~日本の企業・学術機関において初受賞の快挙~IHIグループが開発した、アンモニアを燃料とするエンジンが、CIMAC Congress 2025でCIMAC会長賞を受賞
最大で約95%の温室効果ガスを削減するレシプロエンジンを実現
IHIと、グループ会社の株式会社IHI原動機(以下、IHI原動機)は、5月19日から23日にかけて、スイス チューリッヒで開催された「CIMAC Congress 2025」にて、連名でアンモニア燃料エンジン開発に関する講演を行いました。開発内容および、講演が高く評価され、CIMAC会長賞を受賞しました。これまでに、日本の大学、研究機関、企業がCIMAC会長賞を受賞した例はなく、日本のエンジン業界としても画期的な成果です。
CIMAC(国際燃焼機関会議)は、1951年に設立された世界的な内燃機関(レシプロエンジン、ガスタービン)の研究・開発・製造・使用者に向けた会議で、3年毎に世界各地で学術講演会が開催されます。今回は、200件を超える発表が行われました。

地球温暖化対策として、重油を使用しているエンジンにおいても、カーボンフリー燃料への転換が検討されており、燃やしてもCO2を排出しないアンモニアへの転換が有力候補のひとつとなっています。一方で、アンモニアは重油に比べて燃焼性が低く、燃料転換には技術的課題がありました。
この解決に向けて、IHIとIHI原動機は、2020年度から4ストロークレシプロエンジンでアンモニア燃料を使用するための基礎試験に着手し、RCEM(急速圧縮膨張装置)を用いてアンモニア燃料への着火条件を調査した上で、単気筒試験機を用いてアンモニア燃料の連続燃焼条件を確立しました。
2021年度からはNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金事業「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」(*1)としてアンモニア燃料実証船に搭載するエンジン開発に着手し、2023年4月からIHI原動機太田工場にて陸上運転試験を開始しました。2024年2月にエンジン2台を出荷、海上運転による調整を経て、2024年8月に商用利用を前提とした世界初のアンモニア燃料タグボート「魁」が就航し、2024年11月まで横浜港で実証航海を行いました。アンモニア燃料混焼率、およびGHG(地球温暖化ガス)削減率はいずれも90%以上、最大で約95%を達成し、排気中に含まれるアンモニア、およびN2O(亜酸化窒素)濃度は、排気後処理装置後でほぼゼロを達成しております。
IHIグループでは、燃料アンモニアの利活用モデルを普及させる開発に取り組んでいます。カーボンフリー燃料の早期社会実装に向け、さらなる技術革新に取り組み、質の高いインフラ提供によるグローバルな環境負荷の低減に貢献してまいります。

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