【武蔵野大学】武蔵野大学国際総合研究所がリオにおけるG20首脳会議関連のセミナーで政策提言集を発表

悉皆成長(No One Left Behind)のための多様性経路政策提言

学校法人武蔵野大学

G20 Social Summitに臨むグローバル・サウス研究会メンバー(11月14日)

武蔵野大学国際総合研究所(所長:西村 英俊)は、2024年5月より「グローバルサウス研究会」を実施し、グローバル・サウス台頭による新たな国際秩序の基本的方向性を示すビジョンの策定を進めてきました。その結果として、取りまとめられた政策提言集「悉皆成長のための多様性経路」を今回、11月11日、12日のT20(G20に併催されるシンクタンクの協議体)サミットにおいて配布・説明し、11月13日のT20サイド・イベント・セミナー(A High-level T20 side event reflecting Global South Aspirations : Innovative Strategies for Disaster Resilience)、11月14日のG20 Social Summitにおいて、「Fortifying Global South Economies through Dynamic Governance Solutions」のテーマで発表・討議しました。その後、前議長国インドのG20シェルパ(首席政府代表)であるH.E. Amitabh Kant氏、ブラジル駐箚インド特命全権大使H.E.Suresh Reddy氏等と本報告書に関する協議を行いました。11月15日には、議長国ブラジルのG20シェルパを通じて、参加国のG20シェルパ全員に報告書40冊を配布し、情報共有を行いました。

【本件の内容】

■報告書作成の背景

現下の国際社会は、グローバル・サウス諸国の台頭により、その基本的構造を大きく変えつつあります。20世紀中の国際秩序は、先進国(グローバル・ノース)と発展途上国(グローバル・サウス)とを明確に峻別することを基盤とする国際レジームが趨勢でした。即ち、先進国が発展途上国を指導し、援助する、という構造が国際秩序の基盤であったわけです。20世紀の国際世界の骨格をなした、ブレトンウッズ体制、ワシントン・コンセンサス等は、それぞれの時代に応じて構築された、この先進国主導の国際秩序を機能させるための指針として活用されました。一方、グローバル・サウスが台頭する21世紀の現下では、このような峻別は最早無意味になり、それとともに、先進国主導の国際秩序では地球統治(グローバル・ガバナンス)が不可能になりつつあります。

このような時代の変化に対応し、グローバル・サウス台頭後の新しい時代の構造を示すビジョンを示すことを目的として、武蔵野大学国際総合研究所「グローバル・サウス研究会(MIGA-GSRC)」は、『「No One Left Behind」のための多様性経路政策提言』(以下、MIGA-PP)を作成しました。SDGsのスローガンである「No One Left Behind」、とは、悉皆成長、即ちヨーロッパ人だけではなく、アジア人も、アフリカ人も、地球上の全ての人々が近代化を推進し、経済成長できることを示しています。MIGA-PPはそのような新しい時代の基本的方向性を示す政策提言集です。

T20サイド・イベント・セミナーのキーノート・スピーチで報告書総論を発表する西村所長(11月13日)

■報告書の概要

先進国主導の国際秩序とは、「グローバル・サウス諸国(アジア/アフリカ人)は内生的(endogenous)に近代化を進めることが困難です。従って、アジア/アフリカ人が近代化しようとすれば、グローバル・ノースの人々(主として、ヨーロッパ人)の指導をよく聞き、その援助を受け入れるという方法しかない。」という前提に立っています。このような考え方を、「外生的(exogenous)」近代化、と呼びます。これに対してMIGA-PPでは、アジア/アフリカ人の内生的近代化の能力を正面から認めます。その結果、近代化の経路は、ヨーロッパ人がかつて自ら実施し、現座アジア/アフリカ人にそのまま採用することを強く推奨している経路だけではなく、アジア/アフリカ人の内生的近代化に応じて、数多くの経路を辿ることとなります。アジア/アフリカ人の内生的近代化による、近代文明の進化経路の多様性、が報告書の中核的なテーマとなります。

報告書では、今日の地球社会が直面する10個の重要な政策課題※のそれぞれについて、グローバル・ノースとグローバル・サウスの双方が合意している地球社会の共通の課題をグローバル・コモン・ターゲットとして整理し、それを実現するためのグローバル・ノースの戦略を伝統的西欧型経路としてまとめ、それに対して、内生的近代化によるグローバル・サウス独自の戦略をグローバル・サウス多様性経路として構築し、さらにそれを実現するために必要とされる政策提言を行いました。

※10個の政策課題については下表参照。報告書全文は右上画像内QRコードよりご覧いただけます

1.地球環境問題

政策提言I

 地球温暖化問題

政策提言II

 エネルギー

政策提言III

 カーボンクレジット・ボランタリー市場の活性化

政策提言Ⅳ

 ジオグラフィック・シュミレーション・モデル

政策提言Ⅴ

 流域生態系強化型都市開発

2.発展戦略

政策提言Ⅵ

 「リープフロッグ」発展戦略

政策提言Ⅶ

 新たな国際開発金融制度の創設

3.社会セクター

 政策提言Ⅷ

 農業システムの多様性の活用で実現する包摂的で持続可能なバリューチェーンの構築

 政策提言Ⅸ

 グローバルサウスの開発戦略のための保健と医療

 政策提言X

 ウェル・ビーイング文明の構築 -近代文明の「応学」進化

■グローバル・サウス研究会について

発展戦略、開発経済学等の観点から、各主要論点について一流の業績、専門性を持つ専門家を研究会委員として招聘するとともに、産官学の主要な機関・企業をオブザーバとして、活発な議論を行っています。政府からは、内閣官房、外務省、厚労省、農水省、経産省、環境省等、政府関係機関からはJICA、JETRO、JOGMEC等のオブザーブを得て、また企業からも多くの参加者を得ています。

【武蔵野大学について】

武蔵野大学 有明キャンパス

1924年に仏教精神を根幹にした人格教育を理想に掲げ、武蔵野女子学院を設立。武蔵野女子大学を前身とし、2003年に武蔵野大学に名称変更。2004年の男女共学化以降、大学改革を推進し12学部20学科、13大学院研究科、通信教育部など学生数13,000人超の総合大学に発展。2019年に国内私立大学初のデータサイエンス学部を開設。2021年に国内初のアントレプレナーシップ学部を開設し、「AI活用」「SDGs」を必修科目とした全学共通基礎課程「武蔵野INITIAL」をスタートさせる。2023年には国内初のサステナビリティ学科を開設2024年には世界初のウェルビーイング学部を開設する。2024年の創立100周年とその先の2050年の未来に向けてクリエイティブな人材を育成するため、大学改革を進めている。

武蔵野大学HP:https://www.musashino-u.ac.jp/

【関連リンク】

■ 武蔵野大学国際総合研究所:https://www.musashino-u.ac.jp/research/laboratory/miga/

■ T20ブラジルサミット:https://www.t20brasil.org/

■ G20/T20サイドベント:https://disastergovernance.org/

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都江東区有明三丁目3番3号
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代表者名
西本 照真
上場
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資本金
-
設立
1924年04月