日本人初※経営学部 中島真澄教授の論文が米国会計研究学会学会誌『Journal of Forensic Accounting Research』に掲載
論文名(訳)「COVID-19パンデミックは、企業のMD&Aの開示アプローチを変化させたのか?日本からの実証」
本誌で日本人研究者論文が掲載されることは中島教授が初となり、大きな偉業でもあります。
※『Journal of Forensic Accounting Research』(V.1 N.1 2016~V.8 N.1 2023)調べ
『Journal of Forensic Accounting Research』中島教授のコメントと論文要約
本研究は、COVID-19パンデミックによって、日本企業のMD&A(Management Discussion and Analysis)開示アプローチが変化したかどうかを検証したものです。まず、可読性とトーン値に基づいて、パンデミック時に経営者がテキストを難読化するのか、それとも情報を提供しようとするのかを検証いたしました。つぎに、文章の難解度に基づいて、悪いニュースが本質的に読みにくいものであるかどうかを分析いたしました。その結果、パンデミック時には、MD&A開示のトーン値は、不正企業では負となり、非不正企業ではより負となったことがわかりました。これは、不正、非不正企業ともに、自社の状況を誠実に伝えようとし、コミュニケーション的行為理論の正当性基準を満たしているといえます。この結果は、パンデミック時に可読性が低くなった欧米の結果と整合するものではありませんでした。これは、災害大国である日本の経営者は、COVID-19を災害の1つとしてとらえ、業績悪化を投資家と共有し、ともに乗り越えようとしていることを示しているのではないかと考察しました。また、パンデミック時には、非不正企業がテキストの難易度を高めており、これはオントロジー理論を裏付けたものといえます。
中島教授のこれまでの功績
文京学院大学大学院経営学研究科専攻主任。明治大学経営学部・明治大学大学院経営学研究科兼任講師、マレーシア工科大学大学院国際ビジネススクール博士プログラム外部共同主任指導教授を務めている。南山大学で修士号と博士号を取得。アーニングス・マネジメント、会計不正、フォレンジック会計分野で活発な研究活動を行い、2009年より科学研究費補助金を獲得している。2017年には科学研究費審査委員として有意義な審査意見を付したことにより日本学術振興会より表彰された。2020年および2023年には、日本会計研究学会の代表として台湾会計学会年次大会で研究を発表。2023年9月には『フォレンジック会計:会計と企業法務との連携』(片山智裕との共編著)を上梓。Managerial Auditing Journal、Journal of Forensic and Investigative Accounting、Research on Professional Responsibility and Ethics in Accountingなどのジャーナルでこれまでの成果を公表している。現在アジア太平洋管理会計学会(APMAA)の常任理事、日本経済会計学会(AEAJ)の理事を務めている。
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