TCJ日本語総合研究所「外国人材と働く日本人に聞く、日本語の実態調査2026」

外国人材との「日本語の壁」、最も感じているのは20代|20代の80%がコミュニケーションに難しさ、4割が「頻繁に感じる」

パスメイクホールディングス株式会社

パスメイクホールディングス株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:宇坂 純)グループの株式会社TCJグローバル(本社:東京都新宿区、代表取締役:中澤 匠)の「日本語総合研究所」は、外国人材を雇用する企業で日常的に外国人材と働く日本人ビジネスパーソン300名を対象に「外国人材と働く日本人に聞く、日本語の実態調査2026」を実施しました。

調査の結果、「外国人材と日本語でコミュニケーションをとる際に、難しさを感じることがあるか」との問いに、75.4%が「頻繁に感じる」「ときどき感じる」と回答しました。年代別では20代が80.4%と全年代で最も高くなりました。

この割合を業種別に見ると、飲食・宿泊業が85.8%で最も高く、建設業84.2%、卸売・小売業78.9%、運輸・物流78.5%と続きました。また、日本語の壁が業務に与える影響では、40.0%が「業務上のミスが起こりやすくなる」、39.3%が「伝達に余分な時間がかかる」と回答。特に運輸・物流では「業務上のミスが起こりやすくなる」が71.4%と全体の約1.8倍に達しました。さらに、77.7%が継続的な日本語学習支援を必要とする一方、31.3%は自社の支援状況を把握しておらず、支援内容が十分に認知されていない可能性や、現場の課題に応じた支援と社内周知の必要性がうかがえる結果となりました。 

調査結果サマリー

  1. 4人に3人が「壁」を実感、中でも年代別では20代が80.4%で全年代トップ

  2. 最大の壁は「専門用語や指示の理解」44.3%、50代は65.2%

  3. 業務影響:ミスが起こりやすくなる 40.0%、伝達時間ロス39.3%、日本人社員の確認・フォロー増加34.7% 

  4. 業種別では運輸・物流の71.4%が「業務上のミスが起こりやすくなる」と回答、全体平均(40.0%)の約1.8倍 

  5. 約8割が「支援は必要」と感じているが、約3割は自社の支援を未把握

調査の背景

日本で働く外国人労働者数は2025年10月末時点で約257万人※1となり、過去最高を更新しました(厚生労働省)。日本の就業者数が2025年平均で6,828万人※2となるなか、外国人労働者は日本の労働市場で存在感を高めています。

一方、厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査」※3では、外国人雇用に関する企業課題の第1位として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」(43.9%)が挙げられています。

しかし、この数値は事業所側から見た課題を示したものであり、日々の業務で外国人材と直接働く現場の日本人社員に焦点を当てた実態については、なお把握の余地があります。 そこでTCJグローバルは、一緒に働く日本人側の視点から外国人材との日本語コミュニケーションの実態を把握するため本調査を実施しました。

4人に3人が「壁」を実感、一緒に働く日本人が感じるコミュニケーション課題 

「外国人材と日本語でコミュニケーションをとる際に、難しさを感じることがあるか」を尋ねたところ、「頻繁に感じる」が30.7%、「ときどき感じる」が44.7%で、合計75.4%が何らかの困難を実感していました。

年代別に見ると、最も困難を感じている割合が高いのは20代の80.4%(「頻繁に」40.2%+「ときどき」40.2%)でした。20代で難しさを感じる割合が最も高かったことから、若手社員を含め、外国人材と共に働く日本人側へのコミュニケーション支援も重要であることがうかがえます。

「頻繁に感じる」の割合は、30代30.4%、40代28.8%、50代以上22.6%と、年齢が上がるほど低下する傾向が確認されました。ただし、難しさを感じるのは20代を除く全年代でも7割前後の高水準であり、言語の壁は世代を問わない課題です。

言語の壁を感じる割合については、 業種によって回答割合に違いが見られました。なかでも飲食・宿泊業では、言語の壁を「頻繁に感じる」と「ときどき感じる」を合わせた割合が85.8%と、全業種で最も高い結果となりました。次いで建設業が84.2%、卸売・小売業が78.9%、運輸・物流が78.5%、製造業が76.6%となっています。 

最大の壁は「専門用語」、試験だけでは捉えきれない「現場の日本語」

「日本語コミュニケーションで具体的にどのような場面で困難を感じるか」を尋ねたところ、上位3項目は「専門用語・指示の理解」44.3%、「マニュアルや社内文書の理解」33.7%、「報告・連絡・相談(報連相)」28.3%でした。いずれも日本語能力試験(JLPT)のスコアだけでは捉えにくい、現場特有の「業務日本語」に関する項目が並んでいます。

「専門用語が通じない」と回答した割合は、50代で65.2%に対し、20代は34.1%と、31.1ポイントの差がありました。50代では20代に比べ、専門用語に関する難しさを感じる割合が高い結果となりました。年代によって、壁を感じるコミュニケーション場面が異なる可能性がうかがえます。

業種別に見ると、日本語コミュニケーションで感じる「壁」の内容にも違いが見られました。「専門用語・指示の理解」に難しさを感じる割合は、運輸・物流で64.3%と全体(44.3%)を20.0ポイント上回り、製造業でも57.8%と全体を13.5ポイント上回りました。専門用語の理解や正確な指示伝達が求められる業種において、コミュニケーション上の課題が結果として表れています。

一方、卸売・小売業では「会議での発言」が39.5%と、全体(21.0%)の約2倍に達しました。日常的な業務上のやり取りだけでなく、会議など自ら意見を発信する場面でも、日本語の壁を感じている実態がうかがえます。

「ミスリスク」「時間ロス」「フォロー増」、現場が負う“見えない負担”

日本語の壁が業務にどのような影響を及ぼしているかを聞いたところ、「業務上のミスが起こりやすくなる」40.0%が最多で、「伝達に余分な時間がかかる」39.3%、「日本人社員の確認やフォローが増える」34.7%が続きました。

伝達のやり直しや確認・フォロー、ミスに伴う手戻りなどは、数値化されにくい「見えない負担」につながる可能性があります。 さらに、「担当できる仕事が限られる」28.0%、「本人の能力や経験を十分に生かせない」23.3%と、日本語の壁が能力発揮を妨げる要因として認識されていることもわかりました。

業種別に見ると、日本語の壁が業務上のミスや人材活用へ悪影響を及ぼす可能性が浮かび上がりました。運輸・物流では、「業務上のミスが起こりやすくなる」が71.4%と、全体(40.0%)の約1.8倍に達しました。正確な情報伝達が求められる現場において、日本語コミュニケーションの壁が業務上のミスにつながる可能性が示唆されます。安全な運行や作業が求められる業種だからこそ、円滑なコミュニケーション環境の整備が重要であることがうかがえます。

一方、医療・福祉では、「担当できる仕事が限られる」が41.2%となり、全体(28.0%)を13.2ポイント上回りました。日本語の壁によって担当できる業務の幅が狭まり、外国人材が持つ経験やスキルを十分に活かしきれていない可能性がうかがえます。人材確保が重要な課題となる医療・福祉の現場において、日本語コミュニケーションへの支援が、外国人材の能力発揮や活躍の幅を広げるうえでも重要であることを示唆する結果となりました。

約8割が「継続支援は必要」、一方31.3%は自社の支援状況を把握せず

「外国人材への継続的な日本語学習支援の必要性」を尋ねたところ、「非常に必要」28.7%、「ある程度必要」49.0%で、合計77.7%が「必要」と回答し、現場の大多数が日本語教育の重要性を認識しています。しかし、「自社における支援の有無」を尋ねると、31.3%が「分からない、把握していない」状況でした。

業種別に見ると、日本語学習の支援状況や、求められる支援の内容にも違いが見られました。

現在の支援体制を見ると、建設業では「会社負担の研修」が42.1%と、全体(29.7%)を12.4ポイント上回りました。また、医療・福祉では「外部サービス補助」が47.1%と、全体(33.3%)を13.8ポイント上回っています。

支援の必要性では、建設業の42.1%が日本語学習支援を「非常に必要」と回答し、全体(28.7%)を13.4ポイント上回りました。次いで、 製造業は32.2%、医療・福祉は29.4%、運輸・物流は28.6%となっており、特に建設業で日本語学習支援への強いニーズが表れています。

さらに、外国人材がより活躍するために必要な支援を見ると、「仕事で使う日本語の継続的な学習機会」は製造業が53.3%と最も高く、運輸・物流も50.0%、建設業も47.4%と、いずれも全体(41.3%)を上回りました。一方、「外国人材向けの相談窓口」は医療・福祉が47.1%と、全体(20.7%)の約2.3倍に達しました。業種によって、継続的な日本語学習を求める傾向と、相談できる環境を求める傾向に違いがあり、それぞれの職場環境や課題に応じた支援が求められていることがうかがえます。

2027年4月に施行される「育成就労制度」では、育成就労外国人は就労開始前までにA1相当の日本語能力試験に合格するか、100時間以上のA1相当講習を受講することとされています。また、育成就労終了までにA2相当の日本語能力への到達を目標とした100時間以上の講習を受講できるよう、受入れ側が必要な措置を講じることが求められます。なお、所定の日本語能力試験に合格している場合は、該当する講習を受講させる必要はありません。

制度施行を控え、企業には支援体制の整備に加え、その内容を社内に周知していくことも求められます。 

■コメント:株式会社TCJグローバル 日本語総合研究所 所長 徳田淳子

本調査は、外国人材側ではなく、日常的に外国人材と働く「日本人側」に焦点を当てた点に大きな意義があります。75.4%が日本語でのコミュニケーションに難しさを感じているという結果は、日本語の壁が外国人材本人だけの問題ではなく、職場全体で向き合うべき課題であることを示しています。

特に注目したいのは、「専門用語・指示の理解」が最大の壁として挙げられたことです。JLPTのN2やN1に合格していても、それだけで「現場で使える日本語力」が十分に身についているとは限りません。業界特有の用語や、暗黙知となっている報告・連絡・相談の作法、表現のニュアンスなどは、一般的な日本語学習や試験対策だけでは身につけにくい領域です。企業には、外国人材が実際の業務で直面する場面や課題に即した、継続的な日本語学習支援が求められます。

また、20代では40.2%がコミュニケーションの難しさを「頻繁に感じる」と回答しました。この結果から、外国人材への日本語教育だけでなく、共に働く日本人社員、特に若手社員に対しても、伝わりやすい表現やコミュニケーション方法を学ぶ機会を設けることが重要だと考えます。双方への支援が、日本人社員の確認やフォローの負担を軽減し、外国人材が能力を発揮しやすい職場づくりにつながります。

2027年4月に施行される育成就労制度は、受入れ側による日本語学習支援が一層重視される大きな転換点です。TCJグローバルは、1988年の創業以来、80カ国以上の学習者に日本語教育を提供してきました。文部科学省に登録された「登録実践研修機関・登録日本語教員養成機関」であり、語学学習サービスの国際規格ISO 29991の認証を取得した教育機関として、「試験対策」にとどまらない「現場で使える日本語教育」の重要性を発信してまいりました。育成就労制度のもとで求められる継続的な日本語学習支援においても、企業と外国人材の双方を支援してまいります。

【アンケート概要】

調査名称:外国人材と働く日本人に聞く、日本語の実態調査2026

調査対象:外国人材を雇用する企業に勤務し、外国人材と日常的に働く日本人社員・管理職 

調査手法:インターネット調査

調査時期:2026年8月

有効回答:300名

主な回答者属性:製造業、建設業、情報通信・IT、卸売業・小売業、飲食サービス業・宿泊業、医療・福祉・介護、教育・学習支援、運輸・物流、農林水産業、人材サービス・人材派遣など

※ 四捨五入の関係で、合計が100%にならない場合があります

※1 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/001659195.pdf

※2 https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/youyaku.pdf

※3 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61317.html

【株式会社TCJグローバルについて】

会社名:株式会社TCJグローバル(旧東京中央日本語学院)

代表取締役:中澤 匠

設立:1988年

所在地:東京都新宿区信濃町34 トーシン信濃町駅前ビル

事業内容:外国人留学生向け進学・就職日本語コースの運営、総合日本語コースの運営(在日外国人、海外在住者、企業向け研修)、日本語教師養成事業、行政・教育機関・企業向けの日本語教育コンサルティング、人材紹介(外国人・日本語教師)

URL:https://tcj-education.com/ja/

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会社概要

URL
https://www.pathmake.co.jp/
業種
サービス業
本社所在地
東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー15階
電話番号
-
代表者名
宇坂純
上場
未上場
資本金
-
設立
2019年04月