【8/7 開催レポート】官・民・ユースが共に創る新たなグローバルヘルス「Policy Pitch」 ※TICAD 9パートナー事業に認定
三大感染症対策、薬剤耐性(AMR)対策などについて、若者が政策提言。塩野義製薬株式会社、エーザイ株式会社、与野党の国会議員、省庁関係者、国際保健分野の有識者が参加

株式会社PoliPoli(所在地:東京都千代田区、代表取締役:伊藤和真)は、2025年8月7日(木)に、第6回政策提言イベント「Policy Pitch」を開催しました。
今回は「官・民・ユースが共に作る新たなグローバルヘルス」をテーマに、5団体の若者による政策提言が行われたほか、グローバルヘルス分野の第一線で活躍する国会議員、省庁、企業、有識者の皆様との活発な議論が行われました。
「グローバルヘルス」とは、国際的な視点から人類の健康、感染症予防、医療アクセス向上など幅広い課題に対処する取り組みです。本イベントは、日本の国際保健外交にとって重要な意味を持つ2025年、特にTICAD9の開催やUHCナレッジハブの創設を控えるタイミングで開催されました。なお、本イベントはTICAD 9パートナー事業に認定されました。
イベント「Policy Pitch(ポリシーピッチ)」概要
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日時: 2025年8月7日(木)
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場所: 東京都千代田区永田町
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定員:80名
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主催: 株式会社PoliPoli
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後援: Gates Foundation, Open Philanthropy
参加者(敬称略)
「Reach Out Project」メンバー 5団体
国会議員(五十音順):
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逢沢一郎 衆議院議員(自由民主党)
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加藤勝信 衆議院議員(自由民主党)
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岸田文雄 衆議院議員(自由民主党)※ビデオメッセージ
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源馬謙太郎 衆議院議員(立憲民主党)
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高木真理 参議院議員(立憲民主党)
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宮路拓馬 衆議院議員(自由民主党)
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山際大志郎 衆議院議員(自由民主党)
省庁:
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内閣官房 健康・医療戦略室
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外務省 国際協力局 国際保健戦略官室
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厚生労働省 大臣官房 国際課
企業:
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澤田拓子(塩野義製薬株式会社 副会長)
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南田泰子(エーザイ株式会社 サステナビリティ部部長)
有識者:
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伊藤聡子(日本国際交流センター 執行理事、グローバルファンド日本委員会 事務局長)
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柏倉美保子(Gates Foundation 日本常駐代表)
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國井修(公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund) CEO・専務理事)
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小山有沙(Gates Foundation 日本統括)
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古屋範子(元衆議院議員、公明党顧問)
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野村周平(慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート 特任教授)
ほか、メディア関係者、一般参加者の方にご参加いただきました。
当日の様子
加藤勝信議員より来賓挨拶(一部抜粋)

本日は、「Policy Pitch」をともに作ってきた仲間の一人として参加しています。このイベントには、国際公衆衛生や保健分野に高い関心と志を持った多くの皆様が、具体的な、そして創造的な提言をしてくださっており、大変楽しみにしています。
本年は、横浜でのTICAD 9の開催や、UHCナレッジハブの創設、グローバルファンドの増資会合が予定されているなど、グローバルヘルスにとって重要な年となります。
UHCは、財政面での取り組みとともに、前へ進めていかなければなりません。公的な資金を“種”にして、民間の投資を呼び込み、日本の企業にも活躍してもらう流れを作っていくことが重要です。それがまさに、この「Policy Pitch」の目的であり、提言してくださる皆さんの役割です。
民間の皆様の様々な力、資金的、知的な力を結集し、UHCの達成を実現していかなければなりません。このことをやり遂げる情熱と、これから先を見た新しいアイデアに心から期待を寄せています。皆さんの提言が一つひとつ実現に向かって進むよう、我々政治の側も皆さんと一緒に頑張ることをお約束します。
岸田文雄議員よりビデオメッセージ

メッセージ中、総理在任中にUHC実現を日本の国際保健外交の柱として強く推進したことに触れ、2023年G7広島サミットでの国際的コミットメントを再確認したことを紹介されました。今年は「グローバルヘルスイヤー」と呼ぶべき重要な年であり、TICAD9やUHCナレッジハブの設置を機に、政府、国際機関、民間が連携して課題解決に取り組むべきだと強調。さらに、国際情勢の不安定さや財政制約を踏まえると、UHC達成には官民の連携が不可欠であり、若い世代からの力強い提言に期待を寄せました。
Reach Out Projectメンバーによる政策提言手交

メンバーを代表し、一般社団法人Health for all.jpの茶山さん、一般社団法人Reaching Zero-Dose Childrenの片桐さんが政策提言の概要を発表しました。
【提言の背景】
コロナ禍以降、国際協力の重要性は理解された一方で、世界的に自国優先主義が顕著となり、国境を超えた支援や国際機関への出資が抑制される傾向にあることに強い危機感を表明。国際保健分野への出資が減れば、これまで撲滅・抑制に向かっていた感染症が再び蔓延するリスクが高まり、多くの人々の命が失われる可能性があると訴えました。
【提言の要旨】
グローバルファンドやGaviへの資金援助を維持・継続すること。
薬剤耐性(AMR)対策において日本がリーダーシップを発揮すること。
非感染性疾患(NCDs)対策においても、プライマリーヘルスケアの推進を日本が牽引すること。

オープニングセッション

テーマ:国際公共調達を通じたグローバルヘルス貢献と政策への示唆
スピーカー/パネリスト:
澤田拓子(塩野義製薬株式会社 副会長)
パネリスト:
逢沢一郎(自由民主党 衆議院議員、グローバルファンド日本委員会議員タスクフォース 共同議長)
伊藤聡子(日本国際交流センター 執行理事、グローバルファンド日本委員会 事務局長)
モデレーター:
伊藤和真(株式会社PoliPoli 代表取締役CEO)

塩野義製薬の澤田氏より、「国際公共調達を通じたグローバルヘルス貢献と政策への示唆」をテーマにお話していただきました。ビジネスとしては成立しにくい感染症領域に、同社が長年注力してきたこれまでの経緯、特に、HIV治療薬やAMR治療薬における「ボランタリーライセンス」制度を通じて、低中所得国へ低価格で医薬品を提供する取り組みを紹介しました。また、ボランタリーライセンスは、今後AMR対策においても重要性を増すと述べ、日本政府のさらなる支援を求めました。
続くパネルディスカッションでは、逢沢議員がグローバルファンドの設立背景と役割を説明し、長年の日本の貢献に触れつつ、アメリカをはじめとする各国が安全保障分野へ予算をシフトする中でのグローバルヘルスへの財源確保の難しさについて言及。
日本国際交流センターの伊藤聡子氏は、グローバルファンドは進化する組織であり、時代のニーズに合わせてその役割を変えていく。お金を出すだけでなく、口も出す(政策提言を行う)、人も出す(人材を育成する)という形で、日本が主体的に関わり続けるべきだと主張しました。
企業セッション

テーマ:創薬からアクセスへ:グローバルヘルスにおける製薬企業の役割と官民連携の可能性
スピーカー/パネリスト:
南田泰子(エーザイ株式会社 サステナビリティ部部長)
パネリスト:
國井修(公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund) CEO・専務理事)
モデレーター:
中井澤卓哉(株式会社PoliPoli 執行役員)

エーザイの南田氏に、企業理念である「ヒューマンヘルスケア」に基づき、リンパ系フィラリア症やマイセトーマといった顧みられない熱帯病(NTDs)への取り組みについてお話していただきました。
これらの活動は単なる寄付ではなく、長期的な視点での企業価値創造に繋がっていると説明しました。特に、日本の強みである創薬力を活かすためには、官民パートナーシップであるGHIT Fundへの政府からの継続的な拠出が不可欠であると訴えました。
國井氏は、GHIT Fundが官民連携の資金により、日本初のグローバルヘルス分野のイノベーションを支えてきた役割を強調。連携においては、それぞれの役割を明確にしながら、最終的に「薬が現場に届く」という共通のゴールを目指すことが重要であると述べました。
ユースによる政策提言とディスカッション
「Reach Out Project」に参加する5つの団体が、日頃の活動と現場で感じている課題、そして政策提言を発表しました。

テーマ:次世代が考える、グローバルヘルス政策の可能性
スピーカー:
片桐碧海(一般社団法人Reaching Zero-Dose Children 代表)
マラリアに立ち向かう日本の可能性 - Global Fund第8次増資とGavi 6.0の連携強化

辰已昌嵩(広島大学大学院博士後期課程)
非感染性疾患(NCDs)予防に対する戦略的投資:地域主導型の生活習慣改善支援体制強化の提言

田中良樹(薬と社会健康科学研究所IPhaS 研究員)
アジアにおける薬剤耐性HIV・結核プログラムの強化ー薬局をファーストアクセスポイントとした2030年目標に向けた勝負ー

茶山美鈴(一般社団法人Health for All.jp)
三大感染症の継続的で効果的な治療法の確立を目指して

山田達也(株式会社GramEye 取締役)
薬剤耐性菌問題に対する、成果連動型インセンティブ設計に関する政策提言

コメンテーター:
野村周平(慶應義塾大学 グローバルリサーチインスティテュート 特任教授)
モデレーター:
遠藤恵子(株式会社PoliPoli)

各提言に対し、外務副大臣を務める宮路拓馬 衆議院議員(自由民主党)、山際大志郎 衆議院議員(自由民主党)、源馬謙太郎 衆議院議員(立憲民主党)、高木真理 参議院議員(立憲民主党)から、若者の斬新なアイデアと、提言を政策に落とし込むことの重要性についてフィードバックが寄せられました。また、限られた時間内で要点を簡潔に伝えるプレゼンテーションの重要性についても指摘があり、提言を実効的に届けるうえでの実務的な視点が強調されました。
慶應義塾大学の野村特任教授からは、各提言の専門性・論理性を高く評価するコメントがあり、特に、持続可能性を意識した財源確保のアイデアが、国際的な議論において非常に重要であるとフィードバックをいただきました。
これを受け5つのチームでは、さらに実現可能性のある提言へとブラッシュアップしていく予定です。
『Reach Out Project(リーチ アウト プロジェクト)』とは

2022年12月に開始した「Reach Out Project」は、グローバルヘルス分野のアドボカシーに関心を持つ10代から30代の若者の育成とコミュニティ運営に取り組んでおり、これまで延べ約80名が参加しています。現在は第3期を迎え、HIV/エイズ、マラリア、母子保健、顧みられない熱帯病(NTDs)、薬剤耐性(AMR)といった課題に取り組むメンバーやチームが活動しています。グローバルネットワークやグローバルヘルスの専門的な知見を有するさまざまな団体のご協力をいただき、ルールメイキング、PR、ファイナンスなどについてインプットの機会をつくっております。
現代社会は多様化・複雑化し、グローバル化も進む中で、行政や一部の有識者のみでは、山積する社会課題の全てに対応することが難しくなっています。このような状況において、特にグローバルヘルス分野に取り組むNPO・NGOやスタートアップなど、日本国内では十分な注目を集めることが難しい領域に焦点を当て、支援していくことの重要性が高まっていると考えています。
2025年にはアフリカ開発会議(TICAD9)の開催やUHCナレッジハブの設立が予定されており、日本がグローバルヘルス分野で主導的な役割を果たす絶好の機会となります。私たちは、現場のデータや実践的な活動を基盤として、若者が政策提言を行える場や、多様な関係者との政策共創の機会を提供することにより、国内外の社会課題解決に貢献することを目指しています。
会社概要

株式会社PoliPoli(ポリポリ)
代表者:伊藤 和真
所在地:東京都千代田区
設立:2018年2月
企業理念:新しい政治・行政の仕組みをつくりつづけることで、世界中の人々の幸せな暮らしに貢献する。
コーポレートサイト:https://www.polipoli.work/
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