【国立科学博物館】「のび太」の夢を叶えた“ノビタイ”足跡化石のレプリカ公開 国立科学博物館でミニ企画展開催
日本の人気漫画「ドラえもん」のファンであるシン・リーターXing, Lida(邢立达)中国地質大学(北京)准教授は、中国の四川省で発見された肉食恐竜の足跡化石に「のび太」の名前を献名し、エウブロンテス・ノビタイと命名しました。
独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)はシン・リーター准教授と研究交流があることから、エウブロンテス・ノビタイの足跡 1 点のレプリカが寄贈されることになり、このレプリカを公開し、足跡化石とその研究についてミニ企画展を開催します。
独立行政法人国立科学博物館(館長:篠田謙一)はシン・リーター准教授と研究交流があることから、エウブロンテス・ノビタイの足跡 1 点のレプリカが寄贈されることになり、このレプリカを公開し、足跡化石とその研究についてミニ企画展を開催します。
- ミニ企画展 開催概要
【会 期】令和3年11月30日(火)~12月12日(日)
【入 館 料 】一般・大学生:630円(団体510円)税込、高校生以下および 65歳以上無料 ※本展は常設展示入館料のみでご覧いただけます。
【休 館 日 】毎週月曜日 ※会期等は変更となることがあります。
【入館方法】新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を実施しています。
※ 入館の際は、当館ホームページでの事前予約が必要です。
※ 入館前に検温、体調等の確認をし、発熱等がある場合は入館をお断りします。
※ 入館方法の詳細等については、当館ホームページの予約サイト( https://www.kahaku.go.jp/news/2020/reservation/index.html )をご覧ください。
【ノビタイ命名の経緯】
シン准教授は子供の頃からの「ドラえもん」ファンで、2020年の「映画ドラえもん のび太の新恐竜」の中で、のび太が新種の恐竜に自分の名前をつけるシーンがあったことから、のび太の夢を叶えたいと思ったそうです。学名はラテン語の文法で綴られるのが基本で、「のび太」に人名を示す接尾辞「i」(イ)をつけてノビタイと命名しました。
【ノビタイの足跡化石】
ノビタイの足跡化石は、2020年7月の四川省での集中豪雨の後、板状の岩石上に発見された4歩の足跡化石で、中型で足裏が幅広で、第2趾の指の付け根の痕跡が明瞭であることなどからエウブロンテス属に分類されました。今回の化石は、エウブロンテス属のこれまで報告されている種よりも、第2趾と第4趾の左右の開きが大きいこと、中央の指(中指)がやや外側に向いていることなどから、新種エウブロンテス・ノビタイと命名されました。
足裏の長さ(約30センチメートル)から、ノビタイは全長4メートルくらいの肉食恐竜で、足跡は、今から約1 億2500万年(白亜紀前期)前、現在の中国・四川省金魚渓(成都より南に約310km)の地面に残されたものです。この地層からは肉食恐竜の骨の化石はほとんど発見されていませんが、白亜紀前期の中国に生息した肉食恐竜にはアロサウルス類、カルカロドントサウルス類などがいました。歩幅から時速4キロメートルくらいで歩いていたものと推定されます。
エウブロンテスはもともとアメリカのコネチカット州で発見されたジュラ紀の肉食恐竜の足跡につけられた学名で、エウ(真の)+ブロンテス(地響き、雷)という意味です。二足歩行で、3本の指先には鋭いカギツメの痕があるため、肉食恐竜であることがわかります。エウブロンテスは足跡の長さが30センチメートルぐらいで、幅の広めの足を持つ肉食恐竜の足跡の学名で、19世紀にアメリカ東海岸で最初の報告がされてから、南極大陸以外の三畳紀からジュラ紀の地層から十数種が知られています。中国でもこれまでにもエウブロンテスが報告されていますが、ノビタイは5種目、白亜紀(約1億4500万年前〜6600万年前)からは初のエウブロンテスの報告となります。
【エウブロンテス・ノビタイ発見に対する真鍋 真(国立科学博物館・副館長)のコメント】
中生代の日本はアジア大陸の一部だったので、ノビタイは日本にも生息していたかもしれません。ノビタイは肉食恐竜の足跡なので、のび太が喜んでくれるのではないかと思います。ノビタイの姿を想像したり、体の化石を探したくなったりするなど、これをきっかけに恐竜や足跡化石の研究者が育 ってくれたら嬉しいです。
足跡化石は足裏の特徴しか残っていませんが、歩幅から時速を推定したり、足跡化石の集合状況から群れ行動などを推測したりすることが出来ることもあります。国立科学博物館にはイギリスの白亜紀前期の地層から発見された鳥脚類(草食)恐竜の足跡化石などが展示されています。骨格化石に比べると目立たないかもしれませんが、ノビタイをきっかけに、足跡化石にも注目していただけるようになると嬉しいです。
【シン准教授からのメッセージ】
I was on cloud nine when making this decision. Nobita and Doraemon are one of the sweetest memories of the Millennial generation in China, arousing great curiosity among us with all the fabulous imagination. Most importantly, for me, Nobita, Draemon and their adventures with dinosaurs are my childhood gems that I still recall fondly every now and then. I am pleased as punch to have an opportunity to express my intense affection.
【発表論文】
表 題:「中国四川省の白亜紀前期足跡化石の新種エウブロンテス・ノビタイの報告と竜盤類恐竜の足跡化石について」
著 者:Xing, Lida ほか
掲載紙:「古地理学雑誌 Journal of Palaeogeography」(スプリンガー・ネイチャー社発行)
下記サイトから論文の pdf を無料でダウンロードできます。
https://link.springer.com/content/pdf/10.1186/s42501-021-00096-y.pdf
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