ヤマハと京都大学が持続可能な森林資源の育成・利用に向けて包括的研究連携協定を締結

「良い音」に欠かせないアフリカやアジアの希少木材などを研究、雇用創出につながる森林保全エコシステム、新材料の研究も予定

ヤマハ株式会社(本社:静岡県浜松市中区、代表執行役社長:中田卓也)と国立大学法人京都大学(所在地:京都市左京区吉田本町、総長:山極 壽一)は、「森林資源の持続可能性(サステナビリティ)」を共通テーマとした基礎的研究と研究成果の社会への還元を目指し、包括的研究連携協定を締結したことを本日、京都大学にて発表しました。
本連携協定の期間は今年10月1日からの3年間で、11月中旬頃より具体的な研究に着手する予定です。

左より阿曽沼理事(京都大学)、川瀬常務執行役(ヤマハ)左より阿曽沼理事(京都大学)、川瀬常務執行役(ヤマハ)

 

管楽器の材料として利用される希少木材 「アフリカン・ブラックウッド」管楽器の材料として利用される希少木材 「アフリカン・ブラックウッド」


<協定の背景と狙い>
ピアノや弦打楽器、木管楽器などの多くは主に木材で作られています。音響性能や機能性、デザイン性、質感の良さなどの理由から、電子楽器やスピーカーなどにも木材が多く使われています。木材ごとに唯一無二の音響特性があり、希少木材と呼ばれる資源量の少ない珍しい品種が使われる場合も少なくありません。

木材を持続可能な形で利用し続けるためには、森林保全や木材資源量への配慮のみならず、サプライチェーンが経済的にも持続可能なものとし、雇用創出やインフラ整備といった現地コミュニティーの発展に資することが必要となります。

今回の研究連携協定の締結は、こうした「森林資源の持続可能性」を追求するためのもので、主に楽器の材料として使用される希少木材の利用効率向上、有効資源量の把握、体系的森林育成技術の構築、雇用創出までを視野に入れた地域コミュニティーと連携した循環型のエコシステムの実現などに対して学術的にアプローチします。

2015年9月に開かれた「国連持続可能な開発サミット」では、150を超える国連加盟首脳の参加のもと、17のゴールと169のターゲットからなる「SDGs」(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択されました。17の目標の中には「12:つくる責任・つかう責任」と「15:陸の豊かさも守ろう」という項目が含まれており、「森林資源の持続可能性」も重要なテーマの一つです。

今回、楽器製造で長年培った木材に関する技術・知見を持つヤマハと、森林科学分野での先端研究を進めており豊富な研究資源を持つ京都大学が連携することで、地球規模の共通課題である持続可能な森林資源の実現に向けて基礎的研究を促進し、研究成果を積極的に公表することで社会にその成果を還元・貢献していきます。


<研究連携協定内容の概略>
  1. 研究テーマの創出と研究の実施
  2. 連携推進協議会の設置、運営
  3. 研究者と技術者の相互交流の推進
  4. 双方の研究開発資源の積極的活用
  5. 研究成果の応用、積極的発表の推進


<当面の予定研究テーマ>
持続可能な森林資源の育成・利用をテーマに連携して研究に取り組みます。楽器の材料となるアフリカン・ブラックウッド(グラナディラ)※1や熱帯に分布するローズウッド※2、日本国内の森林資源などを主な対象に、現地森林における有用良質材の育成や、雇用創出までを視野に入れた地域社会と連携した循環型の森林保全エコシステムなどを研究します。また、木材の物性変化メカニズムの解明や、すでに持続可能な利用体制が構築されている植林木材を用いた高機能木質材料の開発といった新規材料開発の研究にも取り組む予定です。


<京都大学 理事(産官学連携担当) 阿曽沼慎司のコメント>
本連携では、本学が生存圏研究所と農学研究科において長年蓄積してきた森林科学・木質科学分野での基礎的知見と、ヤマハ株式会社が培ってこられた楽器製造に関わる技術開発の知見をバックグラウンドといたしまして、持続的な森林資源の利用という地球的規模の課題に対して、産学連携の下で多様な視点から社会全体の利益に資する研究に取り組む予定となっております。将来的にはより広い分野での連携も視野に入れておりまして、大学と企業が対等な立場で切磋琢磨することによって、地球規模の課題に対する京都大学らしい新たな提案を行いたいと考えております。

 


<ヤマハ株式会社 常務執行役 川瀬忍のコメント>
楽器の音は極めて繊細で使用される木材で大きく変わります。特定の木材だからこそ実現できる音や質感が確かに存在します。「SDGs」にも「12:つくる責任・つかう責任」と「15:陸の豊かさも守ろう」という項目が含まれるように、「良い音」の背景にはつくる責任があり、そして森林資源の持続可能性に配慮することは国際社会の一員として当然の責務と言えます。今回の京都大学との協定の実現はこうした責務を果たす上でたいへん心強いものです。ヤマハと京都大学の持つリソースや知見を最大限に相互活用し、その研究成果を社会に還元できるようしっかりと取り組んでまいります。



<ご参考:持続可能な森林資源の実現に向けたヤマハグループの取り組み>
ヤマハグループでは、「ヤマハグループ木材調達方針」を定め「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」でも木材資源の伐採および取引に際して調達先に順守を要請する事項を明確にし、違法伐採された木材の調達を防ぐための厳格なリスク評価を行っています。また、森林や生態系を損なうことのないよう適正に管理された認証木材や、計画的に植林された産業用途の木材を積極的に導入し、地域コミュニティーの発展にも配慮した社会・経済面でも持続可能な森林から産出されるFSC※3などの認証木材の利用拡大を進めています。

特に「タンザニア森林保全プロジェクト」では、JICAの支援も得て、地域住民や現地NGOと協力して循環型の森林保全モデルの構築に取り組んでいます。効率的な森林育成と生産を支援し、流通までをサポートすることで乱伐を防ぎ、安定的な森林保全エコシステムを地域社会に構築することで雇用創出をはじめとした生活向上の実現までを狙いとしています。

「タンザニア森林保全プロジェクト」の様子

現地での生態調査の様子現地での生態調査の様子

アフリカン・ブラックウッドの苗アフリカン・ブラックウッドの苗

地域農村に設置した育苗施設地域農村に設置した育苗施設


1. ヤマハグループ 持続可能な資源の利用:
https://www.yamaha.com/ja/csr/environment/sustainable_resource_use/
2.持続的な木材調達の実現を目指す「タンザニア森林保全プロジェクト」(動画):
https://youtu.be/Edyrm6EPCeg



※1 アフリカン・ブラックウッド:東アフリカ地域のタンザニアやモザンビークを主な産地とするマメ科の樹木で、木製のクラリネット、オーボエのほぼすべてはこの樹木を材料としています。成長段階で形質が整い難い傾向にあり、製材時の歩留まりが約9%程度と低く、近年、その持続性が懸念されています。
※2 ローズウッド:東南アジア、中南米、アフリカに広く分布するマメ科樹木であるDalbergia 属の総称。ギターやマリンバなどに利用されているほか、高級家具などの用途がある一方、近年は世界的な資源量減少により、その持続性が懸念されています。
※3 FSC認証林:第三者機関による持続可能な森林経営のためのモニタリングが実施されることから、この認証を取得していることが森林経営の持続性を保証していると考えられます。




・ヤマハ サステナビリティサイト
https://www.yamaha.com/ja/csr/
・ヤマハ 企業情報サイト/ニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/



※その他の文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている製品情報や問い合わせ先などは、発表日現在の情報です。
 発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
 
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります。

メディア会員登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。
※内容はプレスリリースにより異なります。

  1. プレスリリース >
  2. ヤマハ株式会社 >
  3. ヤマハと京都大学が持続可能な森林資源の育成・利用に向けて包括的研究連携協定を締結