【国立科学博物館】岩櫃城本丸(主郭)から出土した「坩堝(るつぼ)」に「金」を発見! ~戦国時代の山城の「本丸(主郭)」から出土した事例として全国初~
独立行政法人国立科学博物館 (館長:篠田謙一)は、国指定史跡である岩櫃城跡(群馬県吾妻郡東吾妻町)から出土した非鉄金属製品である銅・鉛製品と金属加工関連遺物(東吾妻町教育委員会所有)について科学分析を行い、坩堝(るつぼ)と呼ばれる金属を熔かすために用いる皿型の器2点の内1点に、「金」の粒子である「金粒子」の付着を確認しました(坩堝①)。また、別の1点には「銅」、「鉛」、「錫」など青銅の元素と共に、「亜鉛」の付着が確認されました(坩堝②)。
この発見により、岩櫃城には様々な金属の原材料が持ち込まれ、金属の加工作業が行われていたということを明らかにしました。
この発見により、岩櫃城には様々な金属の原材料が持ち込まれ、金属の加工作業が行われていたということを明らかにしました。
- 研究のポイント
・戦国時代の山城でかつ本丸という高所に位置する曲輪から金粒子付着の遺物が見つかったのは全国初です。(戦国時代の遺跡から金粒子付着の遺物が確認された事例はこれまでに全国で22例あります。)
・「銅」、「鉛」、「錫」が付着した坩堝は青銅の熔解作業に用いられた可能性があります。坩堝には「亜鉛」が面ではなく点的(飛沫状)に付着していることから、今回出土した坩堝は真鍮製品の制作に直接用いられてはいないが、本丸から非常に近い場所で真鍮製品の制作が行われていた可能性があります。
・岩櫃城では様々な金属加工を実現する技術力を有している職人が存在し、そのような特殊技能を有した職人が作業をする場所が本丸にあり、そこで金属の加工作業が行われていた可能性がみえてきました。
- 参考写真
本研究はJSPS科研費JP20K0111の助成を受けたものです。
国立科学博物館:https://www.kahaku.go.jp/
筑波研究施設:https://www.kahaku.go.jp/institution/tsukuba/
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