新型コロナ感染症の早期診断に役立つ簡易嗅覚確認キットを開発

~嗅覚確認キットによるセルフチェックが無症状感染者発見の一助に~

順天堂大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学講座の池田勝久主任教授の研究グループは、第一薬品産業株式会社(東京都中央区)と共同で、新型コロナウイルス感染症の早期診断に役立つ「簡易嗅覚確認キット」を開発しました(2021年4月12日より発売予定)。
新型コロナウイルス感染症では、もののニオイがわからなくなる嗅覚障害が、発熱、咳などの症状が出る前やPCR検査で陽性が判明するよりも前に出現することがわかっています。一方で、軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査を行い嗅覚障害の早期診断につなげることが、無症状感染者を発見するうえでも重要です。今回開発した簡易嗅覚確認キットでは、ニオイの種類を決定するにあたり、嗅覚のみを刺激するニオイ物質を選択し、1キットで複数回、数か月間に渡って利用できるようにしました。検温のような日々のスクリーニングによって早期に嗅覚の異常に気づき、 PCR検査や自己隔離の目安とすることで、新型コロナウイルス感染症の早期診断や無症状感染者の発見の一助となることが期待されます。
<簡易嗅覚確認キットのポイント>
  • 臨床症状を加味して新型コロナウイルス感染症の早期診断の一助になる可能性があります。
  • 無症状感染者の発見が期待できます。
  • 嗅覚障害の自己判断を凌駕する感度が得られます。

背景
新型コロナウイルス感染症における嗅覚障害は、感染が世界的に流行した当初から主な神経学的症状として報告されてきました。発症率は報告によって様々でしたが、80%以上の症例で嗅覚に対する変化が生じていることが明らかになってきています。また、全身症状の程度に関わらず嗅覚障害が生じるため、新型コロナウイルス感染では、嗅覚が普遍的な標的であると言えます。
新型コロナウイルス感染症の嗅覚障害の特徴は、①突然に発症する、②咳、発熱、咽頭痛、倦怠感などの症状と同時またはそれ以前に生じる、③PCR検査陽性の前に生じる、④インフルエンザ感染症、感冒、花粉症などによる嗅覚障害と異なり、鼻閉(鼻づまり)や鼻漏(鼻水)などの他の鼻症状を伴いにくい、④主観的自己報告よりも客観的嗅覚検査で検出率が高い、⑤全身症状の重症度に関わらず生じる、⑥無症状感染者の唯一の症状になることなどが知られています。特に、検温やPCR検査の結果に先行して嗅覚障害が生じることは、早期診断に応用可能な重要な所見です。また、嗅覚障害だけの無症状感染者が報告されている一方で、軽度の嗅覚障害は自覚されにくいことから、客観的な嗅覚検査が嗅覚障害の早期診断に有用であり、嗅覚チェックによって無症状感染者の発見が可能と考えられます。

簡易嗅覚確認キットの特徴
【1】ニオイ物質の種類と濃度
鼻腔には、鼻の中の感覚を脳に伝える三叉神経が存在しており、ある種の刺激性物質によって生じた“鼻につんとくる感覚”を、ニオイの感覚と錯覚してしまうことがあります。そのため、本キットの開発にあたっては、キットに用いるニオイの種類を決定する上で、嗅覚のみを刺激するニオイ物質を選択しました。本キットでは、三叉神経刺激のない合成単一香料であるVerdox(青りんご様のニオイ)とSotolone(カラメル様のニオイ)を使用しています。
開発の過程で20代から80代の健常者に上述したニオイ物質を種々の濃度で嗅いでもらい、ニオイを感じる最小の濃度(閾値)を検討しました。その結果、50歳を境として閾値に相違があることが分かり、50歳未満用と50歳以上用の2種類の濃度を検査キットに組み入れました。


【2】簡易嗅覚確認キット(右写真)の使用方法

1.ボトルのキャップを上に開ける。

2.本体中央部を親指及び人差し指、中指で押し込みボトル内部の空間に含まれるニオイを押し出す。
3.鼻から3 cmほどの距離でニオイを嗅ぐ。
4.ニオイがするかどうかをセルフチェック。
(ニオイがわからない場合、嗅覚異常の疑い)

【3】簡易嗅覚確認キットの組成・性状(仕様)
 ・質量:約12g 〔以下のにおい成分(1g)を含めた脱脂綿をボトル内に封入〕
 ・包装:プラスチックボトル(PE)、プラスチックキャップ(PP)、製品表示ラベル(紙)
 ・有効期限:開封後3ヵ月 または 製造から1年以内(ラベルに記載)

【4】販売について
 ・発売時期:2021年4月12日より発売予定。
※3月19日より下記の製品情報サイト(QRコード)から予約販売を開始します。
 ・製品価格:VH、VL、SH、SLともに各1本1,650円(税込・送料込)
※2本セット:高濃度セット(VH・SH)、低濃度セット(VL・SL)ともに各1セット2,750円(税込・送料込)

簡易嗅覚確認キットの意義
これまで多くの臨床研究から、嗅覚障害のスクリーニングを新型コロナウイルス感染症対策へ応用することが提唱されてきました。嗅覚障害は新型コロナウイルス感染症拡大を早期に予知し得る指標であることから、簡易嗅覚確認キットを用いて個人が自宅で嗅覚の状態をセルフチェックすることにより、検温よりも陽性者を多く検出できる可能性があります。
(※本キットで嗅覚チェックをして異常が感じられた場合は、PCR検査をお勧めします)

<製品情報の詳細について>
製品情報サイト: https://j-ichiyaku.com/easysmellkit/

 

 

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