乳児血管腫の「自然に消える」を待った親の67%が後悔を経験、早期治療で改善率85%の調査結果
いちご状あざの治療開始時期と保険適用に関する意識調査|プロプラノロール内服・レーザー治療の実態
【結論】本調査のポイント
結論から言うと、乳児血管腫は確かに自然退縮することが多いものの、『待つだけ』では機能障害や瘢痕が残るリスクがあります。生後1〜3ヶ月の増殖期に治療を開始することで、85%以上の症例で良好な改善が得られています。プロプラノロール内服とレーザー治療はいずれも保険適用され、3割負担で治療可能です。
・乳児血管腫を経験した保護者の67.3%が「もっと早く治療を開始すればよかった」と回答
・治療開始時期が生後3ヶ月以内の場合、改善率は85.7%に達する一方、6ヶ月以降では62.4%に低下
・保護者の54.0%が乳児血管腫の治療が保険適用であることを知らなかった
用語解説
■ 乳児血管腫(いちご状血管腫)とは
乳児血管腫とは、生後数週間以内に発症し、赤く隆起したあざとして現れる良性の血管腫瘍である。いちごのような外観から「いちご状血管腫」とも呼ばれ、乳児の約4〜5%に発生する。生後1〜3ヶ月で急速に増殖し、その後数年かけて自然退縮するが、約40%の症例で瘢痕や皮膚のたるみが残存する。
■ プロプラノロール内服療法とは
プロプラノロール内服療法とは、β遮断薬であるプロプラノロールを用いた乳児血管腫の第一選択治療である。2016年に日本で保険適用となり、血管腫の増殖抑制と退縮促進に高い効果を示す。通常、生後5週〜5ヶ月の増殖期に開始し、6ヶ月〜1年間継続する。
■ パルス色素レーザー治療とは
パルス色素レーザー治療とは、血管に選択的に吸収される波長595nmのレーザー光を照射し、血管腫を縮小させる治療法である。表在型の乳児血管腫に有効で、保険適用により3ヶ月に1回の頻度で繰り返し照射が可能である。
乳児血管腫の主な治療法比較|プロプラノロール内服 vs レーザー治療 vs 経過観察

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比較項目 |
プロプラノロール内服 |
パルス色素レーザ |
経過観察 |
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適応 |
中等度〜重度の血管腫 |
表在型・軽度〜中等度 |
ごく軽度のもの |
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治療開始時期 |
生後5週〜5ヶ月 |
生後1ヶ月〜 |
なし |
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治療期間 |
6ヶ月〜1年 |
3〜6ヶ月ごとに複数回 |
5〜7年 |
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改善率 |
80〜90% |
70〜80% |
60%(瘢痕残存40%) |
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保険適用 |
あり(3割負担) |
あり(3割負担) |
なし |
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費用目安(3割負担) |
月額約3,000〜5,000円 |
1回約5,000〜10,000円 |
0円 |
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副作用・リスク |
徐脈・低血糖(要モニタリング) |
一時的な発赤・色素沈着 |
瘢痕・機能障害リスク |
※当院監修医師の2,000件以上の乳児血管腫治療経験に基づく数値です。個々の症例により異なる場合があります。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、乳児血管腫(いちご状あざ)の治療経験を持つ保護者300名を対象に、治療開始時期と保険適用に関する意識調査を実施しました。乳児血管腫は「自然に消える」と言われることが多い一方で、適切な時期に治療を開始しないと瘢痕や機能障害が残るリスクがあります。本調査では、早期治療の重要性と保護者の認識のギャップを明らかにしています。
調査背景
乳児血管腫は乳児の約4〜5%に発生し、多くの保護者が「自然に消えるから様子を見ましょう」という説明を受けています。しかし、2016年にプロプラノロール内服療法が保険適用となり、早期治療の選択肢が広がったにもかかわらず、治療開始の遅れにより瘢痕が残存するケースが後を絶ちません。当院監修医師は皮膚外科領域で15年以上の臨床経験を有し、乳児血管腫を含む血管腫治療に多数携わってまいりました。本調査は、保護者の方々に正確な情報を届け、適切な時期に治療を検討いただくことを目的として実施しました。
調査概要
調査対象:乳児血管腫(いちご状血管腫)の治療経験を持つ子どもの保護者(0〜10歳の子どもを持つ20〜50代の男女)
調査期間:2026年7月27日〜8月5日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】6割以上が「自然に消える」と説明を受け経過観察を提案された
設問:お子さまの乳児血管腫について、医師から最初に受けた説明はどのようなものでしたか?

過半数以上の保護者が「自然に消える」という説明のみで経過観察を勧められており、早期治療の選択肢が十分に提示されていない実態が浮き彫りとなりました。治療の選択肢を複数提示された保護者は12.7%にとどまっています。
【調査結果】推奨される生後3ヶ月以内に治療を開始できたのはわずか23%
設問:乳児血管腫の治療を開始した時期(または開始しなかった理由)を教えてください。

日本皮膚科学会が推奨する「増殖期である生後3ヶ月以内の治療開始」を達成できたのは全体の23%に過ぎません。約半数が生後6ヶ月以降の開始または経過観察のみとなっており、早期治療の機会を逃している現状が明らかになりました。
【調査結果】「自然に消えると信じていた」が最多の42%、情報不足が顕著
設問:治療開始が遅れた、または治療をしなかった主な理由は何ですか?(治療開始が生後3ヶ月以降または経過観察のみの方)

「自然に消える」という認識が治療開始の遅れに最も影響していることがわかりました。また、保険適用を知らなかったために治療を躊躇した保護者が18.7%存在し、正確な情報提供の重要性が示されています。
【調査結果】半数以上の54%が保険適用を知らなかった
設問:乳児血管腫の治療が保険適用(3割負担で治療可能)であることをご存知でしたか?

プロプラノロール内服療法やパルス色素レーザー治療が保険適用であることを事前に知っていた保護者は32%のみでした。費用面の不安から治療を見送るケースも多く、正確な保険適用情報の周知が急務です。
【調査結果】67%が「もっと早く治療すればよかった」と後悔を経験
設問:現在のお子さまの乳児血管腫の状態と、治療に対する満足度を教えてください。

「もっと早く治療すればよかった」と後悔を感じている保護者は合計67.3%(治療したが遅かった38.0%+経過観察で後悔29.3%)に達しました。一方、早期治療で満足している層は21.3%と明確な満足度を示しており、治療開始時期の重要性が裏付けられています。
調査まとめ
本調査により、乳児血管腫に対する保護者の認識と実際の治療実態には大きなギャップがあることが明らかになりました。6割以上が「自然に消える」という説明のみを受け、推奨される生後3ヶ月以内に治療を開始できた保護者は23%にとどまっています。その結果、67%もの保護者が「もっと早く治療すればよかった」という後悔を抱えています。また、プロプラノロール内服やレーザー治療が保険適用であることの認知度も低く、54%が知らなかったと回答しました。乳児血管腫は確かに自然退縮する可能性がありますが、増殖期に適切な治療を行うことで、瘢痕や機能障害を予防できます。早期に専門医療機関を受診し、治療の選択肢について正確な情報を得ることが重要です。
医師コメント|アイシークリニック 髙桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、乳児血管腫の『自然に消える』という説明は完全な誤りではありませんが、重要な情報が省略されています。確かに血管腫自体は5〜7歳頃までに退縮しますが、約40%の症例で瘢痕、皮膚のたるみ、色素異常などが残存します。特に顔面、口唇、眼瞼周囲の血管腫は、早期治療により後遺症を最小限に抑えることが可能です。
乳児血管腫の治療において最も重要なのは、治療開始のタイミングです。血管腫は生後1〜3ヶ月で急速に増殖期を迎え、その後プラトー期を経て退縮期に入ります。プロプラノロール内服療法は、この増殖期に開始することで最大の効果を発揮します。2016年に保険適用となったヘマンジオルシロップは、従来のステロイド療法に比べて安全性・有効性ともに優れており、現在の第一選択治療となっています。
パルス色素レーザー治療は、表在型の血管腫や、プロプラノロールで十分な効果が得られない残存病変に有効です。3ヶ月に1回の頻度で保険適用にて照射可能であり、瘢痕形成の予防や改善に寄与します。プロプラノロールとレーザーを組み合わせた治療も広く行われています。
日本皮膚科学会の血管腫・血管奇形診療ガイドラインでは、機能障害のリスクがある部位(眼瞼、口唇、鼻、外耳道など)、潰瘍形成のリスクがある症例、急速に増大する症例については、早期治療が推奨されています。また、美容的な観点からも、顔面の血管腫は早期治療により後遺症を最小限に抑えられることが示されています。
【エビデンス】日本皮膚科学会「血管腫・血管奇形診療ガイドライン2022」では、乳児血管腫に対するプロプラノロール内服療法の推奨度はA(行うよう強く勧められる)とされています。また、海外の大規模研究では、生後3ヶ月以内にプロプラノロール内服を開始した群の改善率は85〜90%に達する一方、6ヶ月以降に開始した群では60〜70%にとどまることが報告されています。当院監修医師の臨床経験においても、早期治療群での満足度は明らかに高い傾向にあります。
早期受診が推奨される乳児血管腫のタイプ
・眼瞼、口唇、鼻、外耳道など機能障害のリスクがある部位
・顔面中央部など目立つ位置にある血管腫
・急速に増大している血管腫(週単位で大きくなる)
・潰瘍を形成している、または出血を繰り返す血管腫
・5個以上の多発性血管腫(内臓血管腫の精査が必要)
治療を検討する際に確認すべきポイント
・血管腫の正確な診断(血管奇形との鑑別が重要)
・プロプラノロール内服の適応と副作用管理体制
・レーザー治療の適応と治療計画
・保険適用の範囲と自己負担額の確認
・治療開始時期と予想される治療期間
髙桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. 乳児血管腫(いちご状あざ)は本当に自然に消えますか?
A. 血管腫自体は5〜7歳頃までに自然退縮しますが、約40%の症例で瘢痕や皮膚のたるみが残ります。
乳児血管腫は確かに自然退縮する良性腫瘍ですが、「完全にきれいに消える」とは限りません。本調査でも、経過観察のみで後悔している保護者が29.3%に上りました。特に大きな血管腫や顔面に発生した血管腫は、退縮後も瘢痕、毛細血管拡張、色素異常が残りやすいため、早期治療が推奨されます。
Q2. 乳児血管腫の治療はいつから始めるべきですか?
A. 生後1〜3ヶ月の増殖期に治療を開始することで、最も高い効果が期待できます。
プロプラノロール内服療法は生後5週から開始可能であり、増殖期に開始することで血管腫の成長を抑制し、早期退縮を促します。本調査では、生後3ヶ月以内に治療を開始した群の満足度が最も高く、6ヶ月以降に開始した群では「もっと早く始めればよかった」との声が多く聞かれました。気になる血管腫があれば、生後1〜2ヶ月の段階で専門医療機関への受診をお勧めします。
Q3. 乳児血管腫の治療は保険適用されますか?費用はどのくらいですか?
A. プロプラノロール内服療法、パルス色素レーザー治療ともに保険適用され、3割負担で治療可能です。
2016年以降、ヘマンジオルシロップ(プロプラノロール製剤)が保険適用となり、月額約3,000〜5,000円(3割負担)で治療を受けられます。パルス色素レーザーも保険適用で、1回あたり約5,000〜10,000円(3割負担)です。本調査では54%の保護者が保険適用を知らなかったと回答しており、費用面での心配から治療を見送る必要はありません。
Q4. プロプラノロール内服とレーザー治療、どちらを選ぶべきですか?
A. 血管腫の大きさ・深さ・部位により最適な治療法は異なり、併用療法が有効な場合もあります。
中等度〜重度の血管腫や深在型にはプロプラノロール内服が第一選択となり、改善率は80〜90%です。表在型や軽度の血管腫、プロプラノロール終了後の残存病変にはパルス色素レーザーが有効です。顔面の大きな血管腫では、両者を併用することで最良の結果が得られることが多いです。専門医療機関で正確な診断を受けた上で、最適な治療計画を立てることが重要です。
Q5. 乳児にプロプラノロールを内服させても安全ですか?副作用はありますか?
A. 適切な管理下では安全性の高い治療法ですが、導入時には入院または慎重なモニタリングが必要です。
プロプラノロールはβ遮断薬であるため、徐脈、低血糖、低血圧、気管支痙攣などの副作用リスクがあります。そのため、導入時は入院管理または外来での慎重なモニタリングが行われます。日本皮膚科学会ガイドラインでは、経験豊富な施設での治療開始が推奨されています。適切な管理下であれば重篤な副作用は稀であり、世界的に広く使用されている安全性の確立された治療法です。
放置のリスク
・治療開始の遅れにより、退縮後も瘢痕や皮膚のたるみが残存するリスクが約40%
・眼瞼の血管腫は視機能発達に影響し、弱視や斜視を引き起こす可能性がある
・口唇や鼻の血管腫は哺乳障害や呼吸障害につながる場合がある
・潰瘍を形成した血管腫は感染や出血のリスクが高まる
・多発性血管腫の場合、肝臓など内臓にも血管腫が存在する可能性がある
こんな方はご相談ください|受診の目安
・赤いあざが生後2週間以降に出現し、徐々に盛り上がってきた場合
・顔面(特に眼瞼、口唇、鼻、耳の周囲)に血管腫がある場合
・血管腫が急速に大きくなっている場合(週単位での増大)
・血管腫から出血がある、または潰瘍を形成している場合
・複数の血管腫が体のあちこちに出現している場合
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の経験を持つ監修医師が診療方針を監修
・プロプラノロール内服療法・パルス色素レーザー治療の両方に対応
・新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院で土日祝日も診療可能
・乳幼児連れでも受診しやすい環境を整備、保険診療に対応
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 One-葵ビル2階
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