Salesforce、「Industries AI」を発表、15業界の業界固有の課題へ対応するために即座に利用可能な100以上のAI機能を提供
すべての Salesforce Industry Cloudに組み込まれているIndustries AIには業界固有のプロンプト、データモデル、AI機能が含まれ、Data Cloudに支えられ、Einstein Trust Layerによってサポートされ、消費財業界では在庫管理の最適化、教育業界では生徒募集の増加など、業界特有の課題に対応可能
Salesforceの深い業界専門知識をベースにしたIndustries AIには、
15のIndustry Cloudにまたがる、高度にカスタマイズ可能な100以上のAI機能が含まれ、顧客は即座に利用可能
※本記事は2024年9月9日に米国で公開されたSalesforce Launches Industries AI: 100+ Out-of-the-Box AI Capabilities that Tackle Industry-Specific Pain Points Across 15 Industriesの抄訳です。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
米国Salesforce(以下、Salesforce)は、顧客企業が迅速に価値を提供できるよう、業界固有のニーズや課題に取り組むための基盤となる事前構築済みでカスタマイズ可能なAI機能のセットであるIndustries AIを発表しました。Industries AIは現在、 Salesforceの15のIndustry Cloudに組み込まれており、顧客は即座に利用可能なAIを導入することで、適切な患者の臨床試験へのマッチング、車両や産業機械のプロアクティブなメンテナンスアラートの提供、在庫管理の合理化、市民やプログラム受給者へのサービス向上など、時間のかかる作業を自動化することが可能となります。
顧客企業がすぐに利用開始できるよう、SalesforceはAI Use Case Library(英語)を作成しました。このライブラリには100を超えるIndustry AI機能と、各Industry Cloudでの始め方に関するリソースが含まれた専用ユースケースライブラリが用意されています。AI Use Case Libraryは、各クラウド製品で発表されたComplaint Summaries、Patient Services & Benefits Verificationおよび、Vehicle Telemetry Summaryなどの新機能が定期的に更新されます。
また、Industries AIは大規模な運用スケールで、あらゆる役割とワークフローにわたって仕事の進め方を変革する、業界固有のAgentforce AIエージェント(英語)を作成するための基盤としても機能します。数分で設定を完了でき、24時間稼働し、業界固有の業務タスクやアクションを自律的に実行します。AIエージェントは、組織のCRMデータ、外部データ、明確なプライバシーとセキュリティのガイドラインを持つメタデータに基づき、複雑なケースを関連するコンテキストと情報を持つ人間にシームレスに引き渡すことも可能です。
重要な理由:ビジネスリーダーの4分の3(英語)以上が、迅速にAIを導入しなければAI革命に乗り遅れるのではないかと心配しています。実際、AI活用を急ぐ声は、過去6カ月間で700%も増加しています。しかし、ほとんどの組織には独自のAIモデルを構築し、トレーニングする時間も資金も無く、特にモデルのトレーニングだけで1億ドル(英語)以上かかることもあります。また、AIが必要とするタスク、課題、目標の種類は、業界ごとに大きく異なります。AIから価値を見出すために、組織は独自のニーズや課題に対応する特別に構築されたAI機能を必要としています。
イノベーションの実践: IndustriesのAIは、エンタープライズグレードのプラットフォームとSalesforceの業界に関する深い専門知識が統合されています。また、Data Cloudによって支えられEinstein Trust LayerによってサポートされているSalesforce platform上に構築されているため、企業は安全性やセキュリティ基準の低下を心配することなく、安心してAIを活用できます。顧客は、事前に構築されたプロンプトを活用し、業界固有のデータモデルや独自のデータおよびメタデータ(医療記録、ドナー・データベース、テレマティクス・システムなど)を使用して、すべてのAI機能を強化し、適切でコンテクストに即した結果とインサイトが得られるようになります。
新機能は、SalesforceのIndustry Cloudに組み込まれ、以下のAIツールが含まれます。
● 金融サービス:
Complaint Summaries:生成AIを使用して個々の顧客とのやり取りを書き起こし、ケースのサマリーを自動的に生成することで、銀行のカスタマーサービス担当者が問題の根本原因と解決への可能な道筋を迅速に検討できるようにし、苦情解決プロセスのスピードアップを支援します。例えば、顧客がクレジットカードの不正利用について苦情を申し立てた場合、カスタマーサービス担当者は、通話ログや電子メールなどの非構造化データおよび構造化データから、その顧客のケース履歴の要約に素早くアクセスし、苦情処理と解決を迅速化することができます。
Candidate Auto-Matching:関連する臨床試験に適格な参加者の特定を迅速化します。研究者や治験実施施設の担当者は、診断コード、投薬の詳細、人口統計などの構造化データおよび非構造化データの両方から患者を確認し、試験に適合させることができるため、評価に要する時間を短縮できます。例えば、製薬やMedtechのスポンサー企業は、治験実施医療機関のコーディネーターや治験担当医師が、さらなるスクリーニングのために、対象となる臨床試験候補者のショートリストを得るための、組入れ除外基準を選択するのを支援することができます。
●医療
Patient Services & Benefits Verification:プラットフォーム間の切り替えを減らし、より迅速な承認を確保するために、在宅訪問前の要約と給付サマリーにより、ケアにかかる時間を短縮します。例えば、ケアコーディネーターは、ケアプラン、処方、臨床受診、事前承認、嗜好などを含む患者やメンバーの包括的なサマリーを、遠隔医療予約の前に得ることができます。また、保険確認担当者は、ボタンをクリックするだけで、保険適用の確認、自己負担額の決定、経済的支援の適格性を一括して簡単に確認することができ、収集すべき不足情報を迅速に特定することができます。
●自動車
Vehicle Telemetry Summary:AIを使用して車両テレマティクスデータを総合的に監視し、車両状態のサマリーを生成します。これにより、カスタマーサービス担当者は車両の状態をより迅速に把握し、メンテナンスの必要性を判別して車両の安全性と状態を向上させることができます。例えば、カスタマーサービス担当者は、顧客のエンジン性能に問題があることをリモートで確認し、その問題について顧客に連絡を取り修理サービスの予約を勧めることで、潜在的な故障を未然に防ぐことができます。
●公共機関
Application History:生成AIを使用して、申請者の給付履歴、ステータスの変更、受給資格の判定、過去の給付プログラムによる結果など、申請者の給付申し込みの包括的な概要を提供し、ケース管理の簡素化と審査の迅速化を支援します。
Version Comparison:現在と過去の申請内容の違いを特定したAI生成サマリーを作成することで、ケースワーカーが申請者の受給資格に影響する可能性のある変更を理解し、説明することを容易にします。
●消費財:
Inventory Check:配送監督者にトラック在庫の差分に関する経緯の要約を提供し、その背後にある主要な理由を特定するのに役立ちます。たとえば、清涼飲料の配送監督者は、一日の始まりにトラックの在庫評価の更新をAIに依頼することができます。Inventory Check は昨日からの過剰在庫を報告し、不良包装と破損在庫によって小売業者がソーダを購入しなかったことが主な理由である可能性が高いことを指摘するかもしれません。配送監督者は、商品をトラックに積み込む前に、包装の完全性に焦点を当てた新しい品質管理チェックを実施することで、改善措置を講じることができます。
Bill History Insightと Rate and Usage Insight:顧客の請求書の変動や使用状況を長期にわたって監視・分析することで、エネルギーおよびユーティリティ・プロバイダーのカスタマーサービス・チームが問題解決を迅速化するのに役立ちます。
Bill History Insights:季節変動やエネルギー使用量の変化など、コストが変化した潜在的な理由だけでなく、顧客の請求書の変化を特定し、表面化するのに役立ちます。
Rate and Usage Insights:エネルギー使用量とコストを迅速に比較することで、顧客が適切な料金プランを利用していることを確認できるよう、カスタマーサービスチームを支援します。また、エネルギー効率化プログラムや家庭の行動変化に関するデータ主導のアドバイスを提供することで、顧客サービスチームがエネルギー消費を最適化し、顧客のコストを削減するのに役立ちます。
●製造
Asset Service Summary:製造サービス担当者にアラート、オープンケース、作業指示、保証ステータスの概要を提供するために、年齢、場所、ステータス、保証範囲などのアセットデータを使用します。これにより、メーカーは、迅速で十分な情報に基づいたカスタマーサポートを提供し、プロアクティブメンテナンスや延長保証などの収益機会を特定することができます。例えば、サービスチームは、顧客の産業用機械設備に関する主要な詳細(年式、過去の保守履歴、保証期間内かどうかなど)を確認することができます。このデータを活用することで、サービスチームは積極的にメンテナンスを推奨し、顧客に延長保証や新しい機器を提供する機会を特定することができます。
●教育
Recruit Inquiry & Opportunity Management:大学の入試チームが入学募集プロセスを合理化し、入学希望者をより惹きつけることができるよう支援します。現在では、専攻や出願期限に関して寄せられるすべての質問に手作業で対応するのではなく、AIを使用してカスタマイズ可能なプロンプト・テンプレートで問い合わせに迅速に対応することができます。また、入学希望者に担当職員を自動的に割り当てたり、学生に連絡を取ったか、出願したか、合格したかに基づいてセグメント化したりすることで、大学全体の入学募集エクスペリエンスをより適切に管理できます。
●非営利
Program Participant Notes Summaries:非営利団体のケースマネージャーやプログラムマネージャーが、ボタンをクリックするだけで、プログラム参加者により個別化されたケアを提供できるようにします。ケースワーカーは、その人固有のニーズやケースの履歴を理解するために何ページものメモや記録に目を通す必要がなく、AIを使ってプログラム参加者のケースの概要を即座に把握することができます。
ESG Disclosure Report Generation:生成AIを使用して、特定の開示基準のフレームワークに沿ったプロンプトに基づいて回答を提案し、サステナビリティ担当者のESG報告作業の効率化および合理化を支援します。
ESG Report Accuracy Assessment:質問項目に対する回答内容の口調や言い回し、全体的な品質を評価します。この機能により、どの回答に改善が必要かをよりよく理解することができ、おすすめの言い回しを利用して回答を修正することができるため、開示レポートの精査に費やす時間を大幅に短縮することができます。
●通信
Quick Quote:複数拠点の予算見積りを作成する複雑なプロセスを合理化し、通信事業者(CSP)の営業担当者が効率を高め、パーソナライズされた顧客体験を提供できるようにします。Quick Quoteを使用すると、営業担当者は生成AIを使用して、従業員数、使用目的、人員配置能力など、特定の顧客インサイトに合わせた関連製品を推奨することができます。さらに、営業担当者は、Quick Quoteが提供する推奨条件や構成に基づいて、見積条件をさらにカスタマイズし、交渉することができます。
RFP Management:生成AIを活用し、メディアとエンターテイメントの営業チームが提案依頼(RFP)プロセスを合理化することで、提案依頼により迅速に対応できるようにします。RFP Managementは、自動的に適切な取引先に商談を作成し、予算、タイムライン、ターゲットオーディエンスなどの重要な情報を特定し、提案書内で直接強調表示するため、営業チームは複雑なRFP文書を手作業で選別する必要がなくなります。
Salesforceの視点:Salesforce IndustriesのEVP兼GMであるジェフ・アマン(Jeff Amann)は、次のように述べています。「私たちの使命は、あらゆる業界のあらゆる従業員の手に強力で実用的なAIを届けることで、あらゆる組織が即座にAIから具体的な価値を見出せるようにすることです。Salesforceを活用することで、あらゆる規模、あらゆる予算の組織が、それぞれの課題解決のために設計されたAI機能を容易に利用できるようになります。銀行が取引に関する議論を迅速に解決したり、介護事業者が診療録を自動的に要約したり、小売ブランドが在庫をより適切に管理したりすることが可能となります」
提供時期:各業界のAI機能は、それぞれのIndustry Cloudで利用可能となり、2024年10月と2025年2月までに大半の機能が提供開始となる予定です。さらに多くの機能が、年3回のSalesforceリリースの一環として継続的に追加されます。
●提供開始済み
・Net Zero CloudのESG Disclosure Report GenerationとESG Report Accuracy Assessment
●2024年10月より提供開始
・Complaint Summaries(Financial Services Cloud)
・Patient Services & Benefits Verification(Health Cloud)
・Candidate Auto-Matching(Life Sciences Cloud)
・Recruitment Inquiry and Opportunity Management(Education Cloud)
・Quote Generation(Communications Cloud)
・RFP Management(Media & Entertainment Cloud)
・Bill History InsightsとRate and Usage Insights(Energy & Utilities Cloud)
・Application HistoryとVersion Comparison(Public Sector Solutions)
●2024年10月にベータ版を提供
・Program Participant Notes Summaries(Nonprofit Cloud)
●2025年2月に提供開始
・Vehicle Telemetry Summary(Automotive Cloud)
・Assets Service Summary(Manufacturing Cloud)
・Inventory Check(Consumer Goods Cloud)
価格:IndustryのAI機能は、Salesforceの業種別ソリューションを通じて提供される予定で、価格は導入の要件に応じて変動します。Salesforce製品の価格についてはこちらをご覧ください。
詳細情報:
●あらゆる業種向けの即座に利用可能なAIソリューションとカスタムAIソリューションの実用的なUse Caseは、こちら。
●Salesforceの15のIndustry Cloudの詳細は、こちら。
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