業績修正の上場企業、75.3%が「上方修正」へ
3月決算の上場企業802社が業績を修正
新型コロナウイルスの影響で多くの企業で業績が低迷しているものの、緊急融資や給付金などの支援策によって倒産は抑制され、2020年の倒産件数は20年ぶりの低水準となった。
また、そうした状況下で日経平均株価は2月15日に3万円を超えるなど、歪な様相を呈している。株価上昇の要因については、金融緩和などのほかに上場企業の上方修正が相次いだことも一要因とされているが、実態はどのようなものなのだろうか。
また、そうした状況下で日経平均株価は2月15日に3万円を超えるなど、歪な様相を呈している。株価上昇の要因については、金融緩和などのほかに上場企業の上方修正が相次いだことも一要因とされているが、実態はどのようなものなのだろうか。
帝国データバンクは、3月を決算月とする上場企業のなかから、これまで2021年3月期の業績修正を公表した企業をピックアップ(2021年2月28日現在)。2020年3月期の業績発表資料(決算短信)に記載された2021年3月期の年売上高(予想)とその後発表された業績修正資料(適時開示、決算短信)に記載された年売上高(修正予想)を比較(原則として連結決算の数値で比較)。年売上高が増加した場合は「上方修正」、減少した場合は「下方修正」としてカウント(複数回にわたり業績修正を発表している場合は最新の数値で比較)したほか、発表時期や市場別、業種別について調べた。本調査は今回が初めて。
<調査結果(要旨)>
上方修正が75.3%を占める、月別では394回の2月が最多
802社のなかに業績修正を複数回行った企業が183社あったため、802社が発表した業績修正は計978回となった。これを月別に見ると最も多かったのは「2021年2月」で394回。さらに同394回を上方修正または下方修正すると上方修正が313件(構成比79.4%)となった。
「製造業」が全体の48.5%を占める
上方修正(年売上高が増加)となった604社と下方修正(年売上高が減少)となった198社の年売上高の増減分布を8階層(上方・下方修正それぞれ4階層)に分けて見ると、最も多かったのは「5%未満の増加」(329社、構成比41.0%)で、以下、「5%~10%未満の増加」(168社、同20.9%)、「10%~20%未満の増加」(83社、同10.3%)と続き、年売上高が10%未満の増加となった企業が全体の62.0%(497社)を占めた。
2021年3月期決算(通期)の業績修正を発表した企業は802社となった。そのうち「上方修正」が604社、「下方修正」が198社となり、上方修正が下方修正の3.1倍となった。
上方修正か下方修正かを判断するための基準となる2020年3月期の業績が発表されたのは1回目の緊急事態宣言発令後であったこともあり、新型コロナの脅威を認識し、2021年3月期中においてその影響を受ける可能性が高いと判断した企業が多かった結果と言えよう。
また、2月に国内でのワクチン接種が開始されたことは2月の上方修正発表が月別で最多(313回)になったことに少なからず影響し、さらに313回となったことは株価3万円突破の一要因になったとも言えよう。 生活スタイルの変化によって苦戦を強いられている企業が増えた一方で、巣ごもり需要等の新たな需要を取り込んだ企業は着実に業績を伸ばしている。引き続き不確定要素の多い事象が続くことが予想されるなか、各社は2022年3月期の業績予想をどのように導き出すのだろうか。
<調査結果(要旨)>
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2021年3月期決算(通期)の業績修正を発表した上場企業は2021年2月28日までに802社。そのうち上方修正(年売上高増加)が604社、下方修正(年売上高減少)が198社
- 802社が業績修正を発表したのは計978回となり、月別では2021年2月(394回)が最多
- 市場別では「東証1部」(525社)、業種別では「製造業」(389社)が最多
上方修正が75.3%を占める、月別では394回の2月が最多
2021年2月末時点で2021年3月期決算(通期)の業績修正(年売上高の修正)を公表した上場企業は802社となり、そのうち604社(構成比75.3%)が「上方修正」(年売上高の増加)、198社(同24.7%)が「下方修正」(年売上高の減少)だった。
802社のなかに業績修正を複数回行った企業が183社あったため、802社が発表した業績修正は計978回となった。これを月別に見ると最も多かったのは「2021年2月」で394回。さらに同394回を上方修正または下方修正すると上方修正が313件(構成比79.4%)となった。
「製造業」が全体の48.5%を占める
市場別に社数をみると「東証1部」(525社、構成比65.5%)、「ジャスダック」(119社、同14.8%)、「東証2部」(98社、同12.2%)「東証マザーズ」(37社、同4.6%)の順となった。 また、業種別(大分類)にみると、最も多かったのは「製造業」(389社、構成比48.5%)で、「卸売業」(91社)、「サービス業」(81社)が続いた(「その他」を除く順)。上方修正の比率が高かったのは「製造業」(構成比79.9%)、「サービス業」(同74.1%)、「卸売業」(同73.6%)など(「その他」を除く)。
10%未満の増加が全体の62.0%を占める
上方修正(年売上高が増加)となった604社と下方修正(年売上高が減少)となった198社の年売上高の増減分布を8階層(上方・下方修正それぞれ4階層)に分けて見ると、最も多かったのは「5%未満の増加」(329社、構成比41.0%)で、以下、「5%~10%未満の増加」(168社、同20.9%)、「10%~20%未満の増加」(83社、同10.3%)と続き、年売上高が10%未満の増加となった企業が全体の62.0%(497社)を占めた。
引き続き不確定要素の多い事象が続くことが予想される
2021年3月期決算(通期)の業績修正を発表した企業は802社となった。そのうち「上方修正」が604社、「下方修正」が198社となり、上方修正が下方修正の3.1倍となった。
上方修正か下方修正かを判断するための基準となる2020年3月期の業績が発表されたのは1回目の緊急事態宣言発令後であったこともあり、新型コロナの脅威を認識し、2021年3月期中においてその影響を受ける可能性が高いと判断した企業が多かった結果と言えよう。
また、2月に国内でのワクチン接種が開始されたことは2月の上方修正発表が月別で最多(313回)になったことに少なからず影響し、さらに313回となったことは株価3万円突破の一要因になったとも言えよう。 生活スタイルの変化によって苦戦を強いられている企業が増えた一方で、巣ごもり需要等の新たな需要を取り込んだ企業は着実に業績を伸ばしている。引き続き不確定要素の多い事象が続くことが予想されるなか、各社は2022年3月期の業績予想をどのように導き出すのだろうか。
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