Hubble、契約業務の“進め方”を支援するAIエージェント「Contract Flow Agent」リリース
株式会社Hubble(本社:東京都渋谷区、CEO:早川 晋平、CTO:藤井 克也、CLO:酒井 智也)は、契約業務・管理のクラウドサービス「Hubble」において、契約業務フローにおける進行や意思決定を支援するAIエージェント「Contract Flow Agent(コントラクト・フロー・エージェント)」のリリースを開始することをお知らせいたします。

1. 契約業界を取り巻く変化と課題
近年、働き方改革の推進に加え、早期退職制度の拡充、人材の流動化、リモートワークの定着など、企業を取り巻く環境は大きな変化を遂げています。これにより、企業内における業務遂行のノウハウや背景知識といった“暗黙知”──すなわち、非構造的かつ属人的な知識の蓄積・継承が困難になってきました。なかでも契約業務は、その性質上属人化しやすく、「契約書の読みづらさ」「誰に何を確認すべきかの不明確さ」「過去の判断履歴の不透明さ」など、多くの課題が現場に山積しており、こうした“小さな詰まり”の連鎖が、組織全体の生産性を損ね、業務停滞の一因となっています。
2. 従来のAI活用の限界と、生成AIへの期待
こうした背景のもと、各企業ではAIを活用した生産性向上の取り組みが加速しています。しかしながら、契約業務領域におけるAIの活用は、これまで「AIレビュー」と呼ばれる契約書の条文チェックなど、限定的な文書処理にとどまっていました。
一方で、実際の契約業務は、法務部門と事業部門の連携や交渉、承認、更新といった複層的かつ文脈依存のやりとりで成り立っており、単に助言を提示するだけのAIでは、かえって判断の遅延やプロセス全体の非効率化を招くというジレンマが浮き彫りになっています。
私たちHubbleは、むしろ「判断や意思決定は人が担うべき」という信念を持ち、AIにはその前後の業務プロセスを円滑にし、迷いなく前に進めるための支援を担わせるべきだと考えています。特に生成AIは、繰り返し発生する定型的処理や意思決定の前提となる情報の整理といった、“業務を前に進める”ための支援においてこそ、真価を発揮します。
ルールや背景、文脈を理解し、人間では処理しきれない膨大な情報から最適解を導き出し、次のアクションを提案できる──それこそが生成AIの強みです。
3. 契約業務フローにおける進行や意思決定を支援する新しいAIエージェント「Contract Flow Agent」
「Contract Flow Agent」は、Hubble上に蓄積された契約業務の履歴、やり取り、承認プロセス、社内判断基準などをAIが横断的に参照し、「次に何をどう進めるべきか」を提示します。たとえば、担当者が法務に契約審査を依頼する際の前提情報を整理したり、過去の類似事例を参照し進行方法をガイドしたりすることで、担当者が迷わず判断を下せる環境を提供します。これにより、属人性の排除、業務品質の標準化、さらには定型処理の自動化による生産的な業務への集中が可能となります。
「Contract Flow Agent」は、そうした柔軟かつ革新的な業務支援のあり方を具現化するものであり、従来の「契約書を見る(レビューする)AI」ではなく、「契約業務を前に進めるAI」という新たなカテゴリを創出します。
4. 「Contract Flow Agent」の独自性
Hubbleはサービス開始当初より、契約業務を「一貫したデータフロー」として捉え、契約書の編集・コメント・承認・管理・更新に至るまでのプロセスと履歴を、構造化して蓄積するアーキテクチャを構築してきました。契約の発生・起案から締結後の保管・管理に至るまで、契約業務におけるドキュメント、やりとり、関連情報、履歴が、一貫したユーザーの権限構造に基づいて一元的に管理されています。
この一元的なデータ基盤はHubbleの重要な資産であり、AIエージェントである「Contract Flow Agent」はその上に実装され、業務フロー全体を支援します。
Hubbleのこのアプローチは、従来型の「モジュール型」リーガルテック(例:業務プロセスごとに案件管理・レビューや文書管理が分断されているシステム)とは根本的に異なります。
「モジュール型」システムでは、各機能が独立しているため導入コストは低い反面、データは分散しがちであり、各プロセスごとにユーザーの権限設定が統一されておらず、AIエージェントによるデータ活用の際にはデータボリュームや権限セキュリティの観点から、分析や判断支援に限界が生じます。これに対し、Hubbleは契約業務全体を統合的に設計し、データを一貫したフローとして管理しているため、AIエージェントがより高度でセキュアな支援を行うための基盤を有しています。
「Contract Flow Agent」は、あらかじめ設定されたルールブックや、業務フローの様々なプロセスで日々蓄積される膨大な契約業務ナレッジデータベースを参照し、ユーザーの権限に応じて、その時点における最適な次のプロセスを明確に提示します。
ユーザーはこれまで通りの業務フローを進めながら、自然なかたちで「進め方」のガイドを得ることができ、「Contract Flow Agent」は意思決定と業務進行を支える“伴走者”として機能します。
契約業務における「迷い」や「止まり」をなくし、現場が本来注力すべき価値ある判断に集中できる世界の実現を目指します。
5. 「Contract Flow Agent」が提供する仕組み

【Contract Flow Agentで実装される契約業務フロー全体の仕組み一覧(2025.7時点)】
「Contract Flow Agent」は、2025年10月以降を目安に、主要機能の段階的なリリースを予定しています(一部機能はβ版として既に提供を開始)。各機能の正式提供時期は、ユーザーからのフィードバックや開発状況に応じて順次調整予定です。詳細なリリーススケジュールについては、確定次第、順次弊社サービスサイト(https://hubble-docs.com/)にてご案内いたします。
以下では、この「Contract Flow Agent」によって実装される、契約業務全体をカバーする仕組みを紹介します(一部β版含む)。
(1) 前捌き(契約書起案前・案件管理):アップロードだけで完結する法務への申請
営業などの事業部門は、契約書案や見積書、提案書、メモをドラッグ&ドロップでアップロードするだけで、申請が完了します。AIが数秒で取引先や金額、期間、更新条件を抽出し、商流を整理した「契約スキーム」を自動で図にまとめるため、フォーム入力や資料作成は不要です。法務が必要とする情報を整理できるため、事業部門と法務のやり取りの回数やリードタイムが大幅に短縮され、契約の品質も向上します。
さらに AIは、アップロードされた内容を判断し、業務フローを最適化します。たとえば 定型的なNDAのドラフトがアップロードされた場合は「法務確認は不要なので取引を進めてください」と案内し、業務委託契約書をマネージャーが登録した場合には「部長の〇〇さんに確認依頼を送りますか?」と具体的にナビゲートします。このように AI が法務への相談や確認業務を前捌きすることで、契約業務のスピードは大幅に向上します。

(2) 契約書作成・編集(契約書起案・発生):取引内容に応じた契約書ドラフトを提案
取引金額や業務内容、提案書に記載された情報など、ビジネス文脈に応じて、「Contract Flow Agent」が自社の契約書ひな形や契約類型別の社内ルール、過去の類似事例、条項集を参照し、案件にフィットした契約書ドラフト案を自動で構成・提案します。
※契約書内容の編集にあたっては、弁護士法に則り、AIによる法律判断や独自の条文起案は行いません。
たとえば過去の社内実績や既定ルールに照らして修正が必要な箇所を網羅的に指摘し、具体的な文言案を提示。事業部門や法務担当者は、内容の妥当性確認と承認に専念でき、作成業務の効率が大幅に向上します。
この仕組みにより、契約書作成の初期段階から論点が網羅された状態が整い、後工程のレビューや調整作業の負担が軽減されます。
(3) ひな形・マニュアルに基づきリスクを検知:レビュー(審査)の品質向上・組織ナレッジへ
AIが自社の契約書ひな形や法務マニュアルに基づき、契約書内に潜むリスクや不整合を自動で検知します。条文の抜け漏れや法的妥当性の観点での不備を洗い出し、整合性・網羅性を向上させます。さらに、過去の類似契約との比較を通じて、表現の違いや対応方針の差異を明示し、案件ごとに最適な判断を支援します。
このプロセスは対話形式で行われ、AIが質問や指示に応じて逐次的にレビューを進行。たとえば、自社基準との違いを整理して指摘したり、英文契約の内容を日本語で要約して提示したりといった支援が可能です。事業部門にとっても理解しやすく、レビューの主体的参加が可能になります。法務の専門性とスピードを両立させる次世代の契約審査支援です。
既に大手企業を中心に複数社がβ版を導入しており、「契約レビューのスピードが速くなった」「論点が明確になるのでレビューの精度が上がった」「簡単に使えて、フローに馴染む」といったフィードバックが寄せられています。

(4) 承認ガイダンス (押印申請・捺印):承認フローにおける“滞留”と“迷い”をなくす、ナビゲーション
契約書の類型、組織の承認フロー、担当者情報などをもとに、AIが「誰が・いつ・どの契約を確認・承認すべきか」をリアルタイムに判断し、HubbleのUI上で次のアクションを明示します。たとえば全承認が完了した後には、「〇〇株式会社との契約締結に向け、電子署名依頼を送信しますか?」というように、電子署名システムと連携した締結案内まで自動でガイドします。
従来、属人的な把握や個別の連絡に頼っていた進行管理が、AIによって一元的に可視化され、全関係者が迷わず対応可能に。押印申請後の承認滞留や対応漏れを未然に防ぎ、契約業務の停滞を解消し、組織全体の判断と意思決定スピードの向上を支援します。

(5)契約更新ガイダンス(契約管理):重要契約の見極めと対応をAIがサポート
AIが契約内容や取引金額、契約期間などの情報をもとに、更新対応の優先度を自動で判断します。重要な契約については、適切なタイミングで更新アラートや具体的な対応提案を通知します。
たとえば、締結済みの契約に対して「この契約は半年後に更新が必要です。取引金額が大きいため、見直しを推奨します」といった通知がGmailやSlack、Salesforceなどを通じて自動で送信されます。
単なる期限管理にとどまらず、“対応すべき契約”に業務リソースを集中させ、契約の最適化を継続的に支援します。
※これまでHubbleでは、契約業務フローの「保管・管理」フェーズにおいて、「カスタム項目自動抽出」や「関連契約の自動紐付け」といったAI機能を先行して実装してきました。今回、契約の起案・審査・承認・締結・更新といった全プロセスにおいてAIによる支援を拡張するにあたり、それらを体系的に統合する概念として新たに打ち出すのが「Contract Flow Agent」です。
6. Hubbleによる手厚いAI活用支援
Hubbleは、契約業務に特化した生成AI活用を支援するため、実務に即したプロンプトを個社ごとに設計し、導入後の運用までテックサポートが伴走します。難しい設定なしに、現場ですぐ使える高精度なAI出力を実現できるのが特長です。他社にはない実務最適化されたプロンプト設計力こそがHubbleの強みであり、契約業務において生成AIを"使える水準"で活用することを支援します。
7.お客様の声
GMOフィナンシャルゲート株式会社
コーポレートサポート本部 法務部 部長 西澤 朋晃 様
初めて早川社長からAI構想の方向性を伺った際、「その領域に注力するのか」と大きな驚きを覚えると同時に、企業法務の実務を担う立場として深い納得感を抱きました。なぜならHubble社は、サービス初期からユーザー自身が気づきにくい潜在ニーズを可視化し、先回りで解決する力に長けているからです。
今回の新機能は、そのDNAを一段と深化させ、契約業務を個別タスクではなく業務フロー全体で捉え直す発想から生まれており、単なる効率化を超えた業務変革(真のDX)をもたらすと確信しています。これまでの成長軌跡が私自身の思考プロセスと重なる部分も多く、今後の進化を想像すると胸が高鳴ります。この先も続くイノベーションに大いに期待しています。
8. 代表コメント 株式会社Hubble 代表取締役CEO 早川 晋平
契約業務は、内容のレビューやドキュメントのやり取りだけで完結するものではありません。関係者間の認識調整や判断の積み重ねといった、“目に見えないプロセス”がその裏には必ず存在します。私たちは、そこにこそ組織の知恵や文化が宿ると考えています。
こうした目に見えないプロセスは、ときに「どう進めればいいのか分からない」「誰に確認すればいいか迷う」といったかたちで、業務の流れに見過ごせない停滞をもたらします。判断の背景や進め方が共有されないまま時間だけが過ぎていく──その積み重ねが、現場のストレスや非効率を生む温床となっています。
この停滞が取り除かれれば、業務は自然と前に進みます。コミュニケーションは滑らかになり、判断や連携の手応えが増すことで、共に働く仲間との信頼も育まれていきます。契約という共通の基盤の上で働きやすさが高まり、組織文化は少しずつ、しかし確実に豊かになっていく──それが、私たちHubbleが向き合い続けてきたテーマです。
「Contract Flow Agent」は、そうした現場の迷いに寄り添いながら、これまでに蓄積されたプロセスや社内の判断基準をもとに、「次にどう進めるべきか」を示してくれる存在です。判断を肩代わりするのではなく、判断の前提を整える。人がその個性や創造力を発揮できるよう、現場の前進を後押しする存在でありたい。
私たちはこれからも、手触りのある課題にテクノロジーで向き合い、働く人の力が自然と引き出される世界をつくっていきます。
・「Contract Flow Agent」特設ページ:https://lp.hubble-docs.com/ContractFlowAgent
9.イベント告知

CFA に関する理解をさらに深めていただける機会として、2025 年 9 月 19 日(金)に「Legal Leaders Conference 2025 〜戦略×AI×法務〜」を開催します。本カンファレンスでは、AI の進化や経営スピードへの対応といった課題を前提に、戦略的な法務のあり方を探る実務家向けの対話の場を提供します。
注目セッションとして、日本組織内弁護士協会理事(Airbnb)弁護士 渡部 友一郎氏とHubble CLO 酒井 智也による、企業法務と事業部門の共創に関する対談を実施いたします。さらに、契約業務 AI「Contract Flow Agent(CFA)」について、Hubble CEO 早川 晋平と GMO フィナンシャルゲート 法務部長・西澤 朋晃氏が開発と実務それぞれの視点から議論します。
〈開催概要〉
日 時 :2025年9月19日(金) 15:00〜20:45(開場14:30)
会 場 :渋谷ストリームホール(〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3丁目21-3)
開催方法 :オフライン開催(定員150名)
参加費 :無料
特設サイト:https://lp.hubble-docs.com/LLC2025
◆「Hubble(ハブル)」とは
人とAI、法務と事業部門の協業性を向上させ、契約業務基盤の構築と定着を支援するクラウドサービスです。継続率は99%で、上場企業を中心に多くの企業に長くご利用いただいています。契約書の審査依頼から作成、検討過程や締結済契約書の管理まで、AIを活用しながら一気通貫でご利用いただけます。
また、コミュニケーションツールや電子契約システム等とのAPI連携も充実しており、既存ツールとの併用も可能です。
業界初の「カスタム項目AI自動入力」機能(自社調べ)を搭載し、契約書管理に必須の主要9項目に加え、自社独自で管理したい項目も業界・業種を問わず自由に設定・運用いただけます。改正電子帳簿保存法にも完全対応(JIIMA 認証取得)しており、更新期限の自動通知、柔軟な権限設定、紙と電子の契約書を横断して検索できる機能なども備え、セキュアで網羅性の高い契約データベースを構築することができます。
・サービスサイト:https://hubble-docs.com
◆株式会社Hubble 会社概要
株式会社Hubbleは、「手触りのある課題をテクノロジーによって解決し、働く人の個性や創造力が発揮される未来を創出する。」をパーパスに掲げ、以下のサービスを提供・運営しています。
・ 契約業務・管理クラウドサービス「Hubble(ハブル)」https://hubble-docs.com
・ 締結済契約書を入れるだけでAIが契約データベースを構築するクラウドサービス
「Hubble mini(ハブル ミニ)」https://hubble-docs.com/lp/Hubble-mini/
・ NDAの統一規格化を目指すコンソーシアム型の NDA 締結プラットフォーム
「OneNDA(ワンエヌディーエー)」https://one-contract.com/
・ 法務の生産性を高めるメディア「Legal Ops Lab(リーガルオプスラボ)」
https://hubble-docs.com/legal-ops-lab/
Hubbleシリーズは上場企業からベンチャー企業まで業界・業種問わず500社以上にご利用いただいております(2025年7月時点)。
・ 所在地:〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西2丁目7-3 いちご恵比寿西ビル5階
・ 取締役:早川 晋平(CEO) / 藤井 克也(CTO) / 酒井 智也(CLO弁護士)
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