インフルエンザ予防接種後「腕が腫れた」経験者は67.3%、受診した人はわずか12.7%|腫 れ・かゆみの正しい対処法と受診目安を皮膚科医が解説
予防接種シーズン到来、接種部位の副反応に関する実態調査を実施
【結論】本調査のポイント
結論から言うと、インフルエンザ予防接種後の腕の腫れは多くの場合2〜3日で自然に軽快しますが、腫れが直径10cm以上に広がる場合、1週間以上続く場合、または発熱や全身症状を伴う場合は医療機関の受診が必要です。しこりが残った場合も、2週間以上改善しなければ皮膚科での診察をお勧めします。
・予防接種後に腕の腫れを経験した人は67.3%、そのうち受診したのはわずか12.7%
・腫れが引くまでの期間は「2〜3日」が最多の48.7%、一方で「1週間以上」も8.3%存在
・接種部位にしこりが残った経験がある人は23.0%、そのうち67.8%が自然消失を待った
用語解説
■ 局所反応とは
局所反応とは、ワクチン接種部位に生じる副反応の総称である。注射部位の発赤、腫脹、疼痛、硬結などが含まれ、ワクチンに対する正常な免疫応答の一部として現れる。通常は数日以内に自然軽快する一過性の反応である。
■ 硬結(こうけつ)とは
硬結とは、注射部位の皮下組織が硬くなり、しこりとして触れる状態である。ワクチン成分に対する局所的な炎症反応により生じ、数日から数週間で自然に消失することが多いが、長期間残存する場合は医療機関での評価が必要となる。
■ 蜂窩織炎(ほうかしきえん)とは
蜂窩織炎とは、皮膚の深い層である真皮から皮下組織にかけて細菌が感染し、広範囲に炎症を起こす疾患である。注射部位から細菌が侵入して発症することがあり、発赤、腫脹、熱感、疼痛を伴い、抗菌薬による治療が必要となる。
インフルエンザ予防接種後の腫れ:様子見でよい場合と受診が必要な場合の比較
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項目 |
様子見でよい場合 |
受診が必要な場合 |
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腫れの範囲 |
直径5cm未満 |
直径10cm以上または拡大傾向 |
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持続期間 |
2〜3日で軽快傾向 |
1週間以上続く |
|
全身症状 |
なし |
38度以上の発熱、倦怠感 |
|
痛みの程度 |
軽度の圧痛のみ |
安静時も強い痛み |
|
皮膚の状態 |
軽度の発赤 |
水疱、膿、潰瘍形成 |
|
しこり |
1〜2週間で消失 |
2週間以上残存・増大 |
※一般的な目安であり、個人差があります。
医療法人社団鉄結会が運営するアイシークリニック(新宿院・渋谷院・上野院・池袋院・東京院・大宮院)は、インフルエンザ予防接種シーズンを前に、全国の20〜60代の男女300名を対象に「予防接種後の接種部位の腫れ・かゆみに関する実態調査」を実施しました。本調査では、予防接種後の副反応への対処法や医療機関受診の判断基準について、皮膚科医としての見解とともにお伝えします。
調査背景
毎年10月から12月にかけてインフルエンザ予防接種を受ける方が増加しますが、接種後に「腕が赤く腫れた」「しこりができた」「かゆみが出た」といった局所反応を経験する方は少なくありません。しかし、どの程度の症状であれば様子を見てよいのか、どのような場合に医療機関を受診すべきかについて、正確な情報を持っている方は多くないのが現状です。当院には予防接種後の皮膚トラブルで来院される方も多く、正しい知識の普及が求められていることから、本調査を実施しました。
調査概要
調査対象:過去3年以内にインフルエンザ予防接種を受けた経験がある全国の20〜60代の男女
調査期間:2026年9月14日〜9月23日
調査方法:インターネット調査
調査対象人数:300名
調査結果
【調査結果】約7割が予防接種後に腕の腫れを経験、副反応は珍しくない
設問:インフルエンザ予防接種後に、接種部位(腕)の腫れを経験したことはありますか?

約7割の方が予防接種後に接種部位の腫れを経験しており、局所反応は非常に一般的な副反応であることがわかります。これは免疫が正常に反応している証拠でもありますが、症状の程度によっては適切な対処が必要です。
【調査結果】約半数は2〜3日で改善するも、8.3%は1週間以上継続
設問:接種部位の腫れは、どのくらいの期間で治まりましたか?(腫れた経験がある方)

約半数が2〜3日で腫れが治まる一方、1週間以上続いた方も8.3%存在します。1週間以上腫れが続く場合は、単純な局所反応ではなく、細菌感染などの合併症の可能性も考慮し、医療機関への相談を検討すべきです。
【調査結果】腫れを経験しても受診率はわずか12.7%、多くが自己判断で様子見
設問:接種部位の腫れや痛みで、医療機関を受診したことはありますか?

腫れを経験しても受診した方はわずか12.7%にとどまり、約半数は受診を考えることすらなかったことがわかります。軽度の症状であれば問題ありませんが、受診すべき症状を見逃している可能性も示唆されます。
【調査結果】約4人に1人がしこりを経験、長期残存例も存在
設問:接種部位にしこり(硬結)が残った経験はありますか?

約23%の方が接種部位にしこりを経験しており、そのうち約38%は1週間以上続いたと回答しています。しこりは通常自然に消失しますが、2週間以上残存する場合や増大傾向がある場合は皮膚科への相談をお勧めします。
【調査結果】最も求められるのは「受診の目安」、正確な判断基準へのニーズ高い
設問:予防接種後の副反応について、どのような情報があると安心しますか?(複数回答可を単一回答に変換)

最も求められている情報は「受診すべき症状の目安」であり、41.7%の方が正確な判断基準を必要としています。副反応は珍しくないからこそ、どこまでが正常範囲でどこからが要注意なのかを明確にすることが重要です。
調査まとめ
本調査により、インフルエンザ予防接種後に約7割の方が腕の腫れを経験しているものの、医療機関を受診した方はわずか12.7%にとどまることが明らかになりました。多くの方が自己判断で様子を見ている現状があり、適切な受診タイミングを逃している可能性があります。約半数は2〜3日で症状が改善していますが、1週間以上続くケースも8.3%存在し、また約4人に1人がしこりを経験していることから、正しい知識に基づいた対処が求められます。最も求められている情報が「受診の目安」であることからも、医療者からの適切な情報発信の重要性が示唆されました。
医師コメント|アイシークリニック 髙桑康太医師
皮膚科医として15年以上の臨床経験から申し上げると、インフルエンザ予防接種後の局所反応は免疫が正常に働いている証拠であり、多くの場合は心配不要です。ただし、症状の程度や経過によっては早めの受診が必要なケースもあります。
インフルエンザワクチンに含まれる成分(不活化ウイルス、アジュバントなど)に対して免疫系が反応することで、接種部位に発赤、腫脹、疼痛、かゆみなどの局所反応が生じます。これは正常な免疫応答であり、ワクチンが効果的に働いていることを示しています。
一般的な局所反応は接種後24〜48時間以内にピークを迎え、その後徐々に軽快して3〜5日程度で消失します。この期間であれば、患部を冷やす、清潔に保つ、掻かないようにするといった対処で十分です。抗ヒスタミン薬の内服がかゆみに有効な場合もあります。
しかし、腫れが直径10cm以上に広がる場合、1週間以上症状が続く場合、38度以上の発熱を伴う場合、接種部位から膿が出る場合、水疱や潰瘍ができた場合は、蜂窩織炎などの細菌感染や強いアレルギー反応の可能性があり、速やかな医療機関受診が必要です。
しこり(硬結)については、ワクチン成分が皮下に留まることで生じる一時的な反応であり、通常2〜4週間で自然に吸収されます。ただし、しこりが2週間以上残存して改善傾向がない場合や、徐々に大きくなる場合は、肉芽腫形成などの可能性も考慮し、皮膚科での評価をお勧めします。
【エビデンス】予防接種の副反応については、厚生労働省の予防接種ガイドラインや各種ワクチンの添付文書に記載があり、局所反応は最も頻度の高い副反応として認識されています。皮膚科医としての臨床経験では、予防接種後の皮膚トラブルで来院される方の大半は適切な経過観察で改善しますが、受診が遅れたことで蜂窩織炎が重症化したケースも経験しています。
様子見でよい症状の特徴
・腫れの範囲が直径5cm未満で拡大していない
・接種後2〜3日で症状が軽快傾向にある
・発熱や倦怠感などの全身症状がない
・痛みは触った時のみで、日常生活に支障がない
すぐに受診すべき症状
・腫れが直径10cm以上に広がっている、または拡大し続けている
・接種後1週間経っても改善しない、または悪化している
・38度以上の発熱、強い倦怠感、悪寒がある
・接種部位から膿が出る、水疱や潰瘍ができている
自宅でできる正しいケア
・清潔なタオルで包んだ保冷剤で患部を冷やす(1回15〜20分)
・接種部位を清潔に保ち、強く擦らない
・かゆみが強い場合は市販の抗ヒスタミン薬を検討
・入浴は可能だが、患部を強くこすらない
髙桑 康太(たかくわ こうた)医師
皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
・ミラドライ認定医
臨床実績(2024年時点、累計)
・皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上
・腋臭症治療:2,000件以上
・酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
略歴
・2009年 東京大学医学部医学科 卒業
・2009年 東京逓信病院 初期研修
・2012年 東京警察病院 皮膚科
・2012年 東京大学医学部附属病院 皮膚科
・2019年 アイシークリニック 治療責任者
監修領域:皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
よくある質問(Q&A)
Q1. インフルエンザの予防接種で腕が腫れたのは大丈夫ですか?
A. 直径5cm未満の腫れで2〜3日で軽快傾向であれば、正常な免疫反応であり心配ありません。
本調査では67.3%の方が接種後に腫れを経験しており、そのうち48.7%は2〜3日で改善しています。腫れはワクチンに対する正常な免疫応答の一部です。ただし、腫れが直径10cm以上に広がる場合、1週間以上続く場合、発熱を伴う場合は医療機関を受診してください。
Q2. ワクチンの腫れは何日で引きますか?
A. 約半数は2〜3日で改善し、約9割は1週間以内に軽快します。
調査結果では、1日以内に改善した方が15.3%、2〜3日が48.7%、4〜6日が27.7%となっており、約9割の方は1週間以内に症状が落ち着いています。ただし、8.3%の方は1週間以上続いたと回答しており、このような場合は医療機関への相談をお勧めします。
Q3. 注射の跡がしこりになったらどうすればいいですか?
A. 通常2〜4週間で自然に消失しますが、2週間以上改善しない場合は皮膚科を受診してください。
本調査では23.0%の方がしこりを経験しており、そのうち約6割は1週間以内に消失、約4割は1週間以上続いています。しこりはワクチン成分に対する局所反応で形成されますが、通常は体内に吸収されて消えていきます。2週間以上残存する場合や徐々に大きくなる場合は、肉芽腫などの可能性もあるため皮膚科での評価をお勧めします。
Q4. 予防接種後のかゆみはどう対処すればいいですか?
A. 冷却と保清が基本で、強いかゆみには市販の抗ヒスタミン薬が有効です。
かゆみは局所反応の一つで、炎症に伴うヒスタミンの放出により生じます。清潔なタオルで包んだ保冷剤で冷やすことでかゆみを軽減できます。掻くと症状が悪化するため、かゆみが強い場合は市販の抗ヒスタミン薬(アレジオン、アレグラなど)の服用を検討してください。かゆみが1週間以上続く場合は受診をお勧めします。
Q5. 予防接種後に腕を動かしても大丈夫ですか?
A. 通常の日常動作は問題ありませんが、激しい運動は接種当日は控えてください。
予防接種後に腕を安静にする必要はなく、むしろ適度に動かすことで腫れやしこりの軽減につながることもあります。ただし、接種当日の激しい運動や重いものを持つことは避けてください。入浴も可能ですが、接種部位を強くこすらないようにしましょう。翌日以降は通常通りの生活で問題ありません。
放置のリスク
・軽度と思い込み受診が遅れることで、蜂窩織炎などの細菌感染が重症化するリスク
・しこりを放置することで、肉芽腫として長期間残存する可能性
・アレルギー反応の初期症状を見逃すことで、重篤な反応につながるリスク
こんな方はご相談ください|受診の目安
・腫れが直径10cm以上に広がっている、または拡大し続けている場合
・接種後1週間経っても症状が改善しない、または悪化している場合
・38度以上の発熱、強い倦怠感、悪寒などの全身症状がある場合
・接種部位から膿が出る、水疱や潰瘍ができている場合
・しこりが2週間以上残存して改善傾向がない場合
クリニック案内
アイシークリニックの特徴
・皮膚科・形成外科の医師による専門的な診察が可能
・新宿・渋谷・上野・池袋・東京・大宮の6院展開で通院しやすい
・予約優先制で待ち時間を最小限に
・注射後の皮膚トラブル(硬結、肉芽腫など)にも対応可能
アイシークリニック新宿院:東京都渋谷区代々木2-5-3 One-葵ビル2階
アイシークリニック渋谷院:東京都渋谷区渋谷3-16-2 ニュー三水ビル5階
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アイシークリニック池袋院:東京都豊島区南池袋2-15-3 前田ビル9階
アイシークリニック東京院:東京都中央区日本橋3-6-2 日本橋フロント3階
アイシークリニック大宮院:埼玉県さいたま市大宮区大門町1-60 福美メディカル2階B区画
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