公共交通機関におけるベビーカー利用に関する実態調査~利用者の6割は「不快な思いや居心地の悪さ」を経験~
公共交通機関(電車やバスなど)のベビーカー利用やベビーカーの取り扱いをめぐって、ネット上でたびたび議論になっています。2022年11月には、元バレーボール選手の大山加奈さんが、双子対応のベビーカーで都営バスなどに乗ろうとしたところ「乗車拒否」されたと投稿したことが話題になりました。こうした中で、弁護士ドットコム株式会社(東京都港区、代表取締役社長:元榮太一郎)は、弁護士ドットコムの一般会員902名を対象に、「公共交通機関におけるベビーカー利用」に関するアンケートを行いました。
■ 調査概要
調査機関:自社調査(弁護士ドットコム一般会員を対象)
調査方法:弁護士ドットコム一般会員を対象にウェブアンケートを実施
調査対象:弁護士ドットコムの一般会員902名(男性509人、女性381人、その他12人)
調査期間:2022年11月29日〜12月6日
【調査結果サマリー】
1.公共交通機関でのベビーカー利用は4割
公共交通機関でベビーカーを使用したことがあるかを尋ねたところ、6.4%が「現在使用している」と回答。「現在は使用していないが、以前使用したことがある」という回答も35.6%あり、合計では4割を超えていました。
アンケートでも「2009年以前」の使用者では「常に畳んでいる」が35.8%だったところ、「2020年〜今も使っている」の使用者では「常に畳んでいる」が17.6%という結果となりました。国土交通省は2014年から公共交通機関などでベビーカーを利用しやすくするための啓発キャンペーンを始めており、こうした動きが徐々に利用者や社会の認識や行動を変えたと考えられます。
2.利用者の6割は「不快な思いや居心地の悪さを感じたことがある」を経験
公共交通機関でベビーカーを使ったことで、不快な思いや居心地の悪さを感じたことはあるか(あったか)を尋ねたところ、「ときどきある」が38.3%と最も多く、次いで「あまりない」が32.7%、「よくある」が18.2%、「ない」が10.8%でした。ベビーカーを「2020年〜今も使っている」人に絞って分析しても、「よくある」「ときどきある」の合計は6割を超えていました。
回答者全体に対して、公共交通機関で他人のベビーカーの使い方について、迷惑に感じたり不快な思いをしたりしたことはあるかを尋ねたところ、「あまりない」が36%と最も多く、次いで「ない」が29.5%、「ときどきある」が27.3%、「よくある」が7.2%でした。
具体的にどのような出来事か選択式で尋ねたところ、「通路を塞いでいた」が68.8%と最も多く、次いで「車内などが混雑している時にベビーカーを利用している」が55.9%、「踏まれたりぶつかったりした」が35.7%でした。
子育て経験者からは「他の方の邪魔になるので、公共交通機関ではよっぽど空いていない限り、ベビーカーを広げて子どもを乗せることはありませんでした。重くても抱っこ紐で我慢」(2015年〜2019年使用、女性)、「ベビーカーを畳んでいても嫌な顔をされたため、抱っこ紐で乗るようにしていた」(2020年〜今も使っている、女性)など公共交通機関では抱っこ紐を利用していたという人が複数いました。
双子用ベビーカーの経験者からは「横並び型はとても幅をとるので、狭いバスや混雑時にはかなり邪魔になる。混雑時は避けたり一人は抱っこ紐等で抱っこして一人用のベビーカーを使ったりする工夫も必要なのではと思います」との意見がありました。
■宇都宮大学の大森宣暁教授(都市計画)のコメント
公共交通機関でのベビーカー使用は、主に人口密度が高い大都市に住んでいる人が関係する話題だと思います。アンケート結果からは、ベビーカー利用者も周囲に配慮しながら公共交通機関を使う努力をしていることが伺えます。公共交通というのはベビーカー利用者だけでなく、高齢者や子ども連れ、大きな荷物を持った旅行者など様々な方が利用するので、皆でお互い配慮するという意識を持った上で使う必要があると思います。
アンケートでは、「電車やバスでベビーカーを折りたたまずに乗車することができる」という方針を国土交通省が打ち出した2014年以降、常に畳む人が少なくなったことが分かります。
一方で、交通事業者は鉄道車両内で、車椅子スペースと兼用する形でベビーカー優先スペースを設けているにもかかわらず、「ベビーカーの優先・専用車両を設けるべき」という自由回答があることからすると、世間的には車椅子と同じようにベビーカーを優先しようという意識がまだまだ国民に広まっていないのかもしれません。
ベビーカー利用者と周りの人との両方が関係する問題です。ベビーカー利用者はルールやマナーを守って使い、周りの人はベビーカー利用者の大変さを理解してあげて協力することで、お互い嫌な思いをする割合が減るのではないでしょうか。
▼宇都宮大学:大森宣暁教授のプロフィール
宇都宮大学地域デザイン科学部社会基盤デザイン学科教授。公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会、子育てにやさしい移動に関する協議会に学識経験者として参加。都市計画・交通計画を専門とし、親子の移動から「夜の生活活動を楽しめる街づくり」まで幅広く手掛ける。
https://plans.ishii.utsunomiya-u.ac.jp/Ohmori/nobuaki.htm
調査機関:自社調査(弁護士ドットコム一般会員を対象)
調査方法:弁護士ドットコム一般会員を対象にウェブアンケートを実施
調査対象:弁護士ドットコムの一般会員902名(男性509人、女性381人、その他12人)
調査期間:2022年11月29日〜12月6日
【調査結果サマリー】
1.公共交通機関でのベビーカー利用は4割
公共交通機関でベビーカーを使用したことがあるかを尋ねたところ、6.4%が「現在使用している」と回答。「現在は使用していないが、以前使用したことがある」という回答も35.6%あり、合計では4割を超えていました。
回答者のうち、公共交通機関でベビーカーを使用したことがある379人を対象に、ベビーカーを最後に使用したのはいつか尋ねたところ、「2009年以前」が44.9%と最も多く、次いで「2020年〜今も使っている」が22.4%、「2015年〜2019年」が18.2%、「2010年〜2014年」が14.5%でした。
公共交通機関でベビーカーを使用した際、ベビーカーを畳んでいたか尋ねたところ、「混雑状況に応じて畳むことがある」が56.7%と最も多く、次いで「常に畳んでいる」が30.9%、「畳むことはない」が12.4%でした。
2014年3月に国土交通省は、公共交通機関等におけるベビーカー利用について「ベビーカーを折りたたむことを一律に求めるのは子どもの安全面で困難」とし、ベビーカーを折り畳まずに乗車することができる方針を示しました。
アンケートでも「2009年以前」の使用者では「常に畳んでいる」が35.8%だったところ、「2020年〜今も使っている」の使用者では「常に畳んでいる」が17.6%という結果となりました。国土交通省は2014年から公共交通機関などでベビーカーを利用しやすくするための啓発キャンペーンを始めており、こうした動きが徐々に利用者や社会の認識や行動を変えたと考えられます。
2.利用者の6割は「不快な思いや居心地の悪さを感じたことがある」を経験
公共交通機関でベビーカーを使ったことで、不快な思いや居心地の悪さを感じたことはあるか(あったか)を尋ねたところ、「ときどきある」が38.3%と最も多く、次いで「あまりない」が32.7%、「よくある」が18.2%、「ない」が10.8%でした。ベビーカーを「2020年〜今も使っている」人に絞って分析しても、「よくある」「ときどきある」の合計は6割を超えていました。
「よくある」「ときどきある」と回答した人に、当時の状況を選択式で尋ねたところ、「嫌な顔、舌打ちをされた」が59.3%と最も多く、「専用スペースを占拠され、どいてもらえなかった」が45.3%、「乗り降りや通行について協力を求めたものの無視された」が21.5%と続きました。その他では、「無言の圧力を感じた」「冷ややかな空気を感じる」「邪魔になっていて申し訳なく感じた」など、直接何か言われたわけではないものの肩身の狭い思いをしたという意見が複数ありました。
3.他人のベビーカーの使い方で迷惑や不快な思い、7割弱が「ない」
回答者全体に対して、公共交通機関で他人のベビーカーの使い方について、迷惑に感じたり不快な思いをしたりしたことはあるかを尋ねたところ、「あまりない」が36%と最も多く、次いで「ない」が29.5%、「ときどきある」が27.3%、「よくある」が7.2%でした。
「よくある」「ときどきある」と回答した人に、どこで迷惑に感じたり不快な思いをしたか選択式で尋ねたところ、「電車」が77.8%と最も多い結果となりました。
具体的にどのような出来事か選択式で尋ねたところ、「通路を塞いでいた」が68.8%と最も多く、次いで「車内などが混雑している時にベビーカーを利用している」が55.9%、「踏まれたりぶつかったりした」が35.7%でした。
自由回答では、電車でのベビーカー利用について、「専用車両があればいい」「混雑する時間帯だけでもベビーカーや車いすなどの優先車両があってもいい」と優先・専用車両を設けるべきという声がありました。「車椅子と同じように利用出来る環境が増えるとよい」と車椅子と同様に周囲のフォローや手伝いが必要だという意見もみられました。
子育て経験者からは「他の方の邪魔になるので、公共交通機関ではよっぽど空いていない限り、ベビーカーを広げて子どもを乗せることはありませんでした。重くても抱っこ紐で我慢」(2015年〜2019年使用、女性)、「ベビーカーを畳んでいても嫌な顔をされたため、抱っこ紐で乗るようにしていた」(2020年〜今も使っている、女性)など公共交通機関では抱っこ紐を利用していたという人が複数いました。
双子用ベビーカーの経験者からは「横並び型はとても幅をとるので、狭いバスや混雑時にはかなり邪魔になる。混雑時は避けたり一人は抱っこ紐等で抱っこして一人用のベビーカーを使ったりする工夫も必要なのではと思います」との意見がありました。
■宇都宮大学の大森宣暁教授(都市計画)のコメント
公共交通機関でのベビーカー使用は、主に人口密度が高い大都市に住んでいる人が関係する話題だと思います。アンケート結果からは、ベビーカー利用者も周囲に配慮しながら公共交通機関を使う努力をしていることが伺えます。公共交通というのはベビーカー利用者だけでなく、高齢者や子ども連れ、大きな荷物を持った旅行者など様々な方が利用するので、皆でお互い配慮するという意識を持った上で使う必要があると思います。
アンケートでは、「電車やバスでベビーカーを折りたたまずに乗車することができる」という方針を国土交通省が打ち出した2014年以降、常に畳む人が少なくなったことが分かります。
一方で、交通事業者は鉄道車両内で、車椅子スペースと兼用する形でベビーカー優先スペースを設けているにもかかわらず、「ベビーカーの優先・専用車両を設けるべき」という自由回答があることからすると、世間的には車椅子と同じようにベビーカーを優先しようという意識がまだまだ国民に広まっていないのかもしれません。
ベビーカー利用者と周りの人との両方が関係する問題です。ベビーカー利用者はルールやマナーを守って使い、周りの人はベビーカー利用者の大変さを理解してあげて協力することで、お互い嫌な思いをする割合が減るのではないでしょうか。
▼宇都宮大学:大森宣暁教授のプロフィール
宇都宮大学地域デザイン科学部社会基盤デザイン学科教授。公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会、子育てにやさしい移動に関する協議会に学識経験者として参加。都市計画・交通計画を専門とし、親子の移動から「夜の生活活動を楽しめる街づくり」まで幅広く手掛ける。
https://plans.ishii.utsunomiya-u.ac.jp/Ohmori/nobuaki.htm
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