第46回「石橋湛山賞」受賞作決定
2025年度・第46回の「石橋湛山賞」(石橋湛山記念財団主宰、東洋経済新報社、経済倶楽部後援)受賞作は、一橋大学大学院経済学研究科教授の佐藤主光氏による『日本の財政――破綻回避への5つの提言』(中央公論新社、2024年5月刊)に決定いたしました。全国の有識者からご推薦いただいた多くの著作・論文の中から、厳正なる審査を経て選出されました。
著者は日本を代表する財政学者であり、本書ではわが国の逼迫する財政の現状、財政赤字の原因、そして財政再建に向けた有効な手段を提示しています。現在の財政危機は平時から財政規律が欠如していたことに原因があると述べ、一般国民が危機感を持ちながら自分事ととらえていない現状を懸念しています。
財政の重要なテーマである短期的な景気対策と中長期的な成長対策において、国民の強い要望や政治の思惑から財政支出が前者に偏り、人口減少や国際情勢の変化など、大きな課題への対応が後回しになっていると指摘。財政の基本概念に立ち戻って、税制や財政ルールの見直し、国民の生活や経済の成長に欠かせない支出は守る一方、効果にエビデンスが乏しい支出は削減するワイズスペンディングなど、 財政再建の方策を網羅的に論じています。
そして「財政民主主義」により国民が財政をコントロールし、規律付け、民主主義で財政赤字を解消できるか試されていると、本書を締めくくっています。
こうした問題意識や啓蒙的な内容が評価され、石橋湛山賞にふさわしいとなりました。
なお、授賞式は11月25日(火)、東洋経済ビルで行われます。
佐藤 主光著『日本の財政 ――破綻回避への5つの提言』(中公新書 2024年5月刊)
受賞者略歴
1969年秋田市生まれ。1992年一橋大学経済学部卒、1994年一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。1998年クイーンズ大学大学院経済学研究科博士課程修了、Ph.D。1999年一橋大学大学院経済学研究科講師、2002年同助教授、2009年同教授、2012~2013年度一橋大学国際・公共政策大学院長、2014~2016年度国立大学法人一橋大学役員補佐。2016~2022年度一橋大学社会科学高等研究院医療政策・経済研究センター長。2023~2024年度一橋大学経済学研究科長。政府税制調査会委員・特別委員、財務省財政制度等審議会委員、内閣府規制改革推進会議委員など歴任。1999年C.A.Curtis賞受賞。2019年日本経済学会石川賞受賞。2024年紫綬褒章受章。
著書/共著
『ポストコロナの政策構想――医療・財政・社会保障・産業』 (共著、日経BP日本経済新聞出版本部、2021年)『公共経済学15講』(新世社、2017年)、『地方税改革の経済学』(日本経済新聞出版社、2011年、エコノミスト賞)『震災復興 地震災害に強い社会・経済の構築』(共著、日本評論社、2011年)、『財政学』(放送大学出版、2009年)、『地方財政論入門』(新世社、2008年)『地方交付税の経済学――理論・実証に基づく改革』(共著、有斐閣、2003年、日経・経済図書文化賞、NIRA大来政策研究賞及び租税資料館賞)
授賞式
日時:2025年11月25日(火)15時00分~
会場:東洋経済ビル 9階ホール(東京都中央区日本橋本石町 1-2-1)
「石橋湛山賞」について
石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団により、東洋経済新報社と経済倶楽部の後援の下に、1980年に創設されました。政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られています。 政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員らによる選考委員会が授賞候補を数点に絞ります。この中から最終選考委員の伊藤元重(東京大学名誉教授)、藤原帰一(東京大学名誉教授)、酒井啓子(千葉大学法政経学部教授)、加藤丈夫(元国立公文書館館長)、山縣裕一郎(経済倶楽部理事長)、山田徹也(東洋経済新報社 代表取締役社長)各氏の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。
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