日立が、野村総合研究所およびEIZOと共同で、WBCSDのPartnership for Carbon Transparency(PACT)実証実験を完了
EcoAssist-Pro/LCAとNRI-CTSとの連携により、製品製造の実測値にもとづくCO2排出量を算定
株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、株式会社野村総合研究所(以下、NRI)、EIZO株式会社(以下、EIZO)と共同で、WBCSD*1のPartnership for Carbon Transparency(PACT)*2実証実験を実施・完了しました。本実証は、NRIがリード企業*3として、日立とEIZOはサプライヤーとして、実測値に基づく製品製造におけるCO2排出量のデータ連携を行ったものです。その結果、NRIが開発した温室効果ガスの排出を追跡するカーボントレーシングシステム「NRI-CTS」*4と、日立のサプライチェーンにおける脱炭素の推進を支援するソリューション「EcoAssist-Pro/LCA」という、異なるシステム・ソリューション間でのCO2排出量のデータ連携に成功しました。本実証は、今後世界規模での環境データ連携を実現するにあたり、サプライチェーン上のエコシステム形成に向けた先進的な取り組みとなります。
*1 WBCSD: World Business Council for Sustainable Development(持続可能な開発のための世界経済人会議)
*2 PACT: The Partnership for Carbon Transparency(炭素の透明性のためのパートナーシップ)
*3サプライヤーと、システムを通じてCO2排出量のデータのやり取りを行う企業
*4カーボントレーシングシステム「NRI-CTS」
https://www.nri.com/jp/news/info/cc/lst/2021/1215_1
■本実証に至った背景
2050年のカーボンニュートラル実現に向けたサプライチェーン全体の脱炭素化が強く求められる中で、サプライチェーン全体のCO2排出量の正確な把握と削減努力が不可欠となっています。しかし、調達先をはじめとしたサプライチェーンに属する当事者が、CO2排出量の算定にあたりそれぞれが異なるソリューションを利用しているケースも多く、データ連携を行うための共通的なデータフォーマットや接続方式などが確立されていないため、全体のCO2排出量把握に苦慮するケースが増えています。
こうした中、日立は1995年から、NRIは2019年から、経済・環境・社会に関するルール策定・提言活動を行っているWBCSDに加入し、その後両社はWBCSDのもとで実測値に基づく製品製造におけるCO2排出量算定のためのデータ交換ルールを提唱しているPACTに参画し、上記の課題解決をめざしています。
■本実証について
本実証は、2023年5月から、NRIの主導のもと、日立、EIZOの3社で、PACTがPathfinder Framework(排出量開示ガイドライン)のオペレーション実装に向けて世界規模で推進している、スケールアップ実証実験として実施しました。
本実証においては、NRIがリード企業として、日立はNRIのストレージ調達先として、そしてEIZOはNRIのデスクトップモニター調達先として参画しました。その上で、NRIがNRI-CTSを用いてCO2排出量の全体取り纏めを行う一方で、サプライヤーである日立とEIZOが実測値に基づくCO2排出量の算定を個別に行い、両社からNRIに対するデータ連携に成功しました。
日立は、上記データ連携にあたってEcoAssist-Pro/LCAを活用し、自社のストレージ製品について、部品・材料調達過程で発生したCO2排出量、さらに自社工場のエネルギー消費量の実測値をもちいてストレージの製品製造過程におけるCO2排出量を算定しました。この算定結果を、Pathfinder NetworkのAPIを介して、製品の出荷先であるNRIのNRI-CTSに提供することにより、異なるソリューション間でのデータ連携を行いました。なお、今回の実証参画に先立ち、NRIとConnectathon*5と呼ばれる相互接続テストを完了し、日立のEcoAssist-Pro/LCAはPathfinder Networkに準拠したソリューションとして認定*6されました。
あわせて、EIZOはNRI-CTSを利用し、自社工場のエネルギー消費量実測値を用いてデスクトップモニターの製品カーボンフットプリントの算定とデータ連携を実施しました。
*5 WBCSDのPACTが運営するPathfinder Networkに準拠したソリューションが行う相互接続テスト
*6 WBCSDのPACT のOnline CatalogにConformant Solutionsとして掲載
https://catalog.carbon-transparency.com/
■イベントでの本実証の紹介について
本実証の詳細は、世界最大級の気候変動イベントである「Climate Week NYC(2023年9月17日から24日まで、米国・ニューヨークにて開催)」の関連イベント「Scope 3 Summit - From uncertainty to imPACT」*7の中で、WBCSDから参加者への報告が行われます。
*7 WBCSDのPACTのイベントについては次のURLを参照
https://www.carbon-transparency.com/events/2023/09/nyc-week
■今後について
日立は、今後は本実証を通じて得られたノウハウをもとに、グローバルなサプライチェーンデータベースへの接続ならびにデータ連携の実証にも参画していくとともに、他のソリューション提供企業との連携や官民協力についても、より注力してまいります。また、その成果を国内のみならずグローバルにも拡大し、社会全体の脱炭素対応に関する課題解決に貢献していきます。
■EcoAssist-Pro/LCAについて
https://www.hitachi.co.jp/ecoassist/lca/index.html
■Hitachi Social Innovation Forum 2023 JAPANでの紹介について
EcoAssist-Pro/LCAは、日立が2023年9月20日(水)~21日(木)に開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2023 JAPAN」において、ご覧いただけます。
詳しくは、オフィシャルサイト(https://www.service.event.hitachi/regist/)をご覧ください。
■日立製作所について
日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。
詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/)をご覧ください。
■お問い合わせ先
株式会社日立製作所 社会ビジネスユニット 社会システム事業部
社会インフラITシステム 総合お問い合わせフォームへ
(エネルギー分野に関するお問い合わせを選択ください)
https://www8.hitachi.co.jp/inquiry/it/society/general/form.jsp?
以上
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