「GIRLS LEADERSHIP REPORT 2025 彼女たちが拓くデジタルの未来」発表
国際ICTガールズ・デーに向けて、日本の高校生のプログラミング経験の実態を調査 ~プログラミング教育とジェンダーギャップの課題が浮き彫りに~
国際NGOプラン・インターナショナル(所在地:東京都世田谷区 理事長:池上清子 以下、プラン)は、日本の高校生2,000名を対象に プログラミング体験に関する調査を、高校生の子を持つ親1,000名を対象に子どものプログラミング体験に関する調査を実施し、その結果をまとめたレポート「GIRLS LEADERSHIP REPORT 2025 彼女たちが拓くデジタルの未来」を発表しました。
プランでは、2024年度からジェンダー平等や女性活躍推進などの社会的課題に取り組む「PLAN
MOVEMENT」を始動しています。本調査の結果なども踏まえ、ICT分野でのジェンダーギャップを縮め、女性のテクノロジー教育やキャリア進出を促進する国際デー「国際ICTガールズ・デー」に合わせてイベントを実施する予定です。
STEM教育におけるジェンダーギャップのリアル
世界経済フォーラム(WEF)が2024年6月に発表した「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2024」*1 によれば、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中118位で、G7最下位。そのうち教育分野においては72位、その理由として高等教育における男女の進路の格差、とりわけ理系に進む女性の少なさと大学院への進学率の低さが指摘されています。
このような状況を受け、今回プランでは高校生男女および高校生の子どもを持つ親へアンケートを実施しました。専門家や他団体 *2の協力を得て分析を行った本レポートを、国際ICTガールズ・デーを前に発表し、プログラミングにおけるジェンダー格差の解消を考える一助となることを願っています。

*1 https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2024.pdf
*2 本調査は、教育とエンパワメントを通じてテクノロジー分野のジェンダーギャップ解消を目指す特定非営利活動法人Waffle、宮城学院女子大学名誉教授・学長顧問 天童睦子氏、東京大学情報学環教授 板津木綿子氏の協力を得て実施されました。
【調査結果サマリー】
本調査では、高校生のプログラミング体験の有無、学校内外での学習状況、将来の進路希望、保護者との関係性などについて分析を行いました。主な調査結果は以下の通りです。
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プログラミング授業を受けた後の関心度は女子の方が低い傾向がみられました。
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学校でのプログラミング体験に男女差は見られないものの、学校外でのプログラミング体験には男女差が見られる傾向にあります。男性回答者の方がプログラミング教室や学習アプリ/インターネット動画、本や参考書などを利用した経験が多い一方、女性回答者の方が「習ったことはない」と回答する割合が高い結果となりました。
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将来の進路希望において、女子は文系、男子は理系を希望する割合が高い傾向が見られました。また、「プログラミングを活かした仕事をしたい」と考える割合は、男子の方が女子よりも高い結果となりました。
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「理系に進んでほしい」母親は少なく、父親は多い結果となりました。
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4人に1人が、ジェンダー・ステレオタイプが進学や就職などの進路決定に影響していると回答。さらに、保護者から「女だから」「男だから」といった言葉を言われた経験のある回答者も一定数おり、プログラミング体験や進路意識にもジェンダー・ステレオタイプが影響している可能性があります。

本調査結果についての専門家からのコメントと提言
天童氏は、学校教育におけるデジタル教育の充実と学校外での体験格差の認識、女性に対するデジタル障壁の是正、特にロールモデルの提示の有効性、そして親のジェンダー・バイアスを問い、ステレオタイプの再生産に挑むことの重要性を指摘しています。
板津氏は、プログラミング学習が社会の駆動原理の理解に繋がる可能性を指摘しつつ、プログラミング機会の頻度や内容におけるジェンダー差に注目し、保護者の後押しや地域社会における機会提供のジェンダー分析の必要性を提言しています。
レポート全文は、プラン・インターナショナル・ジャパンのウェブサイトよりダウンロードいただけます。 https://www.plan-international.jp/about/libraries/data/pdf/2503_GIRLS_LEADERSHIP_REPORT2025.pdf
プランは、本調査の結果を踏まえ、デジタル分野におけるジェンダーギャップの解消に向け、教育機会の平等化やジェンダー・ステレオタイプの克服に向けた取り組みを推進するため、2025年も国際ICTガールズ・デーにイベントを開催いたします。
国際ICTガールズ・デーに文系女子学生向けイベントを開催予定
プランは、ICT分野でのジェンダーギャップを縮め、女の子や女性がテクノロジー関連の教育やキャリアに進むことを促進する「国際ICTガールズ・デー」にあわせて、2025年4月24日(木)に、P.O.南青山ホールでイベント『ICTを味方につけて、私の未来をひらく』を開催いたします。本イベントでは、プログラミング必修化前最後の世代である大学生を対象に、デジタルや理系分野に対するバイアスを軽減し、自分の好きなことに挑戦できる環境を後押しすることを目的としています。
イベント概要
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名称 :国際ICTガールズ・デーイベント2025『ICTを味方につけて、私の未来をひらく』
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日時 :2024年4月24日(木)17:00〜19:30(受付開始:16:30〜)
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会場 :P.O.南青山ホール(東京都港区南青山2-5-17 POLA青山ビルディング 地下1階)
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ゲスト:高山一実
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参加費:無料
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対象 :文系女子学生
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定員 :90名

特定非営利活動法人 Waffle
教育とエンパワメントを通じてテクノロジー分野のジェンダーギャップの解消を行う団体として2019年設立。設立以来、女子およびノンバイナリーの中高生・大学生向けの教育事業を推進するとともに、政府・自治体・企業など、さまざまなステークホルダーにアプローチし、社会全体の構造を変えることを目指して、活動を実施してきた。

天童睦子(宮城学院女子大学名誉教授・学長顧問)
専門はジェンダーと教育、女性のキャリア形成、教育社会学。近著に『ゼロからはじめる女性学 − ジェンダーで読むライフワーク論』(世界思想社 2023)。「DXは現代における社会問題を解決できる手立てとなり得るか − 女性と子どもの視点から」2024『日英教育誌』第 7号 pp.6-23。2022−24年 W20 ジャパンデリゲート。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了、博士(教育学)。

板津木綿子(東京大学情報学環教授)
AI技術の技術浸透によって、現代社会に潜在しているさまざまな歪みが強化されてしまうのではないかという懸念から、東京大学 Beyond AI 研究推進機構で採択された研究教育プロジェクト「B'AI グローバルフォーラム」のディレクターを務める。社会の傍に追いやられているマイノリティがデジタル技術によって包摂される方法についても調査研究している。『AIから読み解く社会:権力化する最新技術』(東京大学出版会 2023) 共編者。2024年 W20 ジャパンデリゲート。ソフトバンク AI倫理委員会 社外有識者委員。フルブライト奨学生として南カリフォルニア大学大学院歴史学科博士課程修了 (Ph.D.) 。
国際NGOプラン・インターナショナルは、誰もが平等で公正な世界を実現するために、子どもや若者、さまざまなステークホルダーとともに世界80カ国以上で活動しています。子どもや女の子たちが直面している不平等を生む原因を明らかにし、その解決にむけ取り組んでいます。子どもたちが生まれてから大人になるまで寄り添い、自らの力で困難や逆境を乗り越えることができるよう支援します。
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