ヨウ素の高機能化:ヨウ素を導入した不斉有機触媒の開発に成功-医薬などの創生に有用な光学活性アミノ酸類の新規合成法-
千葉大学(学長: 徳久 剛史)大学院 理学研究院 基盤理学専攻 荒井 孝義 教授 (ソフト分子活性化研究センター長、千葉ヨウ素資源イノベーションセンター長、分子キラリティー研究センター兼任)と鍬野 哲 助教(分子キラリティー研究センター)は、「ヨウ素とアミンが協調的に機能する高活性な有機触媒」の開発に成功しました。
- 【研究の背景と目的】
「ハロゲン結合」は、明確な方向性をもち、ソフト性の高い化学種(官能基)を選択的に活性化できると期待できるため、機能性分子を創製するための新たな相互作用として注目を集めています。
しかしながら、「ハロゲン結合」は分子骨格のR-X結合の裏側に展開するσ*₋結合(σ₋hole)を用いて形成されるため、立体選択性など高度な構造認識を達成することは困難でありました。
本研究では、ハロゲン結合を基軸とする高立体選択的不斉触媒の開発を目指しました。
- 【研究成果】
図2に示す触媒Aの存在下、マロノニトリルのN-Bocイミンへの不斉マンニッヒ型反応を行ったところ、目的の付加体を48%収率、80% eeで与えました。ヨウ素が含まれていない触媒Bや、ヨウ素をメチル基に置き換えた触媒Cでは、目的化合物の光学純度(ee値)が低下したことから、触媒中でヨウ素が重要な役割を担っていることがわかります。
- 【独創性・先駆性】
- 【社会貢献性・波及効果】
本研究成果は、イギリス王立化学会出版のChemical Communications誌に掲載されました。
Kuwano, S.; Suzuki, T.; Arai, T. Chem. Commun. DOI: 10.1039/c8cc00865e.
【関連ニュース】
千葉県産の「ヨウ素」資源は世界シェア21%!千葉大が世界をリードするヨウ素製品の製造拠点を設立:
http://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/files/2017/20170105_3.pdf
千葉大学と連携企業4社が5者合同の包括連携研究協定を締結しました:
http://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/post_402.html
【分子キラリティー研究センター】キラルな光による物質制御を中心に、分子エレクトロニクス、キラル分子化学及び生命科学に関連する教員が連携し、分子キラリティーに関する学際研究及び国際活動を推進することを目的に平成29年4月1日に千葉大学に設置されました(センター長:尾松 孝茂)。
分子キラリティー研究センターHP:http://www.tp.chiba-u.jp/MCRC/index.html
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