詩や童話だけじゃない! 表現者・宮沢賢治の礎となった短歌を味わえる一冊『アルカリ色のくも 宮沢賢治の青春短歌を読む』が発売

~現代歌人9名が賢治短歌を鑑賞。賢治の心情に寄り添いながら、今なお解釈不十分の謎を紐解きます~

「雨ニモマケズ」、「銀河鉄道の夜」、「注文の多い料理店」――。これらの作品で有名な宮沢賢治は想像力豊かな詩人・童話作家というイメージがありますが、彼の表現者としての出発には短歌がありました。このたび発売の『アルカリ色のくも 宮沢賢治の青春短歌を読む』(NHK出版、2021年2月20日刊)では、9名の新進気鋭の歌人※が参加し、これまで十分に評価されてきたとは言い難い賢治短歌を鑑賞、その真の魅力に迫ります。

※内山晶太、大西久美子、尾﨑朗子、梶原さい子、嵯峨直樹、堂園昌彦、土岐友浩、横山未来子、吉岡太朗

 宮沢賢治が岩手県稗貫郡里川口村(現花巻市)に生まれたのは、明治29(1896)年8月27日です。同じ年の6月15日には、明治三陸大津波が起きており、以後、東北の地は洪水・凶作・疫病などにたびたび襲われています。これらの出来事は、東日本大震災から10年を経て、やっと立ち直ろうとしたときに、今度は新型コロナウイルス禍に苦しむ事態となった現在と重なるものがあります。
 苦境に立たされるたび、賢治を読み直してみたくなる――。これはいったいなぜなのか。そもそも表現者としての賢治はどのようにして生成されてきたのか。この問いに立ったとき、賢治の青春期における唯一の表現が、「五七五七七」の短歌であったことが思い返されるのです。

屋根に来てそらに息せんうごかざるアルカリいろの雲よかなしも

 これは本書のタイトルの由来である賢治の短歌です。定型には当てはまっていますが、既成の短歌の考えからは何かがずれています。とはいえ、ずれていながら、不思議な魅力もあります。そんな賢治短歌をどのように読んでいったらいいのか、本書で9名の歌人がその謎に取り組みます。第一部は歌人たちによる鑑賞録、第二部は編著者である佐藤通雅氏による書き下ろし解説「賢治短歌の成立」となっています。

 賢治短歌には、あちこちに不可思議さが散在しています。その分、思わぬ魅力に出会ったり、自分なりのとらえ方を見つけたりできるかもしれません。短歌をやっている人も、やっていない人も、ぜひ賢治短歌の世界に浸ってみませんか。

■賢治短歌の収載例
  • 風さむき岩手のやまにわれらいま校歌をうたふ先生もうたふ
明治44(1911)年の作と言われており、盛岡中学校時代の岩手登山が背景にある。「うたふ」の単純なリフレインが効いている。
 
  • 検温器の 青びかりの水銀 はてもなくのぼり行くとき 目をつむれり われ
大正3(1914)年、17歳のときの作。昔ながらの体温計に使われていた水銀。普段目にすることのない液状の銀色の輝きが持つ妖しい美しさを詠んでいる。
 
  • 「何の用だ。」「酒の伝票。」「誰だ。名は。」「高橋茂吉。」「よし。少こ、待で。」
高等農林時代に詠まれた、方言の会話体をした短歌。高橋茂吉は盛岡中学時代の寮の同級生のよう。中学時代に高橋がお使いに行ってくれたときの回想、高等農林時代に酒屋で働いていた高橋が寮まで伝票を持ってきたなど、いくつかの可能性が考えられる。

【編著者】
佐藤 通雅(さとう・みちまさ)
1943年、岩手県生まれ。歌人・評論家。東北大学教育学部卒業。「路上」編集発行人。歌集『昔話』、『強霜』(詩歌文学館賞)、『連灯』等。評論集『詩人まど・みちお』『賢治短歌へ』『宮柊二「山西省」論』等。


■『アルカリ色のくも 宮沢賢治の青春短歌を読む』構成

序――賢治短歌への入場券
第一部――宮沢賢治の短歌鑑賞
鑑賞――[第一期] 盛岡中学校時代
    [第二期] 盛岡中学校卒業から盛岡高等農林学校入学まで
    [第三期] 盛岡高等農林学校時代
    [第四期] 盛岡高等農林学校卒業以後
第二部――解説 賢治短歌の成立 佐藤通雅
宮沢賢治年譜


■商品情報


出版社:NHK出版
発売日:2021年2月20日
定価:1,760円(本体1,600円)
判型:四六判
ページ数:320ページ
ISBN:978-4-14-016280-4
URL:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000162802021.html
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