第四次産業革命における世界の経営者の意識調査(2020年版)
● 世界の経営者は第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向に
● 日本企業は社会課題を事業機会と捉える戦略視点が弱く、依然リスク・CSR 対応の観点が主流
● 今後を見据え、目的・分野毎の短期戦略から長期的な統合戦略への経営戦略の転換が急務
● 日本企業は社会課題を事業機会と捉える戦略視点が弱く、依然リスク・CSR 対応の観点が主流
● 今後を見据え、目的・分野毎の短期戦略から長期的な統合戦略への経営戦略の転換が急務
デロイト トーマツ グループ(本社:東京都千代田区 CEO:永田高士 以下、デロイト トーマツ)は、デロイトが実施した世界の経営者の第四次産業革命における意識調査に関して、日本の経営者の回答結果について発表します。本調査は第四次産業革命期における経営者の意識を戦略・人材・技術・社会の領域に渡って示すことを目的としており、今回で3回目となります。
【世界の経営者は第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向に】
第四次産業革命への投資から望む成果について上位5つの回答を集計したところ、「収益拡大」、「生産性・効率性向上」「顧客との関係強化」「社内/業務コスト削減」「リスク管理向上」といった項目を挙げた経営者の割合が高く、特に日本の経営者は、これらの項目について高い期待を抱いていることが示されました。世界全体では、約6割の経営者の回答が「ポジティブな社会影響力増大」に集まっており、第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向が高まっていることが示唆されましたが、日本では同項目に回答した経営者は約4割にとどまりました。
(図表1)第四次産業革命への投資から望む成果 (上位5つの割合)
【日本企業は社会課題を事業機会と捉える戦略視点が弱く、依然リスク・CSR対応の観点が主流】
自社が最も注力する、または対応している社会課題として「気候変動・環境持続性」(日本:84%、世界:54%)、「資源不足」(日本82%、世界:61%)が上位となりました(参照:図表2)。また、社会課題解決の取組みに注力する理由として、世界の経営者は「収益創出」(42%)を最も多く挙げる一方で、日本は1%と低く、社会課題を収益創出の事業機会と捉える戦略視点の弱さが浮き彫りになりました(参照:図表3)。
(図表2) 最も注力・対応している社会課題(当てはまるもの全てを選択)
(図表3) 社会課題解決の取組みに注力する理由 (上位2つを選択)
社会課題解決の取組みに注力する理由に関しては、世界全体では、自社の収益創出を筆頭に、外部ステークホルダーや従業員等への対応、規制順守、企業としてのレピュテーションの向上、事業戦略・文化の一部などの項目が挙げられました。世界の経営者が社会課題解決を経営戦略の一環として取り組みながら、様々な関係者を対象に推進していることが示されました。
日本の経営者は、社会課題解決への取組みの理由として「外部ステークホルダーの優先事項」、「従業員との関係強化、新規採用」に回答が集中し、直接的な利害関係者からの要請や期待への対応に重きを置いていることが明らかになりました。また、世界平均に比べて、社会課題解決の取組みをまだ実施していないことも示されました。一方、日本の経営者が最も注力・対応していると答えた気候変動に関する質問項目では、「自社業務に負の影響を及ぼす」(99%)、現世代の責任として「気候変動に対処する」(82%)と、高い回答を示しており(図表4)、こうした結果から、日本企業は気候変動に代表される社会課題解決を、リスクマネジメントやCSR(企業の社会的責任)への対応の観点でとらえる傾向が依然強く示されました。
(図表4)気候変動に関する認識
第四次産業革命によってもたらされる機会を積極的に活用する準備について、「大変自信があると」回答した世界の経営者は34%と昨年同様であり、横ばいとなりました。日本の経営者については一昨年の3%から昨年は38%へと大きく上昇しましたが、今回は26%と減少に転じました。また、第四次産業革命に関する戦略策定状況について尋ねたところ、日本の経営者の回答は「必要に応じた特定分野・目的ごとの戦略がある」と「正式な戦略はない」で占められ、ビジネス全体を視野に入れたより包括的・統合的な戦略策定への注力傾向を増しつつある世界全体の動きとの差が表れる結果になりました(参照:図表5)。
(図表5)第四次産業革命に関する戦略策定状況(1つ選択)
デロイト トーマツ グループの戦略コンサルティング部門であるモニター デロイトのジャパンプラクティス リーダー藤井剛は、今回の調査結果について次のようにコメントしています。
「テクノロジーの発達と、気候変動や格差などに由来する社会の急激な変動の下、市場は2030年に向けて『産業革命』とも呼べる変革の時期に突入していますが、今回の調査は、グローバルに比して日本のビジネスリーダーのマインドセットが十分に切り替えられていない実態を浮き彫りにしました。勃興しつつある新たな資本主義において、競争優位を構築し市場で勝利するために、経営者は、ビジネスの競争軸・成果のモノサシ・経営サイクルを変革する『経営革命』にも勇気を持って立ち向かう必要があります。」
【調査概要】
本調査はKS&R Inc.の協力の下、2019年7月から9月に実施され、アメリカ、アジア、ヨーロッパの19カ国において大手企業経営者(CEO、社長、CFO等の上級役員クラス)2,029名から回答を得た。うち日本からの回答は146名。回答者は全て、年間売上高5億米ドル以上の企業経営者であり、うち年間売上高50 億米ドル以上の企業が52%を占めた。
*図表は四捨五入により合計が100%にならない場合があります。
*日本の詳細な調査データは当社HPから御覧いただけます。
【世界の経営者は第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向に】
第四次産業革命への投資から望む成果について上位5つの回答を集計したところ、「収益拡大」、「生産性・効率性向上」「顧客との関係強化」「社内/業務コスト削減」「リスク管理向上」といった項目を挙げた経営者の割合が高く、特に日本の経営者は、これらの項目について高い期待を抱いていることが示されました。世界全体では、約6割の経営者の回答が「ポジティブな社会影響力増大」に集まっており、第四次産業革命を通じて経済価値と社会価値の創出を同時に追求する傾向が高まっていることが示唆されましたが、日本では同項目に回答した経営者は約4割にとどまりました。
(図表1)第四次産業革命への投資から望む成果 (上位5つの割合)
【日本企業は社会課題を事業機会と捉える戦略視点が弱く、依然リスク・CSR対応の観点が主流】
自社が最も注力する、または対応している社会課題として「気候変動・環境持続性」(日本:84%、世界:54%)、「資源不足」(日本82%、世界:61%)が上位となりました(参照:図表2)。また、社会課題解決の取組みに注力する理由として、世界の経営者は「収益創出」(42%)を最も多く挙げる一方で、日本は1%と低く、社会課題を収益創出の事業機会と捉える戦略視点の弱さが浮き彫りになりました(参照:図表3)。
(図表2) 最も注力・対応している社会課題(当てはまるもの全てを選択)
(図表3) 社会課題解決の取組みに注力する理由 (上位2つを選択)
社会課題解決の取組みに注力する理由に関しては、世界全体では、自社の収益創出を筆頭に、外部ステークホルダーや従業員等への対応、規制順守、企業としてのレピュテーションの向上、事業戦略・文化の一部などの項目が挙げられました。世界の経営者が社会課題解決を経営戦略の一環として取り組みながら、様々な関係者を対象に推進していることが示されました。
日本の経営者は、社会課題解決への取組みの理由として「外部ステークホルダーの優先事項」、「従業員との関係強化、新規採用」に回答が集中し、直接的な利害関係者からの要請や期待への対応に重きを置いていることが明らかになりました。また、世界平均に比べて、社会課題解決の取組みをまだ実施していないことも示されました。一方、日本の経営者が最も注力・対応していると答えた気候変動に関する質問項目では、「自社業務に負の影響を及ぼす」(99%)、現世代の責任として「気候変動に対処する」(82%)と、高い回答を示しており(図表4)、こうした結果から、日本企業は気候変動に代表される社会課題解決を、リスクマネジメントやCSR(企業の社会的責任)への対応の観点でとらえる傾向が依然強く示されました。
(図表4)気候変動に関する認識
【今後を見据え、目的・分野毎の短期戦略から長期的な統合戦略への経営戦略の転換が急務】
第四次産業革命によってもたらされる機会を積極的に活用する準備について、「大変自信があると」回答した世界の経営者は34%と昨年同様であり、横ばいとなりました。日本の経営者については一昨年の3%から昨年は38%へと大きく上昇しましたが、今回は26%と減少に転じました。また、第四次産業革命に関する戦略策定状況について尋ねたところ、日本の経営者の回答は「必要に応じた特定分野・目的ごとの戦略がある」と「正式な戦略はない」で占められ、ビジネス全体を視野に入れたより包括的・統合的な戦略策定への注力傾向を増しつつある世界全体の動きとの差が表れる結果になりました(参照:図表5)。
(図表5)第四次産業革命に関する戦略策定状況(1つ選択)
デロイト トーマツ グループの戦略コンサルティング部門であるモニター デロイトのジャパンプラクティス リーダー藤井剛は、今回の調査結果について次のようにコメントしています。
「テクノロジーの発達と、気候変動や格差などに由来する社会の急激な変動の下、市場は2030年に向けて『産業革命』とも呼べる変革の時期に突入していますが、今回の調査は、グローバルに比して日本のビジネスリーダーのマインドセットが十分に切り替えられていない実態を浮き彫りにしました。勃興しつつある新たな資本主義において、競争優位を構築し市場で勝利するために、経営者は、ビジネスの競争軸・成果のモノサシ・経営サイクルを変革する『経営革命』にも勇気を持って立ち向かう必要があります。」
【調査概要】
本調査はKS&R Inc.の協力の下、2019年7月から9月に実施され、アメリカ、アジア、ヨーロッパの19カ国において大手企業経営者(CEO、社長、CFO等の上級役員クラス)2,029名から回答を得た。うち日本からの回答は146名。回答者は全て、年間売上高5億米ドル以上の企業経営者であり、うち年間売上高50 億米ドル以上の企業が52%を占めた。
*図表は四捨五入により合計が100%にならない場合があります。
*日本の詳細な調査データは当社HPから御覧いただけます。
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