2023年の炎上トレンドと2024年の炎上予測|ネット炎上レポート総集編
企業内部の動きに起因する炎上
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はじめに
ネット炎上レポート総集編では、社会のトレンドに合わせて変化を続けるSNS炎上リスクに対する意識喚起を目的に、1年間のネット炎上についてまとめ、翌年の炎上傾向の予測と併せて解説しております。
2023年は、国内外に大きな影響を与えていた新型コロナウイルスの終息宣言をWHOが発表し、国内においても「5類感染症」に引き下げられたことで、数年ぶりに開催したイベントも散見されました。
“炎上“や”SNS“という観点で2023年を振り返ってみると、旧Twitterにおいて「X」という名称をはじめとした多くの仕様変更が実施されたり、10月にはステルスマーケティングの法規制が強化されたりと、デジタル空間における企業のプロモーション等の情報発信の在り方が変化した1年となりました。
サマリー
2023年の炎上トレンド
(1) 従業員の内部告発から炎上に発展する事例
(2) 内部関係者が情報を持ち出す事例
2024年の炎上予測キーワード
(1) 生成AI
(2) 物流・運送業界の「2024年問題」
(3) 大阪万博
詳細
■2023年の炎上トレンド
(1)従業員の内部告発から炎上に発展する事例
SNSは誰もが容易に情報発信者となることを可能にし、拡散力のないアカウントからの投稿であってもインフルエンサーなどの拡散力の高いアカウントが引用すること等により、事象次第で社会問題にまで発展するケースも見られています。
2023年には、飲食店の衛生環境について関係者からの内部告発が発端となり、炎上した事例が発生しました。2022年6月に改正公益通報者保護法が施行され、組織内部での通報の制度を整えたという企業が多いと思いますが、SNS上への告発は数年前から変わらず散見されています。
背景として、炎上事象を中心に扱う「炎上系インフルエンサー」「暴露系インフルエンサー」という存在の認知拡大があると考えられます。告発内容をインフルエンサーに拡散してもらうことで、拡散スピードが加速し、ネットニュースにまで取り上げられるという一連の流れが一般的に認知されるようになったことが原因と考えられます。
そのほかにも、某ペットショップの労働環境や管理体制についての告発が複数事例あり大きな話題となりました。多くの批判が殺到した企業と同業界の企業の従業員が、「自社でも同じことが起きている」といった告発を行うケースが散見されています。企業は、同業界でどのようなことが話題となっているかを、把握しておくことが必要であると分かりました。
(2)内部関係者が情報を持ち出す事例
コロナ禍を経て、企業活動のデジタル化が加速したという企業は少なくないでしょう。顧客情報などの機密情報を守ることは企業にとって急務となりましたが、セキュリティをかいくぐり、内部関係者が機密情報を外部に漏えいさせた事例が複数見られました。
情報の漏えいが発生した場合、その事象に関する損害賠償というダメージだけでなく、企業の管理体制に関する指摘等、企業イメージの棄損にも繋がります。
社会問題化した事例では、グループ会社で発生した情報持ち出しだったが、報道では親会社の名前も取り上げられたことで、グループ会社全体への批判やレピュテーションの棄損に繋がっていました。親会社は自社のガバナンス強化だけでなく、グループ全体での対策が必要だと分かる事例でした。
事例の中には、金銭目的で情報を持ち出したとの報道もみられており、対岸の火事とは言えなくなっていることが現状です。企業のレピュテーションを守る意味でも、セキュリティ対策の重要性を認識した事例と言えます。
■2024年の炎上はどうなるのか
(1)生成AI
これからのSNS炎上を考える上で、重要なキーワードの一つが「生成AI」ではないでしょうか。2023年にもChatGPTや画像生成AI等を企業活動に利活用することが話題に上がった一方で、生成AIがきっかけで炎上してしまう事例もいくつか見られています。生成AIに関する論調やトレンドは日々変化しており、G7を中心に議論も進んでいますが、教師データに関する著作権の問題などルールが整っていないのが現状です。実際に自社が活用する場合には、その時のトレンドや論調などを汲み取った上で企画をしていくことが求められます。
(2)物流・運送業界の「2024年問題」
物流・運送業界における働き方改革法案施行により、ドライバーの労働時間の上限が課されることで生じる問題を2024年問題とされています。2023年のトレンドで解説した通り、労務環境が改善しないことに対する従業員の不満増大やSNSでの内部告発の表出、顧客による対応不満のSNS投稿などが見られる可能性があり、複数の炎上リスクがあると考えられます。影響は物流・運送業界に留まらず、物流サービスと密接に関連するEC事業を展開する企業なども注視しておくべきリスクと言えます。
(3)大阪万博
国際的なイベントは、国内外からの関心度も高く、2021年開催の東京オリンピックでは、関係者の炎上など数多の炎上が発生しました。それらの炎上によって、当事者の辞任や、CM放映中止などのイベント運営、企業活動に多大な影響を与えました。大阪万博においても、関心度が高いという点では同様に注意が必要であると言えるでしょう。万博で考えられる大きなポイントとしては、建設現場での労務問題、PR等の起用タレントや著名人の炎上リスクが挙げられます。起用するタレントの炎上は、タレントだけでなく起用した企業にも批判の声が及ぶことも多くあり、無視できないリスクとなっています。当該の人物は直近の言動だけでなく、数年前の事象まで掘り返されるケースが多くあり、起用を検討する段階から過去に遡って炎上リスクをチェックすることが求められます。
エルテスでは、炎上への理解を深めていただくことを目的として、毎月の炎上傾向のレポート発信※1やウェビナーでの解説セミナー※2を行っておりますので、チェック頂き、業務にお役立ちできればと考えております。これらの情報をメールマガジンにて発信しておりますので、ぜひご登録ください。
【解説者】
株式会社エルテス 釜石 萌
プロフィール:
在学中にジェンダー観点から広告PRを研究。その後エルテスにてコンサルタントとして従事。多数の企業のリスク低減および批判が寄せられた後の鎮静化を取り扱う。現在はプロモーションGrに在籍。
<参考情報>
※1:「エルテスが毎月配信している炎上レポート」はこちら
https://eltes-solution.jp/column
※2:「エルテスが開催するセミナーページ」はこちら
https://eltes-solution.jp/seminar
<補足情報>
エルテスの定義するネット炎上
▼条件
以下の二つの条件を満たしている必要がある
(1)批判や非難が発生している(ポジティブな共感の拡散等ではない)
(2)対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較しても有意に多い状態である
▼定義
ネット炎上とは、「オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態」を指します。
▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。
会社概要
■株式会社エルテス(証券コード:3967 グロース市場 https://eltes.co.jp/)
「健全にテクノロジーが発展する豊かなデジタル社会を守り、デジタル社会にとってなくてはならない存在になること」をビジョンに掲げています。インターネットやSNS、テレワークなどの普及で進化し続けるデジタル社会に潜む新たなリスクから企業を守るソリューションを提供するデジタルリスク事業に加え、従来型の人的警備にデジタル技術を融合してスマートな警備業を創出するAIセキュリティ事業、行政・企業などあらゆる組織のDX化を促進するDX推進事業を展開することで、デジタル社会の発展をサポートしていきます。
会社名:株式会社エルテス
代表者:代表取締役 菅原 貴弘
所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング 6F
創業:2004年4月28日
事業内容:リスク検知に特化したビッグデータ解析によるソリューションの提供
[エルテスグループ関連サイト]
デジタルリスク対策サービス一覧:https://eltes-solution.jp/
採用情報:https://eltes.recruitment.jp/
公式オウンドメディア「エルテスの道」:https://eltes.co.jp/ownedmedia/
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