「新型コロナ」今後の自社業績へ”マイナス”の影響、2カ月連続で減少し懸念和らぐ
感染予防や事業拡大からオフィスを拡大する企業も
2021年3月21日までに、再発出されていた緊急事態宣言は全国で解除となった。感染者数の全国的な急増は抑制されつつも一部地域で感染者が再び増加しており、新型コロナウイルスの影響は依然として続いている。ワクチン接種の先行開始など明るい話題も聞かれてきたほか、テレワークの導入などの機運が高まり、オフィスのあり方を見直す動きもみられている。
そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年3月調査とともに行った。
そこで、帝国データバンクは、新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年3月調査とともに行った。
<調査結果(要旨)>
業績へ今後マイナスの影響、2カ月連続の1ケタ台となり、先行きの不透明感和らぐ
業種別にみると、『マイナスの影響がある』と見込む企業は、「旅館・ホテル」が100.0%となり、「ここまでくると個店の努力だけではどうにもならない」(旅館、宮城県)といった悲鳴に近い声があげられている。次いで、「飲食店」(91.5%)、「広告関連」(91.2%)が9割台で続いた。
他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」が31.0%で最も高く、「飲食料品小売」(26.5%)が2割台で続いた。「ネット販売などが好調で、緊急事態宣言解除後も好調さは持続すると思う」(野菜小売、東京)とあるように、飲食料品に関連する業種が上位に並んでいる。また、「一旦自粛で冷え込んだ消費が、反動として一気に高まる可能性があると思っている」(木製品製造、北海道)というように今後の消費マインドの回復を期待する声もあがっている。
「拡大する(した)」企業を業種別にみると、「自動車・同部品小売」が12.2%で最も高くなった。次いで、「情報サービス」(9.7%)、「家電・情報機器小売」(9.4%)が上位に並んだ。企業からは、「コールセンター業のため密集して業務を行うことが多く、感染リスクを減らすために、サテライトオフィスを4カ所開設、さらに1カ所増設する予定」(事業サービス、東京都)や「今夏からデジタル事業部を設立し、ネット販売の強化を目指す。そのため、オフィスを追加で借りる予定」(かばん・袋物卸売、兵庫県)といった声が聞かれた。
他方で、「縮小する(した)」企業では、「広告関連」が20.6%と2割超となり、以下「医薬品・日用雑貨品小売」(18.2%)、「飲食店」(16.9%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(16.7%)、「旅館・ホテル」(15.6%)が続いた。企業からも「在宅勤務が基本となり、サーバー用のオフィス以外ほぼ不要と判断し縮小した」(技術提供、神奈川県)といった意見があげられた一方で、「契約満了まで待てないため、不動産会社と早期移転を交渉中。縮小させたいが、契約に縛られ出て行けない」(食料・飲料卸売、東京都)といった問題も生じている。
[1] 本社事業所もしくは主要事業所のオフィス面積を対象
本調査の結果、新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込む企業は、6カ月連続で8割を下回った。今後マイナスを見込む企業も減少しており先行きに対する不透明感は緩和しつつある。しかしながら、「旅館・ホテル」など個人向けサービスを中心に依然として悪影響が生じている。一方で、プラスの影響を見込む企業では、総合スーパーなど飲食料品を扱う業種を中心に消費の拡大がみられた。
また、一部の企業ではオフィス面積のあり方に変化が表れており、感染防止のためオフィスの増設や事業拡大にともなう拡張を行っている。他方で、在宅勤務の進展などによりオフィスを縮小する動きがみられたほか、業績悪化にともなう固定費削減のため縮小する企業も現れている。
2021年4月に入り一部地域で「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、当該地域を中心に経済活動が制限され国民生活や企業活動に対して再び先行き不透明感が高まることが危惧される。政府には、生活不安や経済的な不安が再び高まらぬよう、国民や企業からの声に耳を傾け対応策を講じることが肝要となろう。
※調査期間は2021年3月18日~31日、調査対象は全国2万3,703社で、有効回答企業数は1万1,261社(回答率47.5%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し今回で14回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
- 新型コロナウイルス感染症による自社の業績への影響、『マイナスの影響がある』と見込む企業は74.5%(前月比1.8ポイント減)。また「今後マイナスの影響がある」(7.6%)は2カ月連続で1ケタ台となった。他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は4.9%(同0.8ポイント増)となり、2カ月ぶりに増加に転じた
- 『マイナスの影響がある』を業種別にみると、「旅館・ホテル」が100.0%で最も高くなった。以下、「飲食店」(91.5%)、「広告関連」(91.2%)、「パルプ・紙・紙加工品製造」(87.4%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(86.8%)が続く
- 『プラスの影響がある』は、総合スーパーなどの「各種商品小売」が31.0%でトップとなった。また、「飲食料品小売」(26.5%)、「家具類小売」(13.3%)、「電気通信」、「放送」(ともに12.5%)などが続き、主に飲食料品に関連する業種が上位に並んだ
- 新型コロナウイルスの影響からオフィス面積を「拡大する(した)」企業は4.1%となった一方で、「縮小する(した)」企業は4.9%となり、ほぼ同水準となった。他方、「変わらない」とする企業(85.6%)は8割超であった
- オフィス面積を「拡大する(した)」企業を業種別にみると、「自動車・同部品小売」(12.2%)、「情報サービス」(9.7%)、「家電・情報機器小売」(9.4%)。他方、「縮小する(した)」企業は、「広告関連」(20.6%)、「医薬品・日用雑貨品小売」(18.2%)、「飲食店」(16.9%)が上位となった
業績へ今後マイナスの影響、2カ月連続の1ケタ台となり、先行きの不透明感和らぐ
新型コロナウイルス感染症による業績への影響
業種別にみると、『マイナスの影響がある』と見込む企業は、「旅館・ホテル」が100.0%となり、「ここまでくると個店の努力だけではどうにもならない」(旅館、宮城県)といった悲鳴に近い声があげられている。次いで、「飲食店」(91.5%)、「広告関連」(91.2%)が9割台で続いた。
他方、『プラスの影響がある』と見込む企業は、総合スーパーなどを含む「各種商品小売」が31.0%で最も高く、「飲食料品小売」(26.5%)が2割台で続いた。「ネット販売などが好調で、緊急事態宣言解除後も好調さは持続すると思う」(野菜小売、東京)とあるように、飲食料品に関連する業種が上位に並んでいる。また、「一旦自粛で冷え込んだ消費が、反動として一気に高まる可能性があると思っている」(木製品製造、北海道)というように今後の消費マインドの回復を期待する声もあがっている。
業績に『マイナス・プラスの影響がある』
オフィス面積の拡大・縮小予定
「拡大する(した)」企業を業種別にみると、「自動車・同部品小売」が12.2%で最も高くなった。次いで、「情報サービス」(9.7%)、「家電・情報機器小売」(9.4%)が上位に並んだ。企業からは、「コールセンター業のため密集して業務を行うことが多く、感染リスクを減らすために、サテライトオフィスを4カ所開設、さらに1カ所増設する予定」(事業サービス、東京都)や「今夏からデジタル事業部を設立し、ネット販売の強化を目指す。そのため、オフィスを追加で借りる予定」(かばん・袋物卸売、兵庫県)といった声が聞かれた。
他方で、「縮小する(した)」企業では、「広告関連」が20.6%と2割超となり、以下「医薬品・日用雑貨品小売」(18.2%)、「飲食店」(16.9%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(16.7%)、「旅館・ホテル」(15.6%)が続いた。企業からも「在宅勤務が基本となり、サーバー用のオフィス以外ほぼ不要と判断し縮小した」(技術提供、神奈川県)といった意見があげられた一方で、「契約満了まで待てないため、不動産会社と早期移転を交渉中。縮小させたいが、契約に縛られ出て行けない」(食料・飲料卸売、東京都)といった問題も生じている。
[1] 本社事業所もしくは主要事業所のオフィス面積を対象
オフィス面積を拡大する(した)・を縮小する(した)割合
本調査の結果、新型コロナウイルス感染症により業績にマイナスの影響があると見込む企業は、6カ月連続で8割を下回った。今後マイナスを見込む企業も減少しており先行きに対する不透明感は緩和しつつある。しかしながら、「旅館・ホテル」など個人向けサービスを中心に依然として悪影響が生じている。一方で、プラスの影響を見込む企業では、総合スーパーなど飲食料品を扱う業種を中心に消費の拡大がみられた。
また、一部の企業ではオフィス面積のあり方に変化が表れており、感染防止のためオフィスの増設や事業拡大にともなう拡張を行っている。他方で、在宅勤務の進展などによりオフィスを縮小する動きがみられたほか、業績悪化にともなう固定費削減のため縮小する企業も現れている。
2021年4月に入り一部地域で「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、当該地域を中心に経済活動が制限され国民生活や企業活動に対して再び先行き不透明感が高まることが危惧される。政府には、生活不安や経済的な不安が再び高まらぬよう、国民や企業からの声に耳を傾け対応策を講じることが肝要となろう。
参考意見
※調査期間は2021年3月18日~31日、調査対象は全国2万3,703社で、有効回答企業数は1万1,261社(回答率47.5%)。なお、新型コロナウイルス感染症に関する調査は、2020年2月から毎月実施し今回で14回目
※本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
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