微細藻類ユーグレナ由来化粧品原料とCELLAMENT®の組み合わせが、相加的に肌の状態の維持に貢献することを示唆する研究結果を確認しました
株式会社ユーグレナ(本社:東京都港区、代表取締役社長:出雲充、以下「ユーグレナ社」)とインテグリカルチャー株式会社(本店:東京都文京区、代表取締役CEO:羽生雄毅、以下「インテグリカルチャー」)は、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ、以下「ユーグレナ」)から抽出した化粧品原料である加水分解ユーグレナエキス※1およびユーグレナエキスEX※2と、インテグリカルチャーが独自開発した化粧品原料である「CELLAMENT®(セラメント)」(以下「セラメント」※3)の組み合わせが、相加的に肌の状態の維持に貢献することを示唆する研究結果を確認したことをお知らせします。
※1 加水分解(水の作用により成分が分解する反応)にてユーグレナから得た保湿成分
※2 2022年2月3日リリース https://www.euglena.jp/news/20220203/
※3 インテグリカルチャーの独自の細胞培養の技術から生まれた、タマゴ由来の細胞培養上清液。2021年4月7日リリース https://integriculture.com/news/119/
※1 加水分解(水の作用により成分が分解する反応)にてユーグレナから得た保湿成分
※2 2022年2月3日リリース https://www.euglena.jp/news/20220203/
※3 インテグリカルチャーの独自の細胞培養の技術から生まれた、タマゴ由来の細胞培養上清液。2021年4月7日リリース https://integriculture.com/news/119/
■研究の目的
これまでにユーグレナ社では、加水分解ユーグレナエキスが真皮線維芽細胞※4の増殖を促進することや、表皮角化細胞※5の増殖を促進し、バリア機能を強化することを報告しました※6。また、ユーグレナエキスEXについて、ヒトの真皮線維芽細胞や表皮角化細胞の増殖を促進するとともに、老化した細胞を除去する可能性を報告しています※2。インテグリカルチャーでは、セラメントの主成分である「鶏卵胚体外膜細胞順化培養液」※7が、肌を形作る細胞の遺伝子を若さの方向へ導く可能性などを報告しました※8。
本研究では、加水分解ユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、セラメントの組み合わせ(以下、「ユーグレナ・セラメント処方」)により、どのような有効性が期待できるかを確認するための検討を行いました。
※4 皮膚の真皮に存在する線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外基質と呼ばれる、ハリや弾力の維持に必要な物質を産生する重要な役割を担っている
※5 皮膚の最も外側にある表皮は、外界の細菌などの侵入から皮膚を保護し、体内の水分が体外に過度に蒸散するのを防ぐためのバリア機能を持つ
※6 2018年10月16日リリース https://www.euglena.jp/news/20181016-2/
※7 鶏卵(受精卵)の中の胎盤様組織細胞を共培養し、そこから得られた細胞培養上清液
※8 2022年2月2日リリース https://integriculture.com/news/1563/
■研究の内容と結果
ユーグレナ・セラメント処方が、ヒト表皮角化細胞の増殖に相加的に関与している可能性が示されました
ヒト表皮角化細胞に、ユーグレナ・セラメント処方、加水分解ユーグレナエキス単独、ユーグレナエキスEX単独、セラメント単独をそれぞれ添加し、培養しました。その結果、何も添加せず培養したコントロールと比較して、加水分解ユーグレナエキス単独、ユーグレナエキスEX単独、セラメント単独がそれぞれヒト表皮角化細胞の増殖を促進するとともに、ユーグレナ・セラメント処方では相加的にヒト表皮角化細胞が増殖していることが明らかになりました(図1)。このことより、それぞれの原料単独ではなく、組み合わせることでより高い効果を発揮する可能性が示されました。
ユーグレナ・セラメント処方が、毛包の発達、エイジング、皮膚の発達に関与している可能性が示されました
ヒト表皮角化細胞にユーグレナ・セラメント処方を添加して培養した後、次世代シーケンサーを用いて、網羅的に遺伝子変化を解析しました。解析の結果、ユーグレナ・セラメント処方の添加群では13,152遺伝子が検出され、何も添加せず培養したコントロールと比較して、24遺伝子が増加し、87遺伝子が減少しました。ユーグレナ・セラメント処方により発現量が増加した変動遺伝子についてエンリッチメント解析※9を行ったところ、自己分泌、核内受容体メタ経路、エストロゲンシグナル伝達経路をはじめとして、毛包の発達、エイジング、皮膚の発達などの遺伝子群が含まれていることが分かりました(図2)。
※9 発現変動遺伝子を分子間相互作用情報に基づいて構築されたネットワークと照らし合わせ、そこから生物学的意義に関する特徴や傾向を探っていく解析方法
Nuclear receptors meta-pathway; 核内受容体メタ経路:核内でDNAの転写の活性化や抑制を起こす受容体に関する経路
Estrogen signaling pathway; エストロゲンシグナル伝達経路
Hair follicle development: cytodifferentiation; 毛包の発達
aging; エイジング
skin development; 皮膚の発達
ユーグレナ・セラメント処方にすることで、各素材単独よりもコーニファイドエンベロープ※10の形成や抗酸化が促進される可能性が示されました
ヒト表皮角化細胞において、ユーグレナ・セラメント処方、加水分解ユーグレナエキス単独、ユーグレナエキスEX単独、セラメント単独をそれぞれ添加して培養した後、次世代シーケンサーを用いて、網羅的に遺伝子変化を解析しました。発現遺伝子について、2倍以上に発現が増加した遺伝子もしくは1/2以下に発現が低下した遺伝子について確認を行ったところ、コーニファイドエンベロープの主な構成成分であるロリクリン(LOR)の遺伝子発現量は、何も添加せず培養したコントロールと比べて、ユーグレナ・セラメント処方で約4倍に増加しました。また、抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1)の遺伝子発現は、コントロールと比べて、ユーグレナ・セラメント処方で約2倍に増加しました。(図3)これらの結果は、リアルタイムPCR法※11を用いた実験でも同様の傾向が確認されました。
※10 角層細胞を包む厚さ約10nmの不溶性の膜で、ロリクリンなどのさまざまなタンパク質から構成されている。角層の物理的・化学的強靭性に寄与している
※11 遺伝子の発現量を解析することができる技術
<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。
<「CELLAMENT®(セラメント)」について>
インテグリカルチャーでは培養肉製造におけるコストの大きな部分を占める成長因子や血清成分を作出するCulNet System™を開発しており、このシステムから得られる培養上清には対象となる細胞(例:筋肉細胞や肝臓細胞など)を培養するために必要な種々の有用成分が含まれます。
このCulNet System™の開発段階で得られた鶏卵胚体外膜順化細胞の培養上清がヒト皮膚にも有用であることが確認できたため、化粧品原料としての安定性を考慮したものを当社独自の化粧品原料『CELLAMENT®(セラメント)』として2021年4月に上市しました。
<インテグリカルチャー株式会社について>
独自開発の低コスト細胞培養技術”CulNet System™”をバイオ領域の新たなプラットフォームとし、動物細胞で構成される食品、皮革をはじめ、様々な分野でご活用頂けることを目指しています。CulNet Systemは、汎用性の高い細胞培養プラットフォーム技術で、動物体内の臓器間相互作用を模した環境を擬似的に構築する装置です(特許取得済み)。本技術は、理論的にはあらゆる動物細胞を大規模かつ安価に培養可能で、培養肉をはじめ、様々な用途での活用を想定しております。すでにラボスケールでは、高コストの一因であった血清成分の作出を実現しています。血清成分の内製化実現により、従来の細胞培養が高コストとなる主因の牛胎児血清や成長因子を使わずに済み、細胞培養の大幅なコストダウンを実現します。https://integriculture.com/
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。石垣島で生産したユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月に東証一部市場変更。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp
これまでにユーグレナ社では、加水分解ユーグレナエキスが真皮線維芽細胞※4の増殖を促進することや、表皮角化細胞※5の増殖を促進し、バリア機能を強化することを報告しました※6。また、ユーグレナエキスEXについて、ヒトの真皮線維芽細胞や表皮角化細胞の増殖を促進するとともに、老化した細胞を除去する可能性を報告しています※2。インテグリカルチャーでは、セラメントの主成分である「鶏卵胚体外膜細胞順化培養液」※7が、肌を形作る細胞の遺伝子を若さの方向へ導く可能性などを報告しました※8。
本研究では、加水分解ユーグレナエキス、ユーグレナエキスEX、セラメントの組み合わせ(以下、「ユーグレナ・セラメント処方」)により、どのような有効性が期待できるかを確認するための検討を行いました。
※4 皮膚の真皮に存在する線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外基質と呼ばれる、ハリや弾力の維持に必要な物質を産生する重要な役割を担っている
※5 皮膚の最も外側にある表皮は、外界の細菌などの侵入から皮膚を保護し、体内の水分が体外に過度に蒸散するのを防ぐためのバリア機能を持つ
※6 2018年10月16日リリース https://www.euglena.jp/news/20181016-2/
※7 鶏卵(受精卵)の中の胎盤様組織細胞を共培養し、そこから得られた細胞培養上清液
※8 2022年2月2日リリース https://integriculture.com/news/1563/
■研究の内容と結果
ユーグレナ・セラメント処方が、ヒト表皮角化細胞の増殖に相加的に関与している可能性が示されました
ヒト表皮角化細胞に、ユーグレナ・セラメント処方、加水分解ユーグレナエキス単独、ユーグレナエキスEX単独、セラメント単独をそれぞれ添加し、培養しました。その結果、何も添加せず培養したコントロールと比較して、加水分解ユーグレナエキス単独、ユーグレナエキスEX単独、セラメント単独がそれぞれヒト表皮角化細胞の増殖を促進するとともに、ユーグレナ・セラメント処方では相加的にヒト表皮角化細胞が増殖していることが明らかになりました(図1)。このことより、それぞれの原料単独ではなく、組み合わせることでより高い効果を発揮する可能性が示されました。
***p<0.001,**0.01,t検定(ボンフェローニ補正)vs. コントロール
ユーグレナ・セラメント処方が、毛包の発達、エイジング、皮膚の発達に関与している可能性が示されました
ヒト表皮角化細胞にユーグレナ・セラメント処方を添加して培養した後、次世代シーケンサーを用いて、網羅的に遺伝子変化を解析しました。解析の結果、ユーグレナ・セラメント処方の添加群では13,152遺伝子が検出され、何も添加せず培養したコントロールと比較して、24遺伝子が増加し、87遺伝子が減少しました。ユーグレナ・セラメント処方により発現量が増加した変動遺伝子についてエンリッチメント解析※9を行ったところ、自己分泌、核内受容体メタ経路、エストロゲンシグナル伝達経路をはじめとして、毛包の発達、エイジング、皮膚の発達などの遺伝子群が含まれていることが分かりました(図2)。
※9 発現変動遺伝子を分子間相互作用情報に基づいて構築されたネットワークと照らし合わせ、そこから生物学的意義に関する特徴や傾向を探っていく解析方法
autocrine signaling; 自己分泌:細胞が分泌するホルモンや化学伝達物質がその細胞自身に作用すること
Nuclear receptors meta-pathway; 核内受容体メタ経路:核内でDNAの転写の活性化や抑制を起こす受容体に関する経路
Estrogen signaling pathway; エストロゲンシグナル伝達経路
Hair follicle development: cytodifferentiation; 毛包の発達
aging; エイジング
skin development; 皮膚の発達
ユーグレナ・セラメント処方にすることで、各素材単独よりもコーニファイドエンベロープ※10の形成や抗酸化が促進される可能性が示されました
ヒト表皮角化細胞において、ユーグレナ・セラメント処方、加水分解ユーグレナエキス単独、ユーグレナエキスEX単独、セラメント単独をそれぞれ添加して培養した後、次世代シーケンサーを用いて、網羅的に遺伝子変化を解析しました。発現遺伝子について、2倍以上に発現が増加した遺伝子もしくは1/2以下に発現が低下した遺伝子について確認を行ったところ、コーニファイドエンベロープの主な構成成分であるロリクリン(LOR)の遺伝子発現量は、何も添加せず培養したコントロールと比べて、ユーグレナ・セラメント処方で約4倍に増加しました。また、抗酸化酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HMOX1)の遺伝子発現は、コントロールと比べて、ユーグレナ・セラメント処方で約2倍に増加しました。(図3)これらの結果は、リアルタイムPCR法※11を用いた実験でも同様の傾向が確認されました。
※10 角層細胞を包む厚さ約10nmの不溶性の膜で、ロリクリンなどのさまざまなタンパク質から構成されている。角層の物理的・化学的強靭性に寄与している
※11 遺伝子の発現量を解析することができる技術
今後もユーグレナ社とインテグリカルチャーは、ユーグレナおよびその含有成分やセラメントのさらなる解明を通して、化粧品原料の研究開発を行っていきます。
<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。
<「CELLAMENT®(セラメント)」について>
インテグリカルチャーでは培養肉製造におけるコストの大きな部分を占める成長因子や血清成分を作出するCulNet System™を開発しており、このシステムから得られる培養上清には対象となる細胞(例:筋肉細胞や肝臓細胞など)を培養するために必要な種々の有用成分が含まれます。
このCulNet System™の開発段階で得られた鶏卵胚体外膜順化細胞の培養上清がヒト皮膚にも有用であることが確認できたため、化粧品原料としての安定性を考慮したものを当社独自の化粧品原料『CELLAMENT®(セラメント)』として2021年4月に上市しました。
<インテグリカルチャー株式会社について>
独自開発の低コスト細胞培養技術”CulNet System™”をバイオ領域の新たなプラットフォームとし、動物細胞で構成される食品、皮革をはじめ、様々な分野でご活用頂けることを目指しています。CulNet Systemは、汎用性の高い細胞培養プラットフォーム技術で、動物体内の臓器間相互作用を模した環境を擬似的に構築する装置です(特許取得済み)。本技術は、理論的にはあらゆる動物細胞を大規模かつ安価に培養可能で、培養肉をはじめ、様々な用途での活用を想定しております。すでにラボスケールでは、高コストの一因であった血清成分の作出を実現しています。血清成分の内製化実現により、従来の細胞培養が高コストとなる主因の牛胎児血清や成長因子を使わずに済み、細胞培養の大幅なコストダウンを実現します。https://integriculture.com/
<株式会社ユーグレナについて>
2005年に世界で初めて石垣島で微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養技術の確立に成功。石垣島で生産したユーグレナ・クロレラなどを活用した機能性食品、化粧品等の開発・販売を行うほか、バイオ燃料の生産に向けた研究、遺伝子解析サービスの提供を行っています。また、2014年より行っている、バングラデシュの子どもたちに豊富な栄養素を持つユーグレナクッキーを届ける「ユーグレナGENKIプログラム」の対象商品を、2019年4月より化粧品を含む全グループ商品に拡大。2012年12月東証マザーズに上場。2014年12月に東証一部市場変更。「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」をユーグレナ・フィロソフィーと定義し、事業を展開。https://euglena.jp
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