リコマース総研、「アパレル消費とリコマース市場」に関する調査を実施

今年のサマーセールで「アパレルを購入した/する予定がある」と回答した人は約3割とセール離れの兆候か 情報リテラシーが高い人ほど「リユース・レンタル品活用率」「買い物への満足度」が高い結果に 

株式会社メルカリ

リコマース総合研究所( https://note.com/recommerce_labo 運営:メルカリ)は、18〜69歳の男女1,030名を対象に「アパレル消費とリコマース市場」に関する調査を実施しました。

3年ぶりの行動制限がない夏に加え、長引く物価高などセール品への需要が高まる環境下の一方で、消費者の高まるサステナビリティへの関心などから、アパレルの買い物体験における消費意識を紐解くために今回の調査を実施しました。


これまでの、「生産者が決めた値段で消費者が所有(購入)する」という選択肢だけではなく、アパレルを享受する手段としてはリコマース市場を代表するリユース、レンタル、サブスクリプションなどの選択肢があります。フリマアプリの浸透などによって消費者自身が値段を決めたり、レンタルやサブスクリプションの活用によって所有ではなく保有したりと変化する消費体験において、消費者はどのような買い物体験に満足度が高いのか。セール品、ファストファッション、リユース、レンタルについて調査し、世代別、情報リテラシー別に詳細を掘り下げました。


結果サマリー

1.アパレル購入におけるサマーセール利用動向

・今年のサマーセール、「利用した/利用予定がある」割合は29.9%

 42.0%が「利用しない/利用する予定はない」と回答

・サマーセールを「利用しない/利用する予定がない」理由TOP3は、1位「欲しいアパレルがないから」2位「既に夏物アパレルが沢山あるから」3位「買っても使う予定がないから」


~ 長引く物価高や3年ぶりの行動制限がない夏を迎えるなど、セールに対して追い風の環境にもかかわらず「利用した/利用予定がある」割合は3割未満。この10年で「服を買う時は、バーゲンやセールを利用することが多い」人の割合は53.2%から47.4%に減少しており(※1)昨今のセール離れの兆候が伺える ~


2.アパレル購入に対する意識
・セール品を購入した際の意識は「安く買えて満足した」が57.3%で最多

 一方、「デザインに満足した」「品質に満足した」の回答割合は2割未満


~ セールは価格への満足度が高いものの、品質やデザインに対する満足度が低い傾向 ~


・42.7%が「特定の決まったブランドで買うことが多い」と回答

 世代別では、Z世代が最多の56.3%


~ Z世代は“失敗しない消費”を求める傾向からか、特定のブランドから購入する傾向 ~


3.アパレルの購入体験別にみる満足度の差

・2,000円の買い物を、3つの異なるお買い物体験で比較検証を実施したところ、「1. ファストファッションで2,000円のTシャツを購入し、1シーズン着て捨てる」に満足と回答した人は19.3%

・「2. 6,000円のTシャツを購入して1シーズン着た後、フリマアプリで4,000円で売却し、実質2,000円でTシャツを購入したことになった」に満足と回答した人は40.8%。世代別ではZ世代が最多の61.2%

・「3. 定価6,000円のTシャツがリユース品で2,000円で買えた」に満足と回答した人が47.1%という結果に。世代別ではZ世代が最多の60.2%


~ 最終的に同等の出費(2,000円)でも、短期間で使い切るより「リセールバリューを考慮して買ったモノ」や「リユース品の購入」の満足度が高い傾向 ~


4.アパレル購入と情報リテラシー

・「情報リテラシーが高い」と回答した人は、そうではない人と比べて、「​​セール品やアウトレット品を主に買い、定価ではほぼ買わない」「リユース品やレンタル品を活用している」「自分はよい買い物をしていると感じることが多い」を回答する割合が高い。また、リセールバリューを意識した買い物への満足度が高い傾向も明らかに


~情報を収集・取捨選択することで、“定価で買う”以外にもリユース・レンタル品を活用するなど、”所有””利用”に多様な選択肢があることから、自らの買い物に対する満足度も高いことが伺える~

※1 博報堂生活総合研究所「生活定点 1992-2022」

https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/455.html


【調査概要】

調査時期:2023年07月11日~2023年07月12日

調査方法:インターネット調査

調査対象:全国、18〜69歳、男女1,030名

※グラフ内の数値は小数点第二位以下四捨五入


慶應義塾大学 商学部 教授 山本 晶氏

略歴

慶應義塾大学法学部政治学科卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。東京大学大学院、成蹊大学、慶應義塾大学大学院経営管理研究科を経て2023年より現職。主な著書に『キーパーソン・マーケティング: なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか』東洋経済新報社、『コア・テキストマーケティング』新世社など。 主に消費者間相互作用の研究に従事。日本マーケティング学会(常任理事)、日本マーケティング・サイエンス学会(研究委員、編集委員)、日本消費者行動研究学会、日本商業学会、INFORMS、ACRの各会員。


コメント

リユース、レンタル、サブスクなど、ファッションを楽しむ多様な手段が生まれ、普及しつつあります。そうした環境下で、サマーセールの位置づけは従来と同じなのか?消費者はどのようにアパレルを所有・使用しているのか?今回の調査はこうした問いにヒントを与えています。


調査の結果、サマーセールの利用者および利用予定者が3割でした。過去のセールに関する調査結果と比較しても、この数値は低い結果となっています。これまでアパレルは春夏・秋冬の半年を1サイクルとし、シーズンの終わりにセールを行って売り切ることを商習慣としてきました。昨今、アパレルを提供する企業側でこうした商習慣を見直す動きが始まっています。今回の調査結果は企業側だけでなく消費者側でもセール離れが起きている可能性を示唆しています。


従来、ファッションを楽しむ手段は、「新品」を「個別課金」で「購入」することが主流でした。個別課金とは一個の商品を購入するごとに料金を積算する方法です。現在は「新品」に加えて「中古品」が、そして「購入(所有)」に加えて「レンタル(利用)」が、また「都度課金」に加えて「定額課金(サブスク)」という選択肢があります。また、フリマアプリの普及に伴い、ファッションを楽しんだ後は売却することが生活の一部となりつつあります。


今回の調査ではこうした多様な選択肢の満足度を比較し、同じ出費額(今回の調査では2,000円)であっても、短期間で使い切るより「リセールバリューを考慮して買ったモノ」や「リユース品の購入」の満足度が高いことが明らかになりました。このような新しい選択肢を積極的に楽しんでいるのは、Z世代および世代に限らず情報リテラシーが高い回答者であるという傾向でした。


今回の調査結果は消費者、企業、社会全般にとって、サステナブルな選択肢が広がりつつあり、満足度が高いことを示唆しています。アパレルの大量生産、売れ残り品の大量値引き、最終的な廃棄という従来の方法は、いま踊り場に来ているのかもしれません。


1.アパレル購入におけるサマーセール利用動向

今年のサマーセール、「利用した/利用予定がある」割合は29.9%。42.0%が「利用しない/利用する予定はない」と回答。長引く物価高や3年ぶりの行動制限がない夏を迎えるなど、セールに対して追い風の環境にもかかわらず「利用した/利用予定がある」割合は3割未満。この10年で「服を買う時は、バーゲンやセールを利用することが多い」人の割合は53.2%から47.4%に減少しており(※1)昨今のセール離れの兆候が伺える。

サマーセールを「利用しない/利用する予定がない」理由TOP3は、1位「欲しいアパレルがないから」2位「既に夏物アパレルが沢山あるから」3位「買っても使う予定がないから」。

2.アパレル購入に対する意識

セール品を購入した際の意識は「安く買えて満足した」が57.3%で最多である一方、「デザインに満足した」19.0%、「品質に満足した」15.6%と回答割合は2割未満に。 セールは価格への満足度が高いものの、品質やデザインに対する満足度が低い傾向が伺えた。

42.7%が「特定の決まったブランドで買うことが多い」と回答。世代別では、Z世代が最多の56.2%と、Z世代は“失敗しない消費”を求める傾向からか、特定のブランドから購入する傾向が伺えた。

3.アパレルの購入体験別にみる満足度の差

2,000円の買い物を、3つの異なるお買い物体験で比較検証を実施したところ、「1. ファストファッションで2,000円のTシャツを購入し、1シーズン着て捨てる」に満足と回答した人は19.3%。「2. 6,000円のTシャツを購入して1シーズン着た後、フリマアプリで4,000円で売却し、実質2,000円でTシャツを購入したことになった」に満足と回答した人は40.8%。「3. 定価6,000円のTシャツがリユース品で2,000円で買えた」に満足と回答した人は47.1%がという結果に。

リユースを活用した、「2. 6,000円のTシャツを購入して1シーズン着た後、フリマアプリで4,000円で売却し、実質2,000円でTシャツを購入したことになった」、「3. 定価6,000円のTシャツがリユース品で2,000円で買えた」の体験ではいずれもZ世代の満足度が最も高く、それぞれ61.2%、60.2%という結果に。

最終的に同等の出費(2,000円)でも、短期間で使い切るより「リセールバリューを考慮して買ったモノ」や「リユース品の購入」の満足度が高いことがわかった。

4.アパレル購入と情報リテラシー

「情報リテラシーが高い」と回答した人は、そうではない人と比べて、「​​セール品やアウトレット品を主に買い、定価ではほぼ買わない」「リユース品やレンタル品を活用している」「自分はよい買い物をしていると感じることが多い」の回答する割合が高い。また、リセールバリューを意識した買い物への満足度が高い傾向も明らかに。情報を収集・取捨選択することで、“定価で買う”以外にもリユース・レンタル品を活用するなど、“所有”“利用”に多様な選択肢があることから、自らの買い物に対する満足度も高いことが伺える。

リコマース総合研究所概要

リコマースに関わる国内外のトレンドや市場動向、消費者の消費行動の変化を研究し、社会・経済・生活など様々な視点からリコマース市場が与える影響を探求する研究機関です。リコマース市場が循環型社会の実現に向けて果たす役割に注目し、生活者の意識や行動の変化はもちろん、あらゆる人の可能性を広げるために、新たな視点を見出すために研究を行っていきます。リコマース市場がどのように社会や経済に影響を与え、生活者にどのような利益をもたらすかを探求し、その情報を広く発信していきます。

https://note.com/recommerce_labo

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業種
情報通信
本社所在地
東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
電話番号
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代表者名
山田進太郎
上場
マザーズ
資本金
125億5020万円
設立
2013年02月