いくら休んでも疲れが取れない人は、脳が疲弊している
株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン(取締役社長:干場 弓子、 本社:東京都千代田区)は、『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』(著:川野泰周)を9月26日に発売しました。
いくら休んでも疲れが取れない人は、脳が疲弊している
土日にゆっくり休んだはずなのに、疲れがなかなか取れないといった経験はないでしょうか。
そもそも、疲れにはいくつか種類があり、単なる肉体的な疲れであれば、ゆっくり休むことでリフレッシュすることができます。
しかし、心の疲れとなると、そういうわけにはいかないようです。精神科医でありながら、禅僧でもある川野泰周さんは「心の疲れ」は医学的にみると「脳の疲弊」にあたると指摘しています。
本書によると、脳をゆるやかに酷使し続けていると、集中力、やる気、睡眠の質などが低下し「朝起きた瞬間から、もう疲れている」といった状態になってしまうといいます。
では、「脳の疲弊」のメカニズムや対処法とは、いったいどのようなものなのでしょうか。
脳が疲弊してしまう原因はマルチタスクにある
脳の特性として、一つのことに集中しているとそれほど疲れず、むしろリフレッシュされて、より元気になることが知られています。ところが、集中することが複数になるだけで、脳の疲弊が始まるのです。例えば、人の話をただ聞く場合と、聞きながら記録を取る場合では、後者の方が脳の疲労度が大きくなります。「いろいろなことを考えながら作業をする」「考え事や悩み事が、頭から離れない」といった状態も同じことが言えます。
私たちが、何かに注意を向けるためのおおもとにあたる部分を注意資源といいます。注意資源を使えば使うほど、脳はエネルギーを消費していきます。そのため、いちどきに資源を発動できるその総量は有限になります。つまり、シングルタスク脳は元気を生み出し、マルチタスクは疲弊を生み出すわけです。そして、パソコン、インターネット、SNSなどに囲まれた日常生活は「無意識のマルチタスク」の連続と言えます。
脳の疲弊によって何が起きるのか
脳の疲弊によって、ときに自律神経が乱れ、下痢や便秘、咳、じんましん、などの症状を訴える人がいます。そのほか、最近増えている失感情症は、注意資源を自分の内側に向けられないことで起こると言われています。
これらの根底には「こころの抵抗力」「自己肯定感」などの低下があります。かといって、自分の中のネガティブな要素にふたをして、表面的なポジティブを無理矢理装うことも危険です。いわゆる「リア充神話」は、無理に自分を高揚させるマニック・ディフェンス(躁的防衛)の傾向を感じさせます。まるで、泳ぎ続けないと死んでしまうマグロのような状態と言えます。
シングルタスクに切り替えると脳が元気になる
有名な禅僧の言葉で「身体が疲れたら寝ればいい、心が疲れたら坐禅をすればいい」というのがあります。この坐禅のように「今、ここにある、たった一つの作業に意識を集中させる」ことをマインドフルネスといいます。これは、シングルタスクを習慣づけるためのとてもいい方法でもあります。
一流のビジネスパーソンは、多くの仕事を抱えているにもかかわらず、疲労困憊にならないで、精力的に仕事をこなしています。その秘訣は「切り替え」にあります。つまり、切り替えを上手に行って、シングルタスクを繰り返しているのです。彼らは仕事以外においても、遊ぶときは徹底して遊び、食事もひたすら楽しんでいるはずです。まさに、これがマインドフルネスなのです。
「孤独のグルメ」はマインドフルネスのお手本
著者が命名した、ラーメン瞑想というものがあります。ポイントは、ゆっくり、変化を楽しむこと。まず、じっくりとラーメンを眺めます。「スープの色」「盛り付けの様子」「香り」などを心の中で言葉にします。ひと口目は何もかけずに食べ、食感、味、香りを味わっていきます。次に、具を一つひとつ順番に味わっていきます。
このように食べることに集中する行為は、マインドフルな食べ方になり、まぎれもなくシングルタスクになります。この切り替えが重要で、それだけで脳はしっかりと休息がとれるのです。ここで思い出すのが、あの人気番組『孤独のグルメ』です。「いまここに集中」「小さな味の変化を楽しむ」「心の中で言葉にする」といったマインドフルネスの要素が揃っています。
自分をコントロールすれば自己肯定感がアップする
人は、自分では抗うことができないものに従っていると、どんどん疲弊し、自己肯定感が下がってしまいます。反対に、美術館に行くなど、自分がやりたいと思っていた行動をとることができると、少しだけ気分がよくなることがあります。同じように、1分間の深呼吸、5分間の散歩など、些細なことであっても自分をコントロールする行為を心掛けるだけで、自己肯定感をアップさせる効果があります。
睡眠もある程度コントロールが可能です。人は、メラトニンという睡眠ホルモンの分泌によって眠くなるのですが、朝に光を浴びると分泌は止まり、その14~16時間後に再び分泌されるというメカニズムがあります。例えば、朝7時に太陽光を浴びると、夜10時くらいにメラトニンが分泌されます。このように朝、何時に光を浴びたかによって眠くなる時間が決定されるわけです。
質の高い睡眠は、このメカニズムを利用して「眠りたい時刻に、メラトニンがでてくるようにする」のがポイントです。ただし、寝る前にパソコンやスマホのブルーライトを浴びると分泌が抑制されてしまい、睡眠の質が下がることになります。
そのほか著書には、最新科学と禅の精神から導き出した、誰でも簡単にできる、疲れを取りのぞく41の方法が紹介されています。
【目次】
序 章 「疲れの種類」によって、正しい「休み方」がある
第1章 身体の一部分に意識を向ける
第2章 食事でマインドフルネスを実践する
第3章 最高の睡眠を手に入れる
第4章 自然の営みをていねいに受け取る
第5章 自分を慈しむ
第6章 身体を動かす
第7章 コミュニケーションを無毒化する
第8章 「小さな変化」を取り入れる
【著者情報】
川野 泰周(かわの たいしゅう)
臨済宗建長寺派林香寺住職、RESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長。
精神保護指定医・日本精神神経学会認定精神科専門医・医師会認定産業医。
1980年横浜市生まれ。2004年慶應義塾大学医学部医学科卒業。臨床研修終了後、慶應義塾大学病院精神神経科、国立病院機構久里浜医療センターなどで精神科医として診療に従事。2011年より建長寺専門道場にて3年半にわたる禅修行。2014年末より横浜の臨済宗建長寺派林香寺住職となる。
現在、寺務の傍ら都内及び横浜のクリニック等で精神科診療にあたっている。うつ病、不安障害、PTSD、睡眠障害、依存症などに対し、薬物療法や精神療法と並んで、禅やマインドフルネスの実践による心理療法を積極的に導入している。また、ビジネスパーソン、医療従事者、学校教員、子育て世代、シニア世代などを対象に幅広く講演活動を行っている。
著書に『あるあるで学ぶ余裕がないときの心の整え方』(インプレス)、『悩みの9割は歩けば消える』(青春出版社)、『脳がクリアになるマインドフルネス仕事術』(クロスメディアパブリッシング)など。
【書籍情報】
タイトル:「精神科医の禅僧」が教える心と身体の正しい休め方
本体価格:1,500円(税抜)
発売日: 2018.9.26
判型:四六判・ソフトカバー/P288
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018/9/26)
ISBN:978-4-7993-2358-8
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ディスカヴァーサイト:https://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799323588
【本書のご購入はコチラ】
Amazon:https://amzn.to/3mTf2Mn
楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/15631724/
セブンネットショッピング:https://7net.omni7.jp/detail_isbn/9784799323588
ディスカヴァーサイト:https://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799323588
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザーログイン既に登録済みの方はこちら
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像