開催レポートを公開!Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル『未来の巨匠コンサート2025』【若い才能を発掘・育成する継続的な取り組み Discover Future Stars】
2025年9月に開催した『未来の巨匠コンサート2025』のレポートを公開。今年はトランペット奏者の松井秀太郎さんとチェロ奏者の鳥羽咲音さんが登場し、「若き巨匠」の風格さえ漂わせる演奏を披露しました。
1989年の開館から複合文化施設として多くの文化・芸術を発信してきたBunkamura(運営:株式会社東急文化村/所在地:東京都渋谷区)の活動は、文化・芸術を愛し、応援するオフィシャルサプライヤー企業の皆様により支えられています。現在、隣接する土地の開発計画に伴い、オーチャードホールを除き休館していますが、この休館期間を自由な発想で新たな挑戦をしていくチャンスと捉え、これまでBunkamuraが大事にしてきた人々の心を動かす文化・芸術の創造と発信を続けていくとともに、さらに活動の場を広げていく取り組みを進めています。
■“育成”に挑戦する「Discover Future Stars」
Bunkamuraの活動を支えるオフィシャルサプライヤーの支援のもと、若い才能を発掘・育成する継続的な取り組み「Discover Future Stars」を行っています。文化・芸術を通して、多様な背景をもつ人達が自分の可能性を発見するきっかけや今後の活躍の後押しとなる場を提供するとともに、次世代の文化芸術の担い手を育成するプログラムを展開していきます。

■2人の“未来の巨匠”が登場

Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル『未来の巨匠コンサート2025』を9月7日(日)、Bunkamuraオーチャードホールにて開催しました。今年はトランペット奏者の松井秀太郎(まついしゅうたろう)さんとチェロ奏者の鳥羽咲音(とばさくら)さんが登場し、キンボー・イシイさんが指揮する東京フィルハーモニー交響楽団と共演しました。
コンサートのオープニングはグリンカの歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲。華やかな弦楽器、荘厳な金管楽器、迫力あるティンパニの響きは、これぞオーケストラ!高揚感とともに客席を一気に音楽の世界へと引き込みます。
そして前半のソリスト、松井秀太郎さんがにこやかにステージに現れ、アルチュニアンのトランペット協奏曲でエキゾティックな旋律とともに幕を開けます。ジャズ、クラシック、吹奏楽、ポップスなど幅広いフィールドで活躍する松井さんは、特定のジャンルではなく「トランペット」を軸足に楽器の魅力を追求し、自身の音楽を表現してきたといいます。その言葉に違わず、エッジのきいた大胆さと、伸びやかな純度の高さを兼ね備えた音色は、松井さんにしか出せないもの。一聴して心掴まれる音色です。音色とともに、松井さんが大切にしているのがトランペットで歌うこと。ミュートをつけて甘い旋律を歌う場面は、まるでジャズシンガーの歌うバラードのよう。「演奏家」というよりも「表現者」として作品と向き合っていることがよくわかる演奏です。その真骨頂はラストのカデンツァ。一般的にはドクシツェルが書いたカデンツァがよく演奏されますが、今回は松井さんのオリジナルで、ジャズの歌い口もまじえた独奏をビシッと決めて締めとなりました。
熱狂的な拍手に応えて、ソリスト・アンコールは松井さんのオリジナル曲「TRUST ME」(オーケストレーションは兼松衆)。トランペットの郷愁に満ちたメロディにオーケストラが寄り添い、聴く人それぞれが幸せだった時間を思い出すような、豊かな時間が流れました。

後半は、鳥羽咲音さんをソリストに迎えたショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番。鳥羽さんは、みずから選んだこの難曲について、「パワフルな力感と、静かな内面の深みというふたつのキャラクターをお楽しみいただける曲」と語っていましたが、そのイメージを映し出したような白と黒のツートンカラーのドレスも印象的です。
第1楽章冒頭、ユーモラスな主題をチェロが奏ではじめます。最初はやや緊張した面持ちでしたが、次第に驚くべき集中力で音楽に没入していく鳥羽さん。かといって、決してまわりが見えなくなるような没入ぶりではなく、絶えず指揮者に視線を投げ、オーケストラとぴったり合わせるアンサンブル能力は卓越したもの。ソリストとしてオーケストラと対峙するというより、みずからもオーケストラの一員として演奏している感覚なのかもしれません。穏やかな第2楽章では、ヴィブラートをかけてエモーショナルに歌いながらも、すっとした清潔感のある音色が魅力的。分裂的に明滅するさまざまな感情を精緻に描き出していきます。そして第3楽章は、オーケストラなしの独奏によるカデンツァ。舞台でたったひとり、自己の内面にある深淵を覗き込むような旋律を、バッハのように厳かに、堂々と奏でるさまは、とても20歳とは思えません。第4楽章はオーケストラと一体となってクライマックスへとのぼりつめ、鮮烈な響きとともに幕を閉じました。
アンコールは、ヴァインベルクの「無伴奏チェロのための24の前奏曲」より第20・21番。ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番のフレーズも聞こえてきて、鳥羽さんのこだわりを感じる選曲でした。
今回の『未来の巨匠コンサート』では、すでに「若き巨匠」の風格さえ漂わせているような実力あるふたりのソリストに触発されて、オーケストラも迫真に迫る演奏を聴かせてくれました。松井さん、鳥羽さんの今後の活躍がますます楽しみです。(文・原典子)
■『未来の巨匠コンサート』とは
この公演は、オフィシャルサプライヤーの協力により1992年から2000年まで開催してまいりました。
①若い才能ある音楽家を発見・支援・育成し、彼らを紹介すること
②日本において彼ら音楽家たちの交流を促進させること
③日本の音楽愛好家に新鮮で良質な演奏会を提供すること
などを目的に、過去には指揮のアラン・ギルバート、フルートのエマニュエル・パユ、ヴィオラの清水直子など現代を代表する音楽家が出演しました。
そして、これまでのDNAを引き継ぎ2023年より再開。Bunkamuraは開業以来、焦点を当て活動してきた「創造」「発信」「交流」に加え、若い才能を見出し、その成長を支援する「育成」に一層力を入れてまいります。
■公演概要
Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル
未来の巨匠コンサート2025
Discover Future Stars
日程:2025年9月7日(日)
会場:Bunkamuraオーチャードホール
今後の「Discover Future Stars」企画
Bunkamuraオフィシャルサプライヤースペシャル
YGPオーチャード・ガラ
“Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow”
世界最大規模のバレエコンクール「Youth America Grand Prix (YAGP)」。YGP Japanの開催を記念し、《YGPオーチャード・ガラ》を開催します。未来を担う名門バレエ学校の生徒と、アレクサンドル・リアブコ、永久メイ、ドミトリー・スミレフスキーといった世界の頂点に立つスターの共演を、ぜひ劇場でご覧ください。
日程:2025年10月12日(日)
会場:Bunkamuraオーチャードホール

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