Z世代の時事ネタに関する意識調査
中立的な立場で向き合いたいZ世代はメディアをどう見ている?マスメディアとSNSを横断する情報の取捨選択方法とは。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.(読み:シブヤイチマルキュウラボ)』は、15~24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから「Z世代の時事ネタに関する意識調査」を行いました。
【Z世代の時事ネタに関する意識調査トピックス】
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7割以上のZ世代が時事ネタを毎日チェック。興味のある時事ネタは?
興味のある時事ネタの1位は「文化・科学(33.3%)」という結果に。一方、報道・掲載が減って欲しいと思うもの1位には「芸能人のゴシップ(25.1%)」という意見も。その他、友達の悪事・悪行をSNS上で見つけた際に、記録としてスクリーンショットを撮影したことがあるという回答は34.6%でした。
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Z世代にとっての新聞=X(旧:Twitter)?若者のメディア使い分け術!
X(旧:Twitter)は「最新の情報を知る」手段として最も活用されています。時事ネタやニュースに関する情報は新聞やテレビ、ラジオの「信頼できる」割合が7割を超えており、SNSよりも信頼度が高いこともわかりました。一方で、 76.0%のZ世代が「マスメディアの報道は、なんらかの忖度をしている気がする」とも回答しています。
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情報過多の今、約8割のZ世代が「信頼できる情報がわからない」。彼らの求める報道のカタチとは
ファクトチェック方法としては「動画や画像などの証拠がある(36.2%)」「テレビや新聞など他のマスメディアでも報道されている(35.8%)」「グラフなどの数値的な根拠がある(32.7%)」が挙がりました。また、情報の取捨選択はテレビの情報はSNSでの意見を、SNSの情報はテレビの報道内容を確認しながら行っていることがわかりました。
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所長コメント:報道において求めているのは、質・幅・バランス。過激なSNSニュースに疲れも?
1つのトピックスに対して多様な視点があることが前提となっており、中立的な姿勢で情報と向き合いたいという意識が強く感じられます。また、必要な情報は取捨選択しており、ニュースの長さや内容の深さも自分のタイミングや関心度に合わせて使い分けています。一方で、「情報疲れ」の様子も見られ、「BeReal」や「#自然界隈」などのトレンドからも、情報との距離を置きリフレッシュしたいという欲求も垣間見られます。
【1】7割以上のZ世代が時事ネタを毎日チェック。興味のある時事ネタは?
Z世代に普段時事ネタやニュースに触れる頻度※図1を聞いてみたところ、約4割の回答者が「1日複数回」接触しているという結果が得られました。また、1日1回以上、時事ネタ・ニュースに触れているZ世代は、7割以上となっています。様々なメディアに囲まれて時事ネタ・ニュースを閲覧するZ世代は、どのように時事ネタ・ニュースと付き合っているのでしょうか。
まず、興味関心のある時事ネタ・ニュース※図2を聞いてみたところ、「文化・科学(33.3%)」「世代間ギャップや若者に関する話題(32.7%)」「スポーツ(32.7%)」が上位に。さらに、報道や掲載が増えて欲しいと思うものを聞いてみると「文化・科学(27.8%)」「教育(25.6%)」「経済・経済施策(25.3%)」が上位にあがり、逆に報道や掲載が減って欲しいと思うものには「芸能人のゴシップ(25.1%)」「性被害・ハラスメント(24.2%)」「誹謗中傷・ネットリテラシー(20.9%)」などが上位になりました。しかしその一方で、友だちと話題になるものは「芸能人のゴシップ(20.9%)」「世代間ギャップや若者に関する話題(17.6%)」「スポーツ(17.6%)」が上位となりました。
インタビューでは芸能関係の報道について「繰り返し同じテーマでやっていても興味ない」「悪いことが明るみになること自体はいいと思うが、今まで報道側も(不祥事に関して)知りつつ見て見ぬふりをしたり、共犯的な側面もあるのに、風向きが変わると攻撃的になるのは良く思わない」や「芸能系の話題は世間話として上の人や周囲の友達と浅く話すこともある」といった声がありました。
さらに、「あなたが最近気になる時事ネタやニュースを教えてください」※図3という質問に対する回答についてテキストマイニングを行ったところ、図のような結果になりました。「ウクライナ」や「イスラエル」、「ガザ地区」などのキーワードが大きく表示され、海外で起こっている戦争に対して高い興味関心を抱いていることがわかるほか、身近な話題である「大学無償化」にも高い関心が寄せられていることがわかります。(※2023年12月時点)
また、近年動画SNSの普及とともに、一般人が投稿した動画が拡散され、時事ネタ・ニュースになることも増えています。友達の悪事・悪行をSNS上で見つけた際に記録としてスクリーンショットを撮影したことがあると回答したのは34.6%、そういった画像を他人に共有したことがあると回答したのは28.6%※図4となりました。逆に、誰にスクリーンショットを撮影されても問題がない言動を心掛けている、という回答は全体の63.5%※図4となりました。
グループインタビューでも、「実際は結構みんなスクショを撮っていると思う。LINEで送りあっているのも知っている」「学校は校則が厳しいので制服をSNSに映すのも駄目だが、友人が制服で映っている写真を上げていた。それに対して別の友人がスクショして、『仲が悪くなった時に学校に提出して退学させてやろう』と冗談で言っていた。その他の校則違反行為を載せている子も何人かいる」など、日常的にリスクのある投稿が行われ、それをスクショし合っている状況が見られました。
【2】Z世代にとっての新聞=X(旧:Twitter)?若者のメディア使い分け術!
次に、普段から複数メディアを使いこなしているZ世代のメディアの使い分け方や印象の違いについて調べてみました。
普段ニュースや時事ネタの情報収集として使用しているツールや媒体※図5は「X(旧:Twitter)(66.4%)」「テレビ番組(66.0%)」「検索エンジン(GoogleやYahoo!など)(54.9%)」「ニュースサイト・アプリ(50.4%)」「Instagram(50.2%)」が上位になりました。さらに、積極的に触れるツール・媒体は、「X(旧:Twitter)(45.3%)」「テレビ番組(36.0%)」「検索エンジン(GoogleやYahoo!など)(33.6%)」「Instagram(32.0%)」「動画配信サービス(ショート以外)(28.9%)」となりました。
使用者が多いものを中心に情報収集ツール・媒体の使い分け※図6を見ていくと、X(旧:Twitter)は「最新の情報を知る(25.4%)」が最も回答の多かった使い方となり、テレビは「たまたま時事問題やニュースの情報が目に入ってくる(24.2%)」もの、検索エンジンは「手軽・気軽に情報を得る(26.7%)」ものとして、使い分けをされていることがわかります。同じSNSでも、InstagramやTikTokは「同世代や自分の周囲の人の注目度の確認(Instagram=19.9%、TikTok=21.2%)」という使い方が最も多くなっています。
グループインタビューでは、「19時くらいに家でご飯を食べる時に、大体ニュース番組がついているので見る」「昔は夜ご飯のときにテレビを見ていたが、今は家にいる時間が部活や塾で減ってしまったので見られなくなった」といった声や、「たった今起こった事件についてはX(旧:Twitter)を見てしまう」などの声がありました。また、「TikTokでニュースの概要だけを知って、Instagramの信頼しているアカウントで詳しく解説を見る」など、複数のSNSを駆使して情報を読み解いている例もありました。
さらに、各メディアのイメージ※図7を聞いてみると、X(旧:Twitter)については「情報のスピード感がある(17.6%)」、テレビは「情報に忖度が多い気がする(14.0%)」、検索エンジンは「知りたい情報が早く知ることができる(19.8%)」という回答が最も多くなっています。また、同じSNSでもInstagramは「自分向けの内容が多い(12.2%)」、TikTokは「ソースがしっかりしていないように感じる(10.9%)」という回答が多くなっています。
グループインタビューでは「テレビはテンポ感が自分に合わない。しかも興味がある話題がいつ出てくるかも分からないから、無駄だと思う時がある」「ショート動画で様々なニュースが目に触れる。時間のロスなく見られるのがショート動画の良いところ」など、タイパ(タイムパフォーマンス)を気にする声がありました。また、「Instagramはプロフィール画面で色々なニュースの投稿を並んでいるのを見て興味があるものを詳しく見る。逆に興味があるものしか見なくて視野が狭くならないか心配」「テレビ番組で、芸能や政治系の話題で特定の層や意見の肩を持っていると、偏った番組だなという印象になる」「基本的にテレビ番組のニュースの報道内容は間違っていないと思っているが、民放ニュースでコメンテーターが事実とは限らない個人的見解を大々的に述べていると間違った印象がつきやすいと思う」などの声もありました。
各メディアに対してどの程度信頼できるか※図8を図にしてみると、新聞やテレビ、ラジオに関しては「信頼できる」割合が7割を超えており、SNSよりも信頼度が高いことがわかります。全体で見ると信頼度は「新聞(77.1%)」が最も高く、「TikTok(29.3%)」が最も低くなりました。
グループインタビューでも、「テレビは信用できるが(個人が発信している)TikTokはたまに話を盛っていると聞くので、あまり信用していない。テレビ局が運営しているアカウントのTikTokの投稿だけ信じている」という声がありました。
また、各メディアの時事ネタやニュース視聴について深堀りした質問※図9をしたところ、76.0%のZ世代が「マスメディアの報道は、なんらかの忖度をしている気がする」と回答。SNSでの視聴について、68.0%が「『解説動画』をSNS(動画配信サービスを含む)で視聴したことがある」、62.2%が「コメント欄やSNSでの他人の意見をみて、考えが変化したことがある(ニュースサイトのコメント欄やX(旧:Twitter)のコミュニティノートを含む)」、39.6%が「時事ネタやニュースについての情報や感想を自分から発信したことがある」という回答を得られました。
実際に、グループインタビューでは「戦争に関するニュースに関して、TikTokのコメント欄の内容をきっかけに興味を持って検索エンジンで調べたところ、一方的に悪者だと思っていた国が、実は相手国から長い間被害を受けてきたという歴史を知った」などSNSで時事ネタ・ニュースを見る際にはコメント欄まで見る姿勢と、それによる影響も受けていることがわかりました。
【3】約8割のZ世代が「信頼できる情報がわからない」。彼らの求める報道のカタチとは
時事ネタやニュースの情報を収集する際※図10、80.9%のZ世代が「情報の切り取り方や切り抜き方が偏っていると感じる」と感じており、78.2%が「信頼できる情報がわからない」と感じているようです。
SNSで時事ネタやニュースの情報を収集する際に閲覧している※図11のは「一般人の意見・考え方(35.3%)」「テレビ局や新聞社がSNSに投稿しているコンテンツ(34.2%)」「影響力のある人(芸能人・著名人など)の解説・まとめ情報(27.6%)」が多いようです。
1つの話題・ニュースに対して情報収集の時にチェックするツール・媒体の数※図12の平均は3.23となり、2つ以上チェックしているのは全体の68.4%となりました。記事数※図13で見てみると、平均3.27記事となり、2記事以上チェックしているのは66.0%となりました。これまでのグループインタビューでの発言でも見られるように、Z世代は時事ネタやニュースの正しさを検証するために複数の情報元を参照することを当たり前に行っていることがわかります。
時事ネタやニュースの真偽を判断(ファクトチェック)することについても、調査を行っています。インターネット上の時事ネタやニュースに関する情報をチェックする際に気をつけていること※図14として、「動画や画像などの証拠がある(36.2%)」「テレビや新聞など他のマスメディアでも報道されている(35.8%)」「グラフなどの数値的な根拠がある(32.7%)」が重視されている一方で、テレビ番組の情報のファクトチェックについて※図15は、「SNSで一般人の意見や考えを確認する(30.4%)」「検索エンジンを使って検索する(28.0%)」「他のテレビ番組の内容を見る(27.6%)」といった内容が重視されており、SNSとマスメディア、ともに使いこなしながら、情報の信憑性を見極めていることがわかります。グループインタビューでは、「X(旧:twitter)のほうが細かい情報がわかるが真偽は不明で、テレビのニュースは確定している大まかな情報を発信しているという印象があるので、それぞれ正しそうな情報を組み合わせて理解していくイメージ」という声が聞かれました。
最後に、時事ネタやニュースの情報収集を行う際に、求めている情報※図16については、「中立で公平な意見(32.7%)」「忖度や私情が入っていない情報(32.7%)」「出来事の背景となる情報(32.4%)」が上位に上がっています。また、時事ネタやニュースの情報収集の際に感じたことがあるもの・経験したことがあること※図17については、80.3%が「1つの結論よりも多角的で多様な意見を知りたい」、61.5%が「結論を決めつけるよりも問いを投げかけてくれるような発信が好きだ」と回答しています。グループインタビューでは、「片方ではなくて両方の意見を知ることができるような情報発信をして欲しい。テレビは結論を出したがるが、いろいろな方向から見た意見を話し合ってほしい。せっかく専門家がいるのに」といった意見が聞かれました。
【4】SHIBUYA109 lab.所長が分析!報道において求めているのは、質・幅・バランス。過激なSNSニュースに疲れも?
マスメディアやSNSなど複数の情報源を駆使して時事ネタに触れている若者ですが、視点の偏りやフェイクニュースに対する強い警戒心がうかがえます。1つのトピックスに対して多様な視点があることが前提となっているため、Z世代は中立的な姿勢で情報と向き合いたいという意識が強く、1つの結論よりも多様な意見を知ることができる報道を求める傾向にあります。
また、常に情報過多な環境下にあることから、情報接触において受動的な姿勢も見られます。しかし、必要な情報は取捨選択しており、ニュースの長さや内容の深さも自分のタイミングや関心度に合わせて使い分けています。
一方で、私人逮捕や暴露系アカウント等、報道機関以外から発信される過激なトピックスに対しては、「情報疲れ」の様子も窺えます。「BeReal」などの少人数で楽しむSNSや、SNSを離れて自然を楽しむときに使われるInstagramのハッシュタグ「#自然界隈」からは、こうした情報から距離を置きリフレッシュしたいという欲求を感じ取ることができます。
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