差別や偏見に音楽で立ち向かった26人のコロンビアの子どもたち 『I’m a HERO Program』のドキュメンタリーフィルムを公開
− 新しい楽器を手に「見えない壁」に挑んだ半年間のストーリー −
ヤマハ株式会社は、音楽を演奏する楽しさを知った子どもたちが、大きなチャレンジを経て、子どもたち自らの力で「見えない壁」に立ち向かうヒーローとなる『I’m a HERO Program』を、コロンビア共和国(以下、コロンビア)において3月31日から9月30日に渡って実施しました。
コロンビア・メデジン市で暮らす26名の子どもたちが努力を重ね、サッカースタジアムという憧れの舞台に立ち、大観衆が見守る中、見事にコロンビア国歌の演奏を成功させました。
この度、彼らの軌跡を描いたドキュンタリーフィルムを公開します。音楽に向き合う中で、子どもたちは自身の中に確かな変化を見出していきます。これは音楽とともに逆境を乗り越えていった小さなヒーローたちのストーリーです。
コロンビア・メデジン市で暮らす26名の子どもたちが努力を重ね、サッカースタジアムという憧れの舞台に立ち、大観衆が見守る中、見事にコロンビア国歌の演奏を成功させました。
この度、彼らの軌跡を描いたドキュンタリーフィルムを公開します。音楽に向き合う中で、子どもたちは自身の中に確かな変化を見出していきます。これは音楽とともに逆境を乗り越えていった小さなヒーローたちのストーリーです。
- 『I’m a HERO Program』公式サイト https://live.yamaha.com/im_a_hero/
トレーラー(2分33秒) https://youtu.be/0B7fRDVz7m0
本編(55分2秒)https://youtu.be/yGiVhFSKKnI
<『I'm a HERO Program』 ―楽器を持てば、ヒーローになる>
世界には、格差や貧困、そしてそれらから生まれる差別意識や偏見といった「見えない壁」が存在し、子どもたちの未来を狭めてしまっている現実があります。
こうした「見えない壁」に立ち向かう子どもたちが主役となるのが『I'm a HERO Program』です。音楽に関わることを自ら選択した子どもたちが、憧れの舞台での演奏という大きなチャレンジを通じて、自らの力で逆境に挑戦し乗り越えていく象徴「ヒーロー」となるまでを支援するプログラムです。
今回プログラムに参加したのは、コロンビア・メデジン市の未だ日常に混沌と犯罪が存在するスラム地域に暮らす7歳~13歳までの男女26名の子どもたちです。※1。
※1: 詳細は後述の「コロンビアを舞台に選んだ理由―中南米と社会音楽活動」を参照。
楽器未経験の子どもたちやリコーダーしか演奏経験がない彼らに、これまで手にしたことのない管楽器「Venova」が手渡されるところからプログラムは始まりました。「Venova」は、リコーダーのような指使いで演奏できる親しみやすさを持つ一方で、本格的な吹奏感を持つリード楽器であり、子どもたちはその演奏技術の習得とコロンビア国歌の練習に熱心に取り組みました。
約半年に渡った練習は、スラム街で暮らす彼らにとって容易なものではなく、練習を毎日行うことやリハーサルのために市内へ移動することさえ物理的な障壁や大きな苦労が伴いました。しかし、子どもたちをはじめ、その家族が互いを優しく、時には厳しさをもって支え合い続け、彼らはヒーローとなる舞台へ上がりました。
そして、9月30日(日)コロンビア国内一部リーグの一節。スタジアムのスクリーンに彼らの歩みを紹介するフィルムが映し出されたあと、26名のヒーローの名前が一人ずつアナウンスされ、子どもたちはサッカークラブ「アトレティコ・ナシオナル」の選手とともにフィールドへと入場し、大観衆の前へ歩を進めました。
同国でサッカーは極めて高い人気を誇ります。特に「アトレティコ・ナシオナル」は、過去に16度の国内リーグ優勝経験を持つメデジン市を本拠地とする強豪サッカークラブで、子どもたちにとって選手は憧れの存在です。
演奏を終えた彼らは誇らしく前を見据えていました。子どもたちの努力が「見えない壁」を超え、彼らが「ヒーロー」の象徴になった瞬間となりました。
当社は引き続き、音楽の持つ力を信じ、さまざまな形でこうした社会課題と向き合い、その解決を図っていきたいと考えています。
<関係者コメント>
Luidison Morales Borja(ルイディソン モラレス ボルハ)(プログラムに参加した13歳の少年、愛称パッチョ)のコメント
プログラムに参加したことで自分がいかに悪いところにいたか分かった。それからは悪いところには行かずに家で「Venova」を練習するようにした。聴く音楽も自分で選べるようになった。悪いことを歌わずにメッセージを伝えている音楽が好きだ。ヒーローといえばフィクションのようなスーパーマンを想像するかもしれないけど、人のために戦ったり何かしたりする人だと思う。
Ruth Biviana Morales Borja(ルス ビビアーナ モラレス ボルハ)(パッチョの母親)のコメント
これまでパッチョは悪い子でした。今回のプログラムを始めたことで音楽に集中するようになり、音楽はパッチョに変化をもたらしてくれました。母親の手伝いだけでなく近所の人たちの手助けもする協力的な子どもになりました。音楽は何かを変えるチャンスや機会になるものだと思います。
駐コロンビア日本国特命全権大使 森下敬一郎のコメント
コロンビア国歌を演奏する子どもたちの姿に感銘を受けました。彼らは特別な力を持った人ではありません。しかし、他人のために何かができる彼らはまさしくヒーローです。彼らがこの経験を通じて新たな挑戦へと立ち向かい、将来自分の夢を追い続けていってくれることを期待しています。また、コロンビアと日本の修好110周年を迎える佳節の年に、このような素晴らしいイベントの準備に尽力されたすべての関係者の方々に感謝の意を表します。
コロンビア メデジン市 市長 Federico Gutierrez Zuluaga(フェデリコ グティエレス ズワアガ)のコメント
プロジェクトに参加した子どもたちはまさに街の象徴です。彼らの大志はもっと多くの人の役に立っていくでしょう。そしてこの機会をつくってくれた関係者の人々もヒーローです。とても感謝しています。メデジンで最も価値があるものは、山々や花などの景色だけでなく、人やその才能です。人々は常に前進をしています。この街にはもう希望があります。まだ貧困もたくさんありますが、いつも将来は良くなるという希望があるのです。彼らがそのシンボルとなり影響を広げていってくれることを願います。
<コロンビアを舞台に選んだ理由―中南米と社会音楽活動>
今回の舞台となったコロンビアが位置する中南米では、貧困撲滅や非行防止など、社会課題を音楽の力で解決するさまざまな活動が進められており、当社もその支援や活動に携わってきました。
ベネズエラでは「エル・システマ」と呼ばれる音楽教育プロジェクトが政府によって推進されています。非行防止・貧困撲滅のために国策として行われており、子どもたちの音楽活動のみならず、将来の働き口も確保することで社会全体の安定化を図るシステムです。当社もこれに賛同し、楽器メンテナンス方法の普及や、修理技術者育成を通じて15年に渡って協力を続けてきました。
また、コロンビアでは、メデジン市を拠点とする「Red de Escuelas de Musica de Medellin」やボゴタ市の「Fundacion Nacional Batuta」など、青少年オーケストラ・バンド団体が発足しています。さらには中南米におけるヤマハの主要パートナーによる財団「Fundacion Incolmotos Yamaha」が運営する「ToKANDO」という奨学プログラムが生まれています。今回のプログラムでは、「ToKANDO」の参加者を中心に、メデジン市のスラム地域に住む26名の子どもたちが参加しました。
中南米での支援や活動を進める中で、新たな課題も見えてきました。楽器メンテナンスの必要性や方法が認識されておらず、壊れた楽器を修理出来る人が周りにいない団体が多いことが明らかになりました。そこで当社は2014年から「AMIGO Project」を開始し、現地の人々が自分の力で楽器をメンテナンスできるようにワークショップの開催や、壊れた楽器を修理出来る技術者の育成を推進しています。
<『I’m a HERO Program』実施概要>
対象国:
コロンビア共和国
対象者:
現地奨学プログラム「ToKANDO」に参加者を中心とした7歳~13歳までの男女26名
実施内容:
管楽器「Venova」の提供、各組織での練習サポート、発表舞台の提供
実施期間 ※2:
本番披露:9月30日(日) キックオフ 17:30(演奏はキックオフ前の国歌斉唱時)
練習期間:3月31日~9月29日
発表舞台:
コロンビア国内一部リーグ カテゴリア・プリメーラA 後期第12節
「アトレティコ・ナシオナル」対「ボヤカ・チコFC」戦
キックオフ前 国歌斉唱時
発表場所 ※3:
「Estadio Atanasio Girardo」(エスタディオ・アタナシオ・ヒラルド)
公式サイト:
https://live.yamaha.com/im_a_hero/
※2: いずれも現地時間。
※3: コロンビア メデジン市にある多目的スタジアム。
「Venova™」― 壊れにくくメンテナンスもしやすい新しい管楽器
より多くの方に管楽器を通じて音楽を楽しんで頂きたいという想いから開発された新しい管楽器です。サクソフォンは多くの部品と複雑な構造から成ります。しかし「Venova」では、円筒管を分岐させた「分岐管」構造や管の長さを縮める蛇行形状によって、コンパクトかつ最小限のキイを使用したシンプルな構造でサクソフォンに近い音色を奏でられるようになりました。軽量で壊れにくく水洗いもできるABS樹脂製で、どこにでも気軽に持って行くことができます。リコーダーのような指使いで演奏できる一方で、本格的な吹奏感を持ったリード楽器です
https://www.yamaha.com/venova/
『I’m a HERO Program』公式サイト
https://live.yamaha.com/im_a_hero/
ヤマハ 企業情報サイト/ニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/
*Venova(ヴェノーヴァ)は、ヤマハ株式会社の登録商標です。
*その他の文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている製品情報や問い合わせ先などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
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