【ダイヤモンドアスリート】第9期認定式・修了式レポート&コメント:国際人として輝くための抱負と感謝の想いを語る
日本陸連が実施している「ダイヤモンドアスリート」制度は、国際的な活躍が期待できる資質を備えた競技者を、中長期的な視野で多面的に強化・育成していくものです。高い水準での競技力を向上させていくなかで、国際人としての素養や人間性も高め、将来的に、次世代の社会発展に寄与できる存在になることを狙いとして、2014-2015年にスタートしました。以降、認定競技者や修了生の多くがオリンピックや世界選手権といった国際大会に日本代表として出場。北口榛花(JAL、やり投)、サニブラウンアブデルハキーム(タンブルウィードTC、短距離)、橋岡優輝(富士通、走幅跳)、藤井菜々子(エディオン、競歩)が、メダル獲得や入賞を果たすなど、着実な成果を上げています。
8期目を終えたこの秋、第9期認定アスリートとして、継続競技者5名と新規競技者2名が選出。12月5日には、東京都内で、認定式と修了式が行われました。
第9期ダイヤモンドアスリートには、継続認定となった藤原孝輝選手(東洋大学)、アツオビン・ジェイソン選手(福岡大学)、栁田大輝選手(東洋大学)、佐藤圭汰選手(駒澤大学)、西徹朗選手(早稲田大学)、新たに認定された北田琉偉選手(大塚高校)、澤田結弥選手(浜松市立高校)の計7名が選出。また、クレイアーロン竜波選手(テキサスA&M大学)、出口晴翔選手(順天堂大学)と中村健太郎選手(日本大学)の3名が修了を迎えました。
コロナ禍の影響もあって、3期ぶりに一堂に会しての開催が叶う形となったこの日の認定式・修了式には、都合により出席できなかった佐藤選手、海外で学ぶクレイアーロン選手を除く8名が出席しました。
冒頭に行われた関係者挨拶では、まず、風間明日本陸連専務理事が登壇して「ダイヤモンドアスリートは、中長期的に選手を育て、競技成績だけでなく、未来の日本の社会に役立つ人材を育てていくためのもので、皆さんは、まさにその主役。ワールドワイドな活躍を期待している」と激励。
現職就任前に、担当責任者としてダイヤモンドアスリート制度を創設に導いた山崎一彦強化委員長は、「このダイヤモンドアスリートは、8年前に、“陸上競技を通じて国際人になる”ことを目指してつくった。国際競技力はもちろんだが、その競技力を高めることによって、国際人になってほしいというのが私たちの夢。育成や強化には時間がかかり、簡単にいくものではないが、みんながずっと長く活躍できることを望んでいる。人数は少ないが、代々の先輩たちもいるので、その知識や経験も含めて、さまざまなことを、これから肌で学んでほしい」と期待を寄せました。
また、昨年からダイヤモンドアスリートプログラムマネジャーを務める室伏由佳マネジャーは、「ここまで長い月日をかけて今に至っているわけだが、プログラムをさらに進化させて、より時代にマッチした内容を皆さんに提供すべく、現在、準備を進めている」ことも明かし、「プログラムを通じて、いろいろな素養を身につけ、競技者としてはもちろん、競技を終えてからも生かせることを期している。プレッシャーを感じすぎず、でも、自分で良いプレッシャーをかけられるようにして、自身のダイヤモンドの原石を磨いてほしい」と鼓舞しました。
その後、第9期ダイヤモンドアスリートを支援するサポート企業として、一般財団法人東京マラソン財団、アシックスジャパン株式会社、デンカ株式会社、エームサービス株式会社、株式会社GABA、ガーミンジャパン株式会社、SМBC日興証券株式会社の全7社が、室伏マネジャーより紹介されました。一般財団法人東京マラソン財団、アシックスジャパン株式会社、デンカ株式会社は、リーダーシッププログラムやウエアの提供、海外遠征など、ダイヤモンドアスリートのプログラム全体を、また、エームサービス株式会社には栄養サポートのプログラムを、株式会社GABAは語学研修のプログラムを、これまで同様にサポートいただきます。また、第9期からは新たに、ガーミンジャパン株式会社からGPSランニングウォッチの提供を、SМBC日興証券株式会社からは金融経済教育プログラムをサポートいただくことになっています。
続いて、室伏マネジャーより、第9期認定ダイヤモンドアスリート7選手と、修了生3選手の名前が発表されました。各選手には、プレゼンターを務めた北口選手から、認定証・修了証のクリスタル盾が授与。ガーミンジャパン株式会社から、GPSランニングウォッチも贈呈されました。
そのあと激励の挨拶で再登壇した北口選手は、まず「第1期生に選ばれたとき、突然、別室に呼ばれ、“何かまずいことをしたかな”と思いながら待っていたことを鮮明に覚えている」というエピソードを披露して笑いを誘うと、「もともと海外にすごく興味があって、ダイヤモンドアスリートのプログラムで、毎年のように海外に行かせていただいた。その延長線上で、今のコーチと出会い、チェコを拠点に競技をすることに結びついている」と認定アスリート時代を振り返り、「このプログラムがあったからこそ、海外拠点という案も出たし、いろいろなプログラムを受けるたびに背中を押し続けてもらった。皆さんも、日本に留まることなく、世界で活躍されることを期待している」とコメント。「日本代表として、一緒に競技ができたら、ダイヤモンドアスリートOGとしても楽しい。プログラムの一つ一つを有意義な時間にして、競技に繋げてほしい」と後輩たちに温かなエールを送りました。
北口選手の激励に応える形で、認定ダイヤモンドアスリートを代表して壇に上がった栁田選手は、語学研修のプログラムや栄養サポート、さらには海外遠征を経験してきたなかでの実感や感謝を述べたのちに、「来年、再来年、そのまた次の年と、世界大会が続くので、ファイナルの舞台で走れるように頑張っていきたい。ダイヤモンドアスリートとしての価値を高められるような選手になっていきたいと思うので、今後とも、ご支援ご声援のほどよろしくお願いします」と力強くコメントし、会場から大きな拍手を集めました。
また、最後に、修了生を代表して、第5期から第8期までの4年間を認定アスリートとして過ごした出口選手が挨拶。「人として成長することができた」として、リーダーシッププログラム、語学研修、栄養セミナー等のプログラムで身についた事柄を具体的に挙げたほか、「途中、コロナ禍で対面での活動が厳しいなかでも、オンラインなど、さまざまな対策をとっていただき、充実したサポートを受けることができた」と振り返り、「これらの活動を支援してくださった各種スポンサー企業の皆様に心より感謝申し上げます。これからも競技者として、競技力のみならず、世界に羽ばたける国際人となるべく精進してまいりますので、ご声援のほどよろしくお願いします」と、4年間の成長を感じさせる内容で、会を締めくくりました。
- 【新規認定アスリートコメント】
ダイヤモンドアスリートという制度があることは、顧問の先生から聞いていて、「そういう選手になれよ」とよく言われていたので知っていた。高校2年までは届かないような場所だったので、今回、選んでもらえたことを喜ばしく思うし、自分の目標に一歩近づけたかなと、すごく嬉しく感じている。プログラムで楽しみにしているのは、海外での練習や合宿。今の環境と違ったなかで、自分がどれだけ力を発揮できるかを知りたいと思っている。目標である国際人を目指して、これからコミュニケーション能力を高め、海外での環境で本領を発揮できる選手になっていきたい。
澤田結弥(浜松市立高2年、女子中・長距離)
自分が選んでいただけるとは思っていなかったので本当に驚いたが、とても光栄に感じている。このプログラムを通じて、競技的にも人間的にも成長して、陸上だけでなく、いろいろな面でお手本になれるようにしていきたい。
プログラムでは、海外に行けることが、とても魅力的だと感じている。また、陸上に関係なく、もともと語学に興味を持っていたので、陸上競技に取り組んでいくなかで、英語が使えるようにしていきたい。夢は、田中希実選手のように世界で戦える選手になること。また、今日のプログラムで、北口選手が話していた「誰も成し遂げたいことのないことを成し遂げられるような選手」になりたいなと思う。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
- 【ダイヤモンドアスリート】特設サイト
【第9期認定アスリート紹介】その才能で世界を掴め!
■【ダイヤモンドアスリート】第9期新規認定アスリート・プログラム修了生について:北田琉偉・澤田結弥が更なる飛躍を目指す!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17221/
■【ダイヤモンドアスリートスペシャル対談】室伏由佳×佐藤圭汰×西徹朗
https://www.jaaf.or.jp/news/article/16072/
■【オレゴン世界選手権】ダイヤモンドアスリート修了生の活躍を振り返る!
https://www.jaaf.or.jp/news/article/16596/
■【ダイヤモンドアスリート】栄養講習実施レポート:
アスリートにおける食事の意義と役割、暑熱対策についての理解を深める
https://www.jaaf.or.jp/news/article/16608/
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