第23回ゴールデンスピリット賞にオリックス・吉田正尚外野手【報知新聞社】

“球場外のMVP” 開発途上国の子どもたちへ本塁打1本10万円と募金が評価

株式会社報知新聞社

プロ野球⼈の社会貢献活動を表彰する報知新聞社制定「ゴールデンスピリット賞」の第23回受賞者がオリックス・吉田正尚外野手に決定しました。2019年から公式戦での本塁打1本につき10万円とファンからの募金を合わせて寄付金とし、認定NPO法人「国境なき子どもたち」を通じて開発途上国で貧困に苦しむ子どもたちへ寄贈。継続的に取り組んでいることなどが評価されました。

 

第23回ゴールデンスピリット賞を受賞したオリックス・吉田外野手第23回ゴールデンスピリット賞を受賞したオリックス・吉田外野手

【選考過程】 
11球団からノミネートされた計15人を対象とした選考委員会は「これほど内容が充実し、難しかった年はない」(佐山委員)という大激戦となった。活動の継続性や独自性、幅の広さといった観点から議論が進み、3年連続ノミネートのオリックス・吉田選手、同じく4年連続の巨人・菅野選手、活動が8年目を迎えた日本ハム・宮西選手、オリックス時代を含め通算6度目のノミネートとなった阪神・西選手らが各委員の高い評価を集めた。吉田選手は「今回の候補者で唯一、支援対象が海外」(依田委員)、介助犬普及支援を続ける菅野選手にも「なじみの薄い分野の認知度を高めた」(斉藤委員)と、それぞれ独自性を推す意見が相次いだ。また、自身とブルペン仲間の成績に応じた寄付などに取り組む宮西選手は「社会の分断が懸念される中で、周囲とつながることをテーマにしている」(大塚委員)、西選手は「日本財団子どもサポートプロジェクト」への寄付に加え、「(コロナ禍で不足した)マスクを寄付するなど機動性がある」(三屋委員)と、ともに活動の幅広さが評価された。決め手になったのは国際性。「世界的視野に立った活動は、若い人が社会貢献を始めるきっかけにもなる」(佐山委員)として、オリックスからは初めてとなる吉田選手の受賞が決定した。

<吉田正尚>(よしだ・まさたか)1993年7月15日、福井県生まれ。29歳。敦賀気比高から青学大を経て、15年のドラフト1位でオリックス入団。20、21年首位打者、今季2年連続2度目の最高出塁率、ベストナイン4度。19年プレミア12、20年東京五輪で日本代表。通算762試合、打率3割2分7厘、133本塁打、467打点。173センチ、85キロ。右投左打。今季年俸4億円。既婚。

【ノミネート選手】
村上宗隆(ヤクルト)
2016年4月に熊本を襲った大地震で大きな被害を受けた熊本市に対し、19年から毎年熊本城復旧のための支援金を贈っている。本塁打1本につき1万円、打点1につき5千円など、成績に応じた金額を設定して寄付を行っている。

西勇輝(阪神)
オリックス在籍時の2011年から「未来を支えていく子どもたちに何かしたい」との思いで、「日本財団子どもサポートプロジェクト」に継続して寄付を行っている。阪神移籍後の2020年には大阪、兵庫の病院に医療用マスク5万枚(500万円相当)を寄贈した。

岩貞祐太(阪神)
2016年の熊本地震を機に、地元に貢献したいとの思いから「地震復興支援」と「子どもたちへの野球振興」として、自身の成績に応じて義援金や用具寄贈を2017年から行っている(1勝につき10万円や1奪三振につき軟式ボール1ダースなど)。

菅野智之(巨人)
介助犬は認知度が低く、飲食店などでは依然として同伴を拒否されることも多いという実情を知り、15年から支援を始めた。日本介助犬協会への支援金、介助犬ユーザーと交流するほか、同協会のポスターやウェブサイトにも登場し、認知度向上にも貢献している

丸佳浩(巨人)
東京都内の生活困窮世帯の子どもたちの「食」を支援する「丸メシプロジェクト」を2021年にスタート。子どもの頃、ごはんの時間が大好きだったので「十分な食事を取ることができない子どもたちもいる」と知り、支援を決めた。

岡本和真(巨人)
愛犬家で動物好きが高じて、飼育放棄や虐待などの被害を受けた動物たちを支援する「HAPPY ANIMAL プロジェクト」を2021年からスタートさせた。「支援金」「PR活動」「チャリティーグッズの展開」など幅広く支援。

磯村嘉孝(広島)
車いす利用の家族がおり、マツダスタジアムのバリアフリーやスタッフの対応の素晴らしさを実感し、今年から車いす利用者を球場に招待している。またコロナ禍の今、入院患者らを元気付けるためのリモート交流会も実施している。

大野雄大(中日)
自身が女手一つで育てられたこともあり、同じ境遇のひとり親家庭の親子を2017年から球場招待している。食事、飲み物、オリジナルグッズも提供され、6年間の累計で559人のひとり親家庭を笑顔にすることができた。

谷元圭介(中日)
母が祖父の介護をする中で介護福祉士に大変支えられたことを知り、日本ハム時代の2017年に「アナたにもんシート」と名付けて、介護福祉士の球場招待を始めた。また今年は介護福祉士を目指す学生をオンライントークで励ました。

角中勝也(ロッテ)
地元石川県へのチャリティ活動として、2019年シーズンより1安打につき1万円を、社会福祉法人石川県共同募金会へ寄付している。寄付金は同団体を通じて、石川県の障がい者支援に役立てられている。

銀次(楽天)
被災地での野球教室、学校訪問、こども病院訪問を、2013年から継続して行っている。家から遠く離れた病院に入院している子どもと付き添う家族のための滞在施設「せんだいハウス」には、親子を元気付けようと毎年激励訪問している。

千賀滉大(ソフトバンク)
2児の父となった2018年に、子どもの虐待防止に取り組む「オレンジリボン運動」への支援を開始した。奪三振×1万円を「認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク」に寄付。自身のグラブにはオレンジリボンを刺しゅうしている。

宮西尚生(日本ハム)
2015年から、個人が年間に記録するホールドとセーブの数×1万円をチームのリリーフ陣で合算し、難病により意思伝達が困難な人をサポートする団体へ寄付。2018年からは「北海道こどもホスピスプロジェクト」を寄付先とし、建設計画を後押ししている。

増田達至(西武)
超低体重児だった自身のこどもが新生児集中治療室(NICU)で治療を受けたことから、登板ごとに2万円を「大阪母子医療センター」へ、「ドナルド・マクドナルド・ハウスさいたま」にも1万円を寄付。コロナ前まではオフに慰問も行っていた。

◇ゴールデンスピリット賞
日本のプロ野球球団に所属する人の中から、積極的に社会貢献活動を続けている人を表彰する。毎年1回選考委員会(委員名別掲)を開いて、球団推薦と選考委員推薦で選ばれた候補者から1人を選定する。欧米のスポーツ界では社会貢献活動が高く評価され、中でも米大リーグの「ロベルト・クレメンテ賞」が有名で、球界での最高の賞として大リーガーの憧れの的になっている。日本では試合での活躍を基準にした賞がほとんどで、球場外の功績を評価する表彰制度は初めて。いわば「球場外のMVP」。受賞者にはゴールデントロフィー(東京芸術大学名誉教授・絹谷幸二氏作成のブロンズ像)と阿部雄二賞(100万円)が贈られる。また受賞者が指定する団体、施設などに報知新聞社が200万円を寄贈する。

◇ゴールデンスピリット賞歴代受賞者
第1回(1999年)巨人・松井秀喜
第2回(2000年)日本ハム・片岡篤史
第3回(2001年)近鉄・中村紀洋
第4回(2002年)ヤクルト・飯田哲也
第5回(2003年)中日・井上一樹
第6回(2004年)阪神・赤星憲広
第7回(2005年)ロッテ・B.バレンタイン
第8回(2006年)ソフトバンク・和田毅
第9回(2007年)横浜・三浦大輔
第10回(2008年)楽天・岩隈久志
第11回(2009年)巨人・小笠原道大
第12回(2010年)日本ハム・ダルビッシュ有
第13回(2011年)楽天・山崎武司
第14回(2012年)阪神・藤川球児
第15回(2013年)ヤクルト・宮本慎也
第16回(2014年)西武・栗山巧
第17回(2015年)ロッテ・今江敏晃
第18回(2016年)巨人・内海哲也
第19回(2017年)阪神・岩田稔
第20回(2018年)ロッテ・井口資仁
第21回(2019年)西武・秋山翔吾
第22回(2021年)阪神・矢野燿大
(所属チームは受賞当時)

主催 報知新聞社
後援 一般社団法人 日本野球機構
協賛 株式会社アイ・インベストメント、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社トーヨーホールディングス、保険情報サービス株式会社、株式会社岡田製作所

【選考委員】
大塚義治 日本赤十字社名誉社長
斉藤惇   プロ野球コミッショナー
佐山和夫 ノンフィクション作家。米大リーグに造詣が深い。ゴールデンスピリット賞の提唱者の一人。2021年野球殿堂入り。
長嶋茂雄 読売巨人軍終身名誉監督。現役時代のチャリティー活動が評価され、1982年に日本のプロ野球人として初めてローマ法王ヨハネ・パウロ2世に謁見(えっけん)した。88年バチカン市国からバチカン有功十字勲章を受章。
三屋裕子 日本バスケットボール協会会長。バレーボール女子日本代表としてロス五輪銅メダル。
依田裕彦 報知新聞社代表取締役社長
(敬称略・50音順)

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上場
未上場
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-
設立
1872年06月