世界的に貴重な宮崎県の「高緯度サンゴ群集」基礎資料を発表
――高緯度サンゴの認知向上と保全推進を目指して―
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(東京都港区、会長:末吉竹二郎、以下 WWFジャパン)は、宮崎大学の深見裕伸教授および公益財団法人黒潮生物研究所の目﨑拓真氏他の協力を得て、本日2月3日(火)に、世界的に貴重な宮崎県の高緯度サンゴ群集に関する基礎情報をまとめた資料『宮崎県太平洋沿岸の高緯度サンゴ群集 2026』(全43ページ)を発表しました。本資料は、気候変動の進行により海の生態系が大きく変容しつつある現代において、高緯度サンゴ群集の生態学的な価値とともに、宮崎県における地域社会と連携した保全事例を紹介しています。WWFジャパンは、本資料が高緯度サンゴ群集とその沿岸生態系の認知向上や保全の推進への手がかりとなることを目指しています。
(見開き版)
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20260203ocean00.pdf
(単ページ印刷版)

■発表の背景と本資料の主旨
気候変動等の影響により各地でサンゴの減少が懸念されるなか、WWFジャパンは2022年より、国内のサンゴを守る新たな取り組みとして、高緯度サンゴ群集域のサンゴを対象とした活動を黒潮生物研究所などと協働して行なってきました(注1)。高緯度サンゴについては調査研究の蓄積が少なく、人々の暮らしとの関わりが見えにくいことなどから、十分に認知されていないことが課題です。
そのような中、宮崎県太平洋沿岸には延岡市・日南市・串間市周辺を中心に、日本や世界全体で見ても貴重な高緯度サンゴ群集があり、80種以上のサンゴが確認されています。さまざまな関係者が長年にわたって協力しながら高緯度サンゴ群集の保全に取り組んでおり、持続可能な利用に活かしています。こうした取り組みをさらに発展させ他地域の参考となることを目指し、本資料を発行しました。宮崎県のサンゴの生息環境やサンゴの種類、脅威、保全・活用の事例等を、貴重な写真とともに分かりやすく紹介しています。


■本資料の構成
第1章 宮崎県太平洋沿岸の海洋環境と生態系
第2章 海からの恵みとその変化
第3章 高緯度サンゴ群集とは
第4章 宮崎県の高緯度サンゴ群集
第5章 高緯度サンゴ群集の脅威と保全
第6章 宮崎県太平洋沿岸での高緯度サンゴ保全と持続可能な利活用
■ 高緯度サンゴ群集とは
高緯度サンゴ群集とは、サンゴ礁域よりも北方の浅海域におけるサンゴの集まりです。通常、地形としてのサンゴ礁は形成されませんが、地域ごとに多様な海中景観を生み沿岸の海洋生態系を支える重要な存在です。日本では九州・四国・本州(最北は山形県)等の各地で見られます。高緯度サンゴの海を訪れるダイバーも多く、観光資源としても重要です。高緯度サンゴ群集やその沿岸生態系は、気候変動による海の現状や変化を知り、将来を予測する手がかりの一つとなります。
■ 執筆者のコメント
宮崎大学農学部農学部門海洋生命科学領域・教授 深見裕伸氏

宮崎県はサーフィンが盛んな地域であることから、一般的には砂浜が多いというイメージを持たれがちです。しかし、宮崎県の南部および北部域に目を向けると、非常に多様なサンゴが生息しており、巨大なサンゴや大規模な群落も見られます。また、近年増加しているオニヒトデなどによるサンゴの食害を防ぐため、行政や研究者、漁業者やダイバーなどの地元の人々が連携し、宮崎のサンゴを守るための取り組みが日々続けられています。本書を通じて、宮崎県にこれほど素晴らしいサンゴが生息していることを多くの方々に知っていただくとともに、それらを保全する活動についても理解を深めていただければ幸いです。
公益財団法人黒潮生物研究所 専務理事・研究所長・事務長 目﨑拓真氏

宮崎県太平洋沿岸の高緯度サンゴ群集は、日本でも世界的にも貴重な“北限のサンゴ沿岸生態系"です。一方で、高緯度サンゴ共通の課題としてある、地域の暮らしとのつながりが見えにくいことが課題です。本資料は、サンゴを取り巻く環境・脅威・保全と利活用の長年の蓄積を一冊に整理し、行政、漁業者、観光、教育、ダイバーなど多様な担い手が同じ基盤で議論し行動するための入口になることが期待されます。本書が高緯度サンゴ生態系、それらの保全の推進力になることを願っております。
WWFジャパン 自然保護室 海洋水産グループ サンゴ礁生態系保全担当 佐々木小枝

資料の発行にあたり、延岡市、日南市、串間市で保全や調査、持続可能な利用を行なう方々からお話を聞き、自治体や研究者、事業者、地域団体など多様な関係者が、長年創意工夫を重ねて協力している様子に心を打たれました。 高緯度サンゴ群集域は、亜熱帯性・温帯性のサンゴにとって貴重な生息地で、海の生物多様性を支えています。また気候変動の影響等によるサンゴの生息域の変化/北上を考えると今後ますます重要になると考えられます。本資料で紹介する宮崎県での事例を通じて、沿岸海洋生態系の一部として、海の生きものや人間にとって大切な高緯度サンゴ群集の認知や保全が進むことを願っています。
■ご参考 WWFジャパン ホームページより
・(注1)WWFジャパン初の高緯度サンゴ保全活動を、四国南太平洋沿岸で展開 黒潮生物研究所との協働決定、協定書を締結
https://www.wwf.or.jp/press/5227.html
・宮崎県の高緯度サンゴ群集、基礎資料公開 https://www.wwf.or.jp/activities/lib/6182.html
・九州以北のサンゴを守る!「高緯度サンゴサミット」を開催しました
https://www.wwf.or.jp/activities/activity/6181.html
・日本のサンゴ礁生態系とその保全 https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/5241.html
・四国南太平洋沿岸の高緯度サンゴ群集~保全と持続可能な利活用に向けて~
https://www.wwf.or.jp/activities/data/20230711ocean01.pdf
WWFについて
WWFは100カ国以上で活動している環境保全団体で、1961年に設立されました。人と自然が調和して生きられる未来をめざして、失われつつある生物多様性の豊かさの回復や、地球温暖化防止などの活動を行なっています。 https://www.wwf.or.jp
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