アンリツ、eMobility 向け評価ソリューションを北米市場へ展開開始

アンリツ株式会社

2025年12月4日 13時00分

アンリツ株式会社（社長濱田宏一　以下、アンリツ）は、eMobility向け評価ソリューションとして、充放電・バッテリエミュレーション*テストシステム「RZ-X2-100K-HG」およびPower HIL（Power Hardware-in-the-Loop）ソリューションを中心に、北米市場への展開を開始します。これらはグローバル展開の第一歩となる取り組みであり、今後の市場拡大を見据えた重要な施策です。こうした取り組みの一環として、2026年1月6日から1月9日まで米国ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー展示会「CES 2026」において、これらのソリューションを出展します。

RZ-X2-100K-HGについて

充放電・バッテリエミュレーションテストシステム「RZ-X2-100K-HG」は、アンリツグループの高砂製作所が開発した、高電圧・大電流に対応した充放電試験とバッテリエミュレーションの機能を持つテストシステムです。本システムは、車載バッテリおよびパワートレインデバイスの性能、耐久性、安全性等の試験に用いられます。

日本において自動車産業にとどまらず、建機、農機、二輪車などの内燃機関の電動化に取り組まれる多くのお客様にご採用いただいている「RZ-X2-100K-H」を、アメリカの安全規格および入力電源規格に適合させたモデルであり、2026年２月より北米での販売開始を予定しています。

Power HILについて

Power HIL（Power Hardware-in-the-Loop）は、HIL（Hardware-in-the-Loop）に「実電力供給機能」を加えたバーチャルとリアルを組み合わせた拡張型シミュレーション技術です。Power HILは、実電力を伴う仮想車両環境を構築し、EVの走行試験や複数の充電規格に対応した充電試験を現実に近い条件下で再現します。これにより、バッテリ性能や安全性や充電互換性などの評価を、実車を用いることなく高精度かつ効率的に実施できます。

CES 2026において、アンリツは「RZ-X2-100K-HG」と、dSPACE社*のHILシミュレータを組み合わせたPower HILをコンセプト展示します。また、2025年10月にアンリツグループに新たに加わったDEWETRON社のPower Analyzer*を用いた3相モータの電力測定デモンストレーションを行います。DEWETRON社の高精度、高速な測定技術を体感することが出来ます。今後、DEWETRON社の測定器をPower HILに組み合わせることにより、電力に限らず温度・振動・映像などの多様なデータや、ECU制御で用いられるCAN信号*も同期取得することを可能とし、より高度で高信頼な評価の実現が期待されます。

アンリツは、計測技術と電力制御・電力評価技術を融合させた独自のソリューションにより、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献してまいります。

CES（Consumer Electronics Show）

CESは、米国ネバダ州ラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー展示会です。CES 2026は2026年1月6日から9日まで行われ、最新の電子機器やモビリティ、エネルギーなど次世代分野の革新的技術が集結します。世界中の企業やスタートアップが参加し、業界トレンドを発信する国際的イベントです。

用語説明

*バッテリエミュレーション

　実際のバッテリの挙動（電圧・電流・内部抵抗など）を電源装置で模擬し、車載機器がどのように動作するかを評価する技術。

*dSPACE社（dSPACE GmbH）

　ドイツのHILシミュレーション分野の大手メーカー。自動車開発向けのHILシミュレータで世界的に使用されている。

*Power Analyzer（パワーアナライザ）

　電圧・電流・電力・効率などを高精度に測定する装置。三相モータやインバータなどの電力評価に用いられる。

*CAN信号（Controller Area Network）

　自動車のECU間通信に用いられる国際標準の車載ネットワーク。車両の制御情報をやり取りする。