現在の経営課題、「人材の強化」と「収益性向上」が約5割「デジタル技術・AI活用」が前回11位から5位へ上昇
『日本企業の経営課題2025』調査報告 第2弾
一般社団法人日本能率協会(会長:中村正己、JMA)は、このたび「2025年度(第46回)当面する企業経営課題に関する調査」の結果をまとめました。本調査は、企業が直面する経営課題を明らかにし、今後の経営指針を探ることを目的として1979年から実施しており、今回は530社の経営者(経営管理部門含む)から回答をいただきました。本リリースでは、調査報告第2弾として「経営課題」に焦点を当て、調査結果を報告します。
【調査結果サマリー】
■ 現在の経営課題は、「人材の強化」と「収益性向上」が2024年度に続き約5割を占め、突出
■「デジタル技術・AI活用」が5位へ上昇し、経営効果創出段階へ
■ 10年後の経営への影響要因は、「国内市場縮小」「攻守のデジタル対応」「個を活かしつつ雇用流
動化にも対応」が上位を占める
■ 企業は、概ね7年後の未来を見据えて経営をデザイン(回答企業平均値)
1.現在の経営課題は、「収益性向上」「人材の強化」が2024年度に続き約5割を占め突出
「デジタル・AI活用」が5位へ上昇し、経営効果創出段階へ
「現在」の経営課題として、「収益性向上」が48.5%、「人材の強化」が46.2%と約5割で、他の課題と比較して突出して高い割合が継続しています。「収益性向上」は、原材料費やエネルギー価格の高騰、人件費上昇など、コスト増加要因への対応、「人材の強化」は、慢性的な人手不足、離職対応などに追われている状態が改善していないことを示しています。
「デジタル技術・AI活用」については、2024年度の11位から5位と大きく順位を上げており、導入試行の段階から省力化、顧客価値向上等の経営効果の創出が期待されるステージになったと推察されます。
【図1】「現在」重視する経営課題(上位10項目)

2.10年後の経営への影響要因は、「国内市場縮小」「攻守のデジタル対応」「個を活かしつつ
雇用流動化にも対応」が上位を占める
2035年(調査時期の10年後)の経営に影響する事象とその備えの相関では、「AIやDXをはじめとするデジタル技術のさらなる進展(技術)」「高度化するサイバー攻撃への対応とセキュリティ対策(技術)」の攻守両面でのIT領域、「働き手の価値観・キャリア観の多様化(社会)」の3事象は、経営への影響度が大きく、備えへの取り組みが推進しています。
次いで経営への影響度が大きい「国内市場の縮小継続に伴う売上減少、事業構造改革および業界再編の進展(経済)」と「雇用が流動化した状態を前提とした業務推進や人材育成(社会)」の2事象は、備えへの取り組みを予定、検討中が多く、備えを始めた段階となっています。
大企業では、「高度化するサイバー攻撃への対応とセキュリティ対策(技術)」、「働き手の価値観・キャリア観の多様化(社会)」「国際政治の構造変化および地政学リスク(政治)」「グローバル基準に即した各種コンプライアンス体制・制度の整備(政治)」の4事象が特徴となっています。
製造業では、「国際政治の構造変化および地政学リスク(政治)」が高く、非製造業では「働き手の価値観・キャリア観の多様化(社会)」が高くなっています。(詳細は5月11日15時に小会HPに掲載予定)
URL:https://www.jma.or.jp/website/report.html#keieikadai
【図2-1】 2035年(調査時期の10年後)の経営に影響する事象とその備えに関するマトリクス

3.企業は、概ね7年後の未来を見据えて経営をデザイン(回答企業平均値)
経営課題や事業のあり方を議論・検討する際に、どれくらい先の未来を設定するか尋ねたところ、全体では、「5年後」(37.5%)、「10年後」(30.0%)、「3年程度(以内)」(24.9%)の順となっており、平均的な想定年数は、7.0年となっています。10年より先の未来を想定する企業は、「15年後」(3.6%)、「20年後以上」(2.8%)とごく少数にとどまっています。
従業員規模別で見ると、大企業は「10年後」が4割超で最も高く、15年後以上先の未来を設定する企業も1割超みられました。一方、中堅企業では「5年後」が4割超と最も高くなっています。中小企業は、「3年程度(以内)」(36.4%)が最も高く、次いで「5年後」(35.3%)で、5年以内で7割を超え、長期的な未来の想定が行われていない企業が多くなっています。
従業員規模が大きくなるほど、想定する将来の年数は長期的になっています。これは、社会的責任の重大さやステークホルダーとの多角的な関係性に加え、投資回収サイクルの長期化、さらには組織の慣性の大きさといった要因が背景にあると考えられます。一方で中小企業においては、キャッシュフローの安定化や機動力を活かした変化への対応、サプライチェーンの一員を担うことによる発注者の意向への適応が優先され、固定的な長期計画の策定が必ずしも合理的ではないという実情が推測されます。
しかしながら、中堅企業の28.3%が「10年後」を想定し、中小企業においても「5年後」と「10年後」を想定する割合が58.4%に達している点は注目に値します。この数値は、従業員規模を問わず、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を、従業員を含むステークホルダーに定義した上で、具体的な戦術には柔軟性を持たせる経営を実践する経営層が増加しつつあることを示唆していると推察されます。
【図3】経営課題や事業のあり方を議論・検討する際に設定する未来

「2025年度(第46回)当面する企業経営課題に関する調査」概要

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調査時期 |
2025年8月19日~9月25日 |
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調査対象 |
JMAの法人会員ならびにサンプル抽出した全国主要企業の経営者(計5,074社) |
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調査方法 |
郵送調査法(質問票を郵送配布し、郵送およびインターネットにより回答) |
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回答数・回収率 |
回答数530社・回答率10.4% |
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調査項目 |
1.当面する企業経営課題 ※本リリースで抜粋 2.経営機能別課題 3.AIの活用・今後求められる人材要件 4.人材育成の課題 |
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報告書 |
5月中旬以降に、以下のURLに公開予定 |
【本件に関するお問い合わせ先】
一般社団法人日本能率協会 人材戦略研究所 (担当:牧野・當間)
〒105-8522 東京都港区芝公園3-1-22
TEL:03-3434-1601 E-mail:jmapr@jma.or.jp
※取材のお問い合わせも、上記宛てへお願いいたします
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