ローヤルゼリーの新しいメカニズム 肌本来のバリア機能や保湿力を高める
株式会社山田養蜂場(所在地:岡山県苫田郡鏡野町、代表:山田英生、以下「山田養蜂場」)の自社研究機関である、山田養蜂場 健康科学研究所(所在地:同上)及び山田養蜂場グループ 美容科学研究所(所在地:東京都品川区)は、ローヤルゼリー(以下、RJ)の肌への作用を網羅的遺伝子解析によって評価し、見出されたバリア機能や保湿作用に関する遺伝子の発現についてメカニズムを探索しました。その結果、一連の研究により、RJが肌本来のバリア機能や保湿作用を高める可能性が示されました。本研究成果は、日本農芸化学会 2025年度大会(2025年3月開催)にて、発表いたしました。
【研究背景】
女王蜂の生命力の源であるRJは、ミツバチが分泌する天然物で、三大栄養素や必須アミノ酸、特長成分の「デセン酸(10-ヒドロキシ-2-デセン酸)」等40種類以上の栄養素が含まれ、古くから健康素材として用いられています。また、RJは、角層⽔分量を向上させることや、有害物質から肌を守る抗酸化遺伝子を活性化する報告などがあり、化粧品原料にも活用されています。
これらのさまざまな肌への有用性を示すことが明らかになっているRJは、例えば、表皮角化細胞において、抗酸化・細胞保護作用に関わるNQO1の遺伝子発現を促進する1)ことが確認されており、ヒト試験では塗布2)または飲用3)によって、保湿作用を示すことが報告されています。また、最近では、RJが表皮幹細胞4)や間葉系幹細胞5)を活性化することも確認されています。
一方で、RJが肌に与える作用については未解明な点も多いため、本研究では網羅的遺伝子解析を実施し、RJによって発現が促進された遺伝子から、RJが細胞内のどのようなメカニズムに関わっているかを探索しました。
【研究結果の概要図】

1) Int J Mol Sci. 2021 Nov 30;22(23):12973., 2) J Cosmet Dermatol. 2022 Nov;21(11):5747-5754.
3) Jpn Pharmacol Ther. 2020;48(1):79-88., 4) Biological and Pharmaceutical Bulletin. 2024;47(12):2041-2049.
5) Hindawi Dermatologic Therapy. 2023;2023:7950026
【研究結果の詳細】
<結果1>
表皮角化細胞にRJを添加し、網羅的に遺伝子発現解析をしたところ、PLIN2 (Perilipin 2)※1 、AQP3 (Aquaporin 3)※2 といった、バリア機能や保湿作用に関わる遺伝子の発現増加が見られた。同様に、RJを皮膚モデルに添加した際も、PLIN2、AQP3のタンパク質の発現増加が観察された。
<結果2>
PLIN2、AQP3は、核受容体の一種であるPPAR (Peroxisome Proliferator-Activated Receptor)※3の下流で発現する遺伝子であることが知られている。3種存在するPPARのうちPPARβ/δのノックダウン※4によって、RJによるPLIN2、AQP3の発現上昇が抑制されることが分かった。つまり、ローヤルゼリー添加によるPLIN2、AQP3の発現上昇は、PPARβ/δを介していることが分かった。
<結果3>
次に、RJ添加によるPLIN2、AQP3の発現上昇のメカニズムとして、PPARβ/δと関わりが報告されている脂肪酸輸送に着目した。表皮の細胞膜上に発現する脂肪酸取り込みに関わるタンパク質の遺伝子 (FATPs:Fatty acid transport proteins) のノックダウンでは、RJ添加によるPLIN2、AQP3の発現上昇は抑制されなかったが、表皮の細胞内に存在し、脂肪酸輸送に関わるタンパク質 (FABP5:Fatty acid-binding protein 5) の阻害剤を添加したところ、PLIN2、AQP3の発現上昇が抑制された。つまり、RJが脂肪酸輸送経路を介して、PLIN2、AQP3の発現を上昇させる可能性が示された。
<上記の結果1~3を「印刷から製品ができるまで」に例えると>
①RJがRJコピー機のスイッチ (FABP5) をONにする。(結果3)
②ONになったコピー機 (PPARβ/δ) がすべての工程が書かれた設計図 (遺伝情報) から、必要な図面 (遺伝子) を印刷する。(結果2)
③図面 (遺伝子:PLIN2、AQP3) が印刷され、図面から製品 (タンパク質) が作られる。(結果1)

※1 皮膚において、バリア機能を維持するのに重要な脂質の合成に関わるタンパク質
※2 表皮で水分やグリセリンを運び、保湿に重要な役割を果たすタンパク質
※3 表皮に存在し、活性化されるとバリア機能に関わる遺伝子を発現させる ※4 特定の遺伝子の発現を抑制させる技術
【結果のまとめ】
これらのことから、RJはバリア機能・保湿作用に重要なPLIN2、AQP3遺伝子の発現を促し、肌本来のバリア機能や水分保持機能の向上に寄与することが明らかになりました。また、その経路にはPPARβ/δや、細胞内の脂肪酸輸送が関わっていることが示されました。RJは、1つの素材でありながら多様なメカニズムで多様な有用性を示す稀有な素材であり、今回の研究では、そのメカニズムの一端が解明されました。
【これまでの研究結果の一例】

【今後について】
今回の研究では、ローヤルゼリーのバリア機能の維持や保湿作用のメカニズムについて探求し、ローヤルゼリーが肌本来のバリア機能や保湿力を高める可能性が示されました。ローヤルゼリーの成分については未解明な部分もある中で、「ローヤルゼリーを飲んでいる人は10~20歳若く見える」というお客さまの声や、「ローヤルゼリーを日常的に扱う養蜂家の手は美しい」と伝承されてきたことなど、実感として得られている肌への効果を科学的に解明することで、今後も若々しい肌づくりに役立つ素材及び商品の開発につなげてまいります。
山田養蜂場および山田養蜂場グループ 美容科学研究所は、ローヤルゼリーをはじめ、プロポリスやミツバチ由来乳酸菌、はちみつなどのミツバチ産品に関する有用性研究や素材開発を通し、社会に貢献してまいります。
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