フィランソロピーをめぐる環境・政策に関して、国会議員・NPO・専門家との意見交換会を開催
現状の認定NPO制度や、日本の寄付税制を取り巻く課題について、多様な視点から議論

2025年11月19日、米日財団、NPO法人新公益連盟との連携により「フィランソロピー(※)活性化に向けた意見交換会」が開催され、株式会社PoliPoli(東京都千代田区、代表取締役:伊藤和真)は事務局として本会を運営したことをお知らせいたします。
衆議院議員の重徳和彦氏(立憲民主党)や篤志家、会計の専門家などを迎え、日本の寄付文化が抱える構造的な課題とその解決に向けた具体的な寄付税制の改善案について議論が交わされました。
(※)フィランソロピー:社会基盤に対する、寄付などを通じた個人・企業による投資
(渡邉文隆 (2022) 「医学研究への個人高額寄付募集の戦略に関する考察」p.450参考)
開催背景:日本が直面する「フィランソロピーの課題」
PoliPoliが社会課題解決のための寄付基金『Policy Fund』を運営する中で、「寄付を阻む日本の制度的障壁」に直面するNPOの皆様の声が集まってきました。特に制度の複雑さが、篤志家の個人寄付や企業からの物品寄贈を妨げ、資金が社会課題の解決に向かいづらい状況が見受けられます。
今回、第一回目として開催した意見交換会では、米国と日本のフィランソロピーの現状について米日財団から情報提供をいただき、NPOが社会課題解決の「フロンティア」として機能するための制度改正の提言を新公益連盟が行いました。
PoliPoliは、特定の主義・主張やイデオロギーを支持することはなく、政策を創発するためのプラットフォームです。今後も、多様なステークホルダーとの対話の場を継続的に開催していく予定です。
米日財団の発表

米日財団は独立系の財団で、日本とアメリカの友好関係を活用した課題解決に取り組んでいます。1980年の創立以来、これまでの助成金総額は100億円以上になります。米国等諸外国と日本におけるフィランソロピーの「量」と「質」についてお話しいただきました。
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日本は資産家が世界で5番目に多いにも関わらず、所得に対する寄付額の割合は100カ国中100位と最下位(アメリカは46位、韓国は58位)
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日本のNPOが直面する制度的障壁
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人件費に活用できる資金が限られており、NPO経営者の平均年収は日米で大きな差が見られる(日本:約570万円、米国:約2,000万円)
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寄付金控除の繰越制度がなく、大口寄付の誘因になりづらく、特に災害時などの緊急性の高い部分に巨額の資金が集まりにくい
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寄付者が寄付金控除を受けられる認定・特例認定のNPO団体が少なく(全NPOの約2.6%のみ)、寄付先が限定されてしまう
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新公益連盟による提言

新公益連盟は、日本国内のNPO・社会的企業が200団体以上加盟する連盟組織です。共同代表の李 炯植 氏より「食料品以外の物品寄贈・寄付の全額損金算入」や「みなし譲渡所得課税の税制改正」「遺贈寄付に関する障壁の改善」など8つの提言が行われました。

現状の課題として、寄付の意向があったとしても制度的なハードルによって寄付が阻害されてしまっていることなどを挙げ、これらの提言により「民間資金がより地域の社会課題解決に流入しやすくなる」「地域自治体で活動する非営利事業者の事業安定化が見込まれる」、そして「企業による寄付が促進され、寄付文化・土壌が醸成される」ことを伝えました。
出席者からのコメント
重徳和彦 衆議院議員(立憲民主党 税制調査会会長)
「課題のフロンティア」を担うNPO活動を支える税制にすることこそが、日本を「課題解決先進国」にする上で重要だと考えています。本日の提言を聞いて、税制のハードルが高いものもあれば、低いものもあると感じました。特に遺贈寄付において、認定NPO法人が認定を失効した場合に最大2年遡って課税される仕組みなどは、なぜそこまで追いかけるのか疑問に思います。今回の提言を党内で真剣に議論したいと考えており、今後も連携できると嬉しいです。

関口宏聡 氏(NPO法人セイエン代表)
物品寄付において日本ではフードバンク税制という税制緩和の前例があるにも関わらず、食料品以外には対象を拡げていくことが出来ていません。災害時は衣類などを全額損金算入できるが、平時でも困っている人はおり、EUでは廃棄よりも寄付が優先される仕組みが整っています。日本のNPOを取り巻く環境も、より社会的なインパクトを最大化できる仕組みへと進化させていく必要があると考えます。
高橋飛翔 氏(ナイル株式会社 代表取締役社長)
スタートアップの世界では、エコシステムとして資金調達のハードルを下げ、挑戦を促す仕組みが整っていますが、NPOの世界はその逆で、ハードルを上げ続けている。NPOは「非営利業界のスタートアップ」であり、参入障壁を下げるべきです。コーポレートガバナンスコードへの公益活動の組み込みなど、企業資金を公益活動に誘導する流れを推進していきたいと思います。
脇坂誠也 氏(税理士、NPO会計税務専門家ネットワーク 理事長)
認定NPO法人制度は3つの問題を抱えています。「取得の難しさ」「維持の困難さ」「軽微なミスでの即時失効リスク」です。認定の取得・維持における寄付者名簿の作成は業務コストが高く、電子決済サービスで寄付される方々の氏名・住所の把握・証明などの実務的な負担は重すぎます。特に更新時にミスをするといきなり認定失効となるリスクは、法律改正なしに運用の柔軟化で対応できる部分もあると考えます。
経過と今後の展望
意見交換会後、2025年12月5日に発表された立憲民主党「2026(令和8)年度税制改正についての提言」には、遺贈寄付の適正化等について記述されています。
https://cdp-japan.jp/visions/proposals_for_tax-reform/2026
今回の意見交換会で得られた提言と各界の意見を元に、PoliPoliは引き続き、国会議員・NPO・専門家等の皆様と連携しながら、情報発信と議論の場づくりを継続してまいります。
『Policy Fund(ポリシーファンド)』について

『Policy Fund』は政策を軸にした、社会課題解決を加速するための寄付基金です。
起業家などの個人や、国内外の財団などから「寄付」として資金を集め、少子高齢化や貧困問題など、取り組みたい課題ごとに「基金」を設立します。その課題に取り組む社会的企業やNPOなどの団体に寄付金をお渡しし、解決に向けた取り組みや研究、そして社会を変える政策立案や提言に活用していただきます。また、PoliPoliがこれまでにプラットフォームやプロジェクトで培ってきた政策共創のノウハウを活かし、政策提言を伴走支援します。
寄付をしていただいた方には経済的リターンはありませんが、代わりに社会に対するインパクトをリターンとしてお返しする仕組みです。
会社概要

会社名:株式会社PoliPoli
代表者:伊藤和真
所在地:東京都千代田区
設立:2018年2月
企業理念:新しい政治・行政の仕組みをつくりつづけることで、世界中の人々の幸せな暮らしに貢献する。
コーポレートサイト:https://www.polipoli.work/
事業内容:
政治に声を届けるウェブサイト『PoliPoli』
行政に声を届けるウェブサイト『PoliPoli Gov』
企業・団体向け「政策経営」のためのサポートサービス『PoliPoli Enterprise』
政策情報メディア『政治ドットコム』
社会課題解決のための寄付基金『Policy Fund』
SIBを活用した地域課題解決のためのプロジェクト『自治体共創ファンド』
事業開発(『Policy Fund』責任者候補)をはじめ、採用募集中です
詳しくはこちら:https://herp.careers/v1/polipoli/1OVvycFzguAu
https://polipoli.notion.site/PoliPoli-97249831893141dc968440811591fbe3
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