性の向上にもつながります。この「SoundSee」は今年の中頃に、国際宇宙ステーション(ISS)に送られることになっています。ボッシュは、このソリューションを製造、建物や自動車工学などの商業用途に活用できると見ています。AIの進化のもう1つの例は、画像処理アルゴリズムとAIメソッドを組み合わせた自動運転用の多目的カメラです。この車両向けのインテリジェントなカメラは、例えば歩行者を発見し、すぐにその挙動を認識・予測することができます。

職業訓練:「ラーニングカンパニー」と「Bosch Tube」
ボッシュは毎年、従業員の職業訓練のために約2億5,000万ユーロを投入し、約1万9,000種類におよぶプログラムを展開しています。これらは、新しい事業分野に積極的に参入できるよう、従業員が準備を整え、スキルを獲得することを目的としています。さらに、従業員の日常業務に学習を組み込むことを目指すイニシアチブ「ボッシュ ラーニングカンパニー」も立ち上げられました。これにより、教室で受講する一般的なコースに加え、外出先でも学習できるアプリやビデオ教室も新たに利用できるようになりました。「ボッシュ ラーニングカンパニーは、学ぶことについて従業員各自が責任を持ち、自分のペースで進められるよう後押しする取り組みです」とデナーは説明しています。さらに、ボッシュ従業員のためのYouTubeとも言える「Bosch Tube」が新たに始まりました。自分でビデオチュートリアルを作成して「Bosch Tube」にアップデートすることができ、ここにはオンラインの動画授業のライブラリ全体も含まれています。

機動性:1つの目標に向かう本社部門組織
ボッシュは年初に、本社と事業部門との連携方法の見直しを行いました。「この見直しは、事業部門がモビリティソリューションやIoTに関連したネットワーク化事業を展開するときに、本社部門が事業部門をしっかりサポートできるようにするために行いました」とデナーは述べています。そのために、ボッシュは購買や人事などの本社部門の構造を簡素化し、40に上る本社部門を20に集約しました。さらに、本社部門を担当する取締役を8人から4人体制に変更し、他の取締役は事業部門の責任を負うことになりました。現在は購買、財務、人事、ITなどのボッシュ本社部門で、合わせて約2万人の従業員が働いています。

2018年の事業セクター別業績
ボッシュの事業セクターは2018年に、全体的に良好な業績を達成することができました。モビリティ ソリューションズ セクターの売上高は、世界の自動車業界の成長率を今回も上回ることができました。暫定的決算では、売上高が2.3%増(為替調整後は4.7%増)の470億ユーロに達しました。消費財セクターについては、売上高が3.2%減の178億ユーロとなりました。為替の影響を大きく受けたことと、主力市場で厳しい価格圧力にさらされたことが、BSH Hausgeräte GmbHと電動工具事業部の業績に響くことになりました。その影響を差し引いた後の売上高の伸びは0.9%でした。産業機器テクノロジー セクターの売上高は8.9%増(為替調整後は11%増)の74億ユーロに達し、事業セクター全体で最も力強い成長を見せました。同セクターの中でも特に好調な業績を挙げたのが、ドライブ&コントロール テクノロジー事業部です。

また、ボッシュは現在、同セクターの包装機械事業の売却を予定しており、現在売却先を探しています。エネルギー・ビルディングテクノロジー セクターの売上高は、2.3%増(為替調整後は4.7%増)となる55億ユーロの売上高を達成しました。

2018年の地域別業績
2018年の欧州でのボッシュ・グループの売上高は410億ユーロに上り、前年比で2.1%、為替調整後では3.7%の伸び率となりました。この成長に大きく貢献したのがドイツとオーストリアです。北米でのボッシュ・グループの売上高は、為替調整後で7.9%増、名目ベースで2.8%増の123億ユーロに達しました。この売上増の大きな要因は自動車業界の復調です。一方、南米の売上高は前年を下回りました。特にブラジルとアルゼンチンの主力市場で為替のマイナスの影響を大きく受けたことが、その主な要因となっています。名目ベースの売上高は14億ユーロで、前年比7.8%の減収となり、為替調整後の売上高は8.9%増加しました。アジア太平洋地域(アフリカを含む)の売上高は、0.4%増(為替調整後は3.1%増)の232億ユーロに達しました。なお、同地域は総売上高の約30%を占めています。

従業員数:約7,800人増加
2018年12月31日時点で、ボッシュ・グループの総従業員は全世界合わせて約41万人となり、前年比で約7,800人増加しました。特に増員されたのは欧州とアジア太平洋地域で、ドイツ国内では約1,700人増えました。ボッシュは、ITやソフトウェア関連のエキスパートを引き続き増員したいと考えています。

2019年の展望:高いレベルの収益を確保
2019年の世界経済について、ボッシュでは2.3%前後の成長に留まると見ています。「私たちが設定した慎重な展望は、英国のEU離脱をめぐる未解決の問題や貿易摩擦など、地政学的要因に由来するさまざまなリスクを考慮しています。さらに、報復関税や自由貿易協定の撤回という形で現れているかなり保護主義的な経済政策、そして個人消費や個人投資の低迷も影響しています」と、ボッシュで財務担当取締役を務めるアーセンケルシュバウマーは述べています。そうした中において、ボッシュは今年も市場を上回る成長を遂げ、多額の先行投資を行いながらも高いレベルの収益を確保し続けることを目指します。

 *2018年の為替平均レート、1ユーロ=130.92534円で計算

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会社概要

ボッシュ株式会社

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URL
http://www.bosch.co.jp/jp/
業種
製造業
本社所在地
東京都渋谷区渋谷3丁目6番7号
電話番号
0800-888-4000
代表者名
クラウス・メーダー
上場
未上場
資本金
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設立
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