「2024年問題」始まる、物流・製造業の中小企業の5割が「毎日FAXを使う」 DX・SaaSの言葉、建設業では「聞いたことがない(DX55.9%、SaaS81.2%)」
物流・建設・製造業✖️中小企業の社長・バックオフィスの回答を分析
分析の背景と狙い
「2024年問題」を機に、物流業・建設業では業界全体を広く巻き込んだ、デジタル対応などによる労働生産性の向上が求められています。製造業においても「2024年問題」はサプライチェーンの観点から想定通りの納期でモノづくりを行えなくなるなど事業運営に深刻な影響を与える恐れがあるとされています。しかし、これらの業界はリアルな「現場」でモノや人が動くため、その隅々までITツールを行き渡らせ活用を進めることは簡単ではありません。加えて、これら業界の構造的な問題を解く必要があると考えられます。
物流業・建設業・製造業の特徴として、いずれも産業のバリューチェーンが長いこと、複数の下請け企業がトップ企業を支える「多重下請け構造」や「ピラミッド構造」と呼ばれる仕組みが挙げられます。この構造を支える企業の多くは売上・組織ともに小さな中小企業です。収益を上流企業に依存しているため、企業間の情報のやりとりの手段も含めた業務の進め方を下請け企業だけで決めることができません。取引先との受発注の情報伝達が紙や口頭ベースで行われれば、企業内部の業務もそれに倣う方が負荷が低いと判断されやすくなります。
また、企業規模が小さくなるほど採用の競争力は上がりにくく利益率も低くなる傾向があるため、デジタルに精通した人材やIT投資額の確保が困難になり、周囲から助言を得たり事例をインプットすることが難しくなります。そのため、DXやSaaSといったキーワードや対応の必要性やメリットも十分に周知されにくくなります。
こうした、業界や中小企業ならではの構造的な課題とDX対応にどのような相関があるか、示唆を得ることを目指し分析を行いました。尚、本調査は社長とバックオフィス担当者を対象に行いました。中小企業において社長の意向は現場の取り組みに強く影響すると考えられるからです。
調査結果サマリー
・社外との連絡手段、物流業・製造業のおよそ2人に1人が「毎日FAXを使う」と回答
Web会議とビジネスチャットを「使用しない」のは建設業が最多
・従業員30名以下の企業では7割が「紙や口頭で業務を行っている」と回答
物流業では企業規模が大きくなってもDX対応に遅れがみられる
・建設業と物流業、2人に1人がDXを「聞いたことがない」と回答
SaaSを「聞いたことがない」、建設業では8割超で全体を1割上回る
・SaaS活用、製造業では「既に導入し、活用している」が38.2%と全体を4.6ポイント上回る
物流業では27.7%と全体を5.9ポイント下回りデジタル化に遅れがみられる結果に
・導入しているSaaSツール、3業界いずれも「Web会議」が4〜5割とトップ、
製造業ではビジネスチャットの導入率が35.0%と全体を4.7ポイント上回る
・従業員のSaaSの使いこなし度合い、3業界いずれも「6〜7割以上が使いこなせている」の回答が6割を超えるのはビジネスチャットのみ
・デジタル化推進の課題は、3業界いずれも「金銭面のコストが大きい」がトップ。次いで物流業では「時間やコストをかけて取り組んでも、効果を得られるイメージがわかない」が26.8%、建設業・製造業では「社内に詳しい人がいない・旗振り役がいない」が29.7%、28.9%であった
調査概要
・調査名称:中小企業の経営課題とDX、SaaS、リスキリングの実施状況・意向調査
・調査目的:中小企業を取り巻く外部環境変化と、重要視されるDXとSaaS活用、リスキリング等についての実行状況や意向について、経営者の意識と関連付けて明らかにする
・調査手法:インターネット調査(調査会社:株式会社アスマーク)
・調査時期:2023年10月20日〜23日
・調査対象者:中小企業(300名以下)の社長1,055名とバックオフィス担当者1,070名の回答、合計2,125名の回答を集計。
・有効回答数:本調査2,125名 (スクリーニング調査4,108名)
・業種別:物流業224名、建設業478名、製造業374名
調査結果グラフ一部抜粋
以降の詳細、全文PDFはこちら
https://corp.chatwork.com/ja/document/pressrelease/Chatwork_research_industry_01_2404.pdf
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