第6回 不動産投資オーナーのESG意識調査 ~環境対応物件を中心に価格上昇への許容が加速~
グローバル都市不動産研究所 第38弾(都市政策の第一人者 市川宏雄氏監修)

投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。
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当研究所では、調査・研究の第38弾として、全国の投資用不動産保有者400人を対象に、ESGに対する意識調査を実施しました(本調査は2021年から毎年実施し、今年6回目)。


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【01】ESGの知名度 2年連続で増加し初の6割超え |
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・「ESG」という言葉を聞いたことがある 61.8%に
・企業の環境対応度合いと投資対象としての安定性に注目 長期的な視点が浸透か
不動産投資家のESG意識 さらに上昇
グローバル都市不動産研究所では、全国の投資用不動産所有者400人に、不動産投資のESGに関わる意識調査を行いました。この調査は、2021年から実施しており、今年で6回目です。
調査概要
■調査方法:インターネット調査
■調査期間:2026年1月21日~27日
■調査対象:投資用不動産保有者 400人
・年代 20代32人、30代150人、40代150人、50代34人、60代34人
・職業 経営者・役員30人、会社員260人、公務員13人、自営業・自由業34人、
専業主婦・主夫20人、パート・アルバイト30人、その他13人
・年収 500万円未満79人、500万円以上1,000万円未満162人、1,000万円以上139人、無回答20人
①ESGの知名度
そもそも「ESG」という言葉を聞いたことがあるかを尋ねた結果、聞いたことが「ある」は61.8%でした。前年の51.3%から10ポイント強増加し、初めて6割を超えるとともに、初回調査時(33.8%)の2倍近くに迫りました。
なお、2025年発行の新聞紙面における「ESG」という語の出現頻度は、ピーク時(2021年)の3分の1に減少しています(当社調べ)。話題性は高くない一方、言葉としては浸透しつつあるといえます。

②ESGに対する理解度
「ESG」という言葉を聞いたことがあると回答した人に対し、その内容の理解度として、ESGについて知っていることを複数回答で尋ねました。 「企業等がESGの枠組みで情報を開示し、投資家が投資判断・評価に用いるものだと知っている」(64.0%)が前年比8.4ポイント増で最多となり、前年トップの「環境・社会・ガバナンスの略語だということを知っている」(57.5%) を上回りました。また、「ESGに関する投資家の判断・評価は、短期的なリスク・リターンではなく、中長期なリスク・リターンや、投資の環境・社会への影響を考慮するものだと知っている」も半数を超え、知識・理解がない層は5%ほどにとどまっています。言葉の認知にとどまらず、投資判断・評価の枠組みとしての理解も広まりつつあるといえるでしょう。

③投資活動におけるESGへの意識
「ESG」という言葉を聞いたことがあると回答した人に対し、投資活動の中でESGを意識しているかどうかを尋ねました。この結果、「常に意識している」が40.5%で最多となり、前年トップの「時々意識している」(40.1%)を上
回りました。両者を合わせると、8割超がESGを念頭においた投資を行っており、その割合は前年と比べ1割強増えています。一方、全く意識していない層は6.1%にとどまりました。
ESGという言葉の認知率の向上および理解の浸透に伴い、ESGの枠組みを前提として日々の投資活動を行う層が着実に増えているといえそうです。

④ESG対応企業に感じるメリット
「ESG」という言葉を聞いたことがあると回答した人に対し、ESG対応が優れている企業に対して感じるメリットを複数回答で尋ねました。この結果、 「社会的意義が高いと感じる」(54.3%) がトップで、「長期的な安定成長が期待できる」(45.7%)、「投資リスクが低いと感じる」(36.4%)と続き、前年から順位に変動はありません。ただし各割合は、 「社会的意義が高いと感じる」が4.2ポイント減であるのに対し、「投資リスクが低いと感じる」は同3.7ポイント増、「株価の持続的な上昇が期待できる」は同1.6ポイント増となりました。
企業のESG対応は、社会貢献性だけでなく、リスクの低さや株価の長期的な成長といった投資対象としての「安定性」に対する期待醸成に繋がりつつあるといえるでしょう。

⑤投資先のESG情報の取得方法
「ESG」という言葉を聞いたことがあると回答した人に対し、投資先のESG情報をどのように取得しているかを複数回答で尋ねました。この結果、「企業のIR資料やサステナビリティ報告書」が59.3%で最多となりました。また、前年1位の「専門メディアやレポート」(49.7%)は前年比約13ポイント減となった一方、「個人調査や企業への問い合わせ」(16.6%)は前年の2倍近い割合となり、伸びが顕著となっています。なお今年新設した選択肢「企業ホームぺージ」は15.6%でした。
投資家は、投資先企業・団体が積極的に発信するESG関連情報を受動的に読み取るだけでなく、IRサイトなどのWeb媒体や問い合わせ窓口等、複数のメディアやチャネルを通じ能動的に収集・分析するようになっているようです。

⑥ESG対応企業において重視するポイント
「ESG」という言葉を聞いたことがあると回答した人に対し、ESG対応が進んでいる企業についてどの要素を特に重視するか複数回答で尋ねました。この結果、「環境対応」(64.4%)が前年比6.8ポイント増で、前年トップの「社会貢献」(60.7%)を上回り最多となりました。他方、「ガバナンス」(32.8%)は前年より約5ポイント減少して上位2項目の約5割ほどにとどまり、両者との差が広がっています。
2015年のコーポレートガバナンス・コード制定から10年を経て、社外取締役の増加や情報開示など企業のガバナンスの取り組みは一定の評価がなされる一方、投資家の関心は環境対応を中心にE・Sの領域に寄せられているようです。


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【02】ESG物件の価格上昇 許容層が約75%に拡大 |
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・ESG物件の価格 5~6%の上昇を許容する層が25%超
・気候変動への対応度合いと「一棟モノ」への注目度が高まる
⑦不動産のESG投資の認知度
「ESG」という言葉を聞いたことがあると回答した人に対し、「不動産のESG投資」の認知を尋ねたところ、「知っていた」は69.2%でした。 なお、「不動産」と「ESG」の両語を合わせて報道する新聞記事数は、ピーク時(2021年)から半減していますが(当社調べ)、ESGという言葉自体を認知している不動産投資家の間では一定の浸透が進んだ結果といえるでしょう。

⑧不動産のESG投資で重要だと思う分野
不動産のESG投資の認知有無を問わず、どのような分野で重要だと思うかを複数回答で尋ねました。この結果、最多は「気候変動への対応」(49.0%)で前年比9ポイント増となった一方、前年首位の「健康性・快適性の向上」は42.3%と6ポイント減少しました。続く「地域社会・経済への寄与」「災害への対応」は約30%、以降順位の項目も15%前後で、前年結果とほぼ同水準となっています。
不動産以外の領域でも、企業の環境配慮の姿勢・取り組みに対する投資家の注目度が上がっていたことと併せ、健康性・快適性に対する世間の意識が急激に高まったコロナ禍が完全に落ち着いた影響もうかがえます。

⑨ESG投資を意識する物件
不動産のESG投資の重要度を問わず、どのような物件ならESG投資を意識するか複数回答で尋ねました。この結果、「ワンルーム区分マンション」が38.8%でトップ、「ファミリー向け区分マンション」(33.0%)、「一棟マンション」(32.5%)が続いています。さらに「戸建て」(28.3%)、「一棟アパート」(27.8%)、「商業施設」(15.0%)の順に多く、上位6位の順位は前年の結果と同様となりました。
反面、各項目の割合は前年からの変化が大きく、とりわけ「一棟マンション」(前年比6.7ポイント増)、「一棟アパート」(同9.3ポイント増)、「一棟ビル」(同3.3ポイント増)は伸びが顕著です。“一棟モノ”への投資検討時、環境対応を中心に物件のESGの要素を意識する傾向が高まっているといえるでしょう。

⑩ESG対応物件の購入額
不動産のESG投資の重要度を問わず、 ESG対応を進めている物件について、購入額の増額に対する意識を尋ねました。
「意識はするが、購入費用に差がでることは許容できない」の比率は19.3%で、前年結果から12ポイント減少しました。増額を許容する層が75%近くなり、その層は前年比で5.5ポイント増えています。さらに、増額を許容する層のみでは「5~6%」(26.0%)、「3~4%」(18.5%)、 「7~8%」(9.5%)の順に比率が高くなっています。前年比では、「5~6%」の層は4ポイント増と伸び幅が大きく、また「7~8%」「9~10%」「11%以上」のいずれの層も微増しました。
ESG対応物件が他の物件より高価格になっても妥当とみなされる傾向とともに、許容可能な増加額の平均値も上昇する傾向にあるといえます。

⑪ESG関連規制見直しの影響
不動産のESG投資の重要度を問わず、ESG関連規制の見直しが不動産領域に与える影響の有無について尋ねました。この設問は、昨今欧米を中心に、規制の簡素化や情報開示の負荷軽減、また化石燃料の採掘・活用など“脱炭素の揺り戻し”ともいえる動きがみられることをふまえ、今年初めて尋ねたものです。
この結果、「ポジティブな影響があると思う」が59.9%で最多となり、次いで「特に影響はないと思う」が34.0%となっています。「ネガティブな影響があると思う」は6.1%と、ポジティブ視をする層の約1割にとどまっています。
ESGを取り巻く海外の最新動向や状況変化について、さほどタイムリーには把握しておらず、あくまで国内の動向を重視している層、あるいは揺り戻しの傾向はあっても一時的ないし不動産領域における影響は軽微と捉える層が多いものと考えられるでしょう。


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【03】環境関連法令・諸制度変更 認知・好影響層の増加継続 |
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・環境関連法令・諸制度の変更は約6割が認知
・「運用に対して好影響」 は2年連続増加 認知層を上回る割合に
⑫不動産の環境対応の法令・諸制度変更認知
日本の住宅・非住宅の環境に関わる法令・諸制度の変更について、昨今の主な動きをいくつか提示し、変更された、ないし今後される可能性があることを知っているか尋ねました。
2025年4月までに変更が実施された、事業者の省エネ性能ラベル表示の努力義務、および新築物件の省エネ基準適合義務については、各キーワードの認知率が前年に続いて増加し約6割に達しました。また、2030年度以降に予定される新築住宅の政府目標も、認知層は前年比14.2ポイント増で半数を超えました。
全体的に認知層が拡大したものの、すでに施行済みの改正法令・諸制度でも依然約4割が内容を知らない状態ともいえます。企業・不動産の環境対応への注目度は高まる一方、詳細までは把握していない層が一定程度いると捉えられます。

⑬環境関連法令・諸制度変更の投資への影響度
日本の住宅・非住宅の環境に関わる法令・諸制度の変更について、知っているかどうかを問わず、こうした変更が不動産投資の運用に影響を与えるかを尋ねました。この結果、各キーワードともに6割強が「良い影響を与える」(「とても良い影響を与えると思う」「良い影響を与えると思う」の合計)と回答し、ポジティブに捉えている層が2年連続で増加しました。なお、すでに変更された法令・制度のキーワード2件に関しては、前年からポジティブ層が10ポイント前後増加しましたが、今後の政府目標については増加幅が6.5ポイントとなっています。また、いずれのキーワードにおいても、ポジティブ層の割合が、制度を知っている層の割合を約5ポイント上回りました。内容の詳細を理解していない場合でも、規制強化自体は好意的に受け止められる傾向にあり、国の政策を背景として環境対応物件への投資が積極化すると期待されそうです。


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【04】都市政策の第一人者 市川宏雄所長による分析結果統括 |
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・不動産投資で“環境・社会”重視が進み、価格上昇も一定範囲で許容
・5〜6%程度の価格増は受容、法令・諸制度変更は運用に好影響が6割超
この調査は今年で6回目となります。ESGという言葉を聞いたことがあるかの問いに、初回調査時の2倍近くの6割超がイエスと答えています。回答者は企業等がESGの枠組みで情報を開示し、投資家が投資判断・評価に用いるものだと理解しており、実際、不動産投資において、リスク・リターンだけでなく、環境と社会への好悪の影響を考慮するのがESG投資だと7割近くの人が認識しています。また、ESGのうち環境対応と社会貢献が経営の透明性などに関わるガバナンスよりも重視されています。
ESG対応が優れている企業に対して5割以上の人が社会的意義が高い、4割以上が長期的な安定成長が期待できると感じています。また、ESG対応を進めることで生じる不動産物件の価格増について許容しない層は20%弱であるのに対して、増額を許容する層が75%近くなり、年々受け入れる比率が上がっています。ただし、増額は、26.0%の人が5~6%アップなら良い、 18.5%が3~4%アップなら受け入れていますが、ESG対応での1~2割の価格上昇を受け入れる状況にはなっていません。
不動産のESG投資を意識する物件は、「ワンルーム区分マンション」(38.8%) 、「ファミリー向け区分マンション」(33.0%)、「一棟マンション」(32.5%)、「戸建て」(28.3%)、「一棟アパート」(27.8%)と住居が多数を占め、 「商業施設」は15.0%に下がります。とりわけ一棟建てのマンション、アパート、ビルについては伸びが顕著です。
欧米を中心に、規制の簡素化や情報開示の負荷軽減、化石燃料の採掘・活用など“脱炭素の揺り戻し”ともいえる動きがみられるなかで、ESG関連規制の見直しが不動産に与えるポジティブな影響については約6割が前向きにとらえています。
最近の不動産の環境対応の法令・諸制度変更については、住宅・建築物を販売・賃貸する事業者に省エネ性能ラベルの表示の努力義務、新築住宅・非住宅に省エネ基準適合の義務付け、新築住宅にZEH水準の省エネ性能の確保(2030年度以降目標)などがありますが、所有する投資用不動産の運用に良い影響を与えると考える所有者が6割を超えています。
世界的に高まるESGへの理解は日本でも、そして不動産投資にも影響を及ぼしています。


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会社概要 |
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会社名 :株式会社グローバル・リンク・マネジメント
会社HP :https://www.global-link-m.com/
所在地 :東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号渋谷マークシティウエスト21階
代表者 :代表取締役社長 金 大仲
設立年月日 :2005年3月
資本金 :6億10百万円(2025年12月末現在)
業務内容 :不動産ソリューション事業(投資用不動産の開発、販売、賃貸管理)
免許登録 :宅地建物取引業 東京都知事(5)第84454号、賃貸住宅管理業 国土交通大臣(01)第0001837号、不動産特定共同事業 東京都知事 第114号、一級建築士事務所登録 東京都知事登録 第66658号
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